オカルト麻雀対戦記vol28 飯田橋ロンリーグ 梶本琢程さん(梶やん)、疋野加奈子プロ、対局編
2023年、3月16日。
飯田橋、麻雀ロンにて。
お店のドアを開ける。
ギィ、、カランコロン、、、
やって来た、櫛引祐二・・・。
今日は、ロンリーグ開催日。
ゲストは、日本プロ麻雀連盟の、疋野加奈子プロ。
プロとして、新人の方だな。素朴で、可愛らしい方。
「ああ、いらっしゃい。今、もうすぐ終わりますんで、」
と、梶本さん。
「おはようございます、」
おおっ、
今日はオーナーの梶本琢程さんがいる。
卓に着いて、本走している。
梶本さん、通称梶やん。Mリーグで審判をやられている方。
最強戦の、レギュラー解説の方。
慣れた雰囲気を出して、グラスを取り、麦茶を自ら注いで、
飲み始める櫛引祐二。
待っている少しの間、空いている卓の椅子に座り、
色々と考え、思いに耽る。
ーーーーーーーーーー
「櫛引さーん、それじゃ掴み取り※、お願いしまぁす」
梶本さんの柔らかな声色に、どこか安心感を覚えつつ、麻雀脳が視界に降りてくる。
よしっ、今日もやるぞ! やった! 梶本さんと、同卓だ!
これは、負けられない戦いになった。
いや、たとえ相手が誰であれ、俺は、負けられない、、
負けたく、ない。
やはりこの瞬間のために、麻雀こそが、麻雀が、
我が人生
※
掴み取り=伏せられた牌を各々が掴んで引いて、座る方角、席を決めること。東南西北。
東家 櫛引祐二 (闘う精密機械) え?
南家 梶本琢程 (孤高の麻雀見届け人)
西家 おじさんレッド
北家 おじさんブルー (ブルーてお前!)
東1局 東家 ドラ北
配牌、、
一三五六七七448⑦⑦南白發
この配牌を見て、4ソウと⑦ピンのシャンポン待ち即リーチを思い描く櫛引祐二。第一打は、一萬から。
数巡経って、、
三四四五五六七七七44⑦⑦
入り目は四萬。
櫛引祐二、親で、8巡目、即リーチ。
まさにほぼ完璧に、思い描いていた形での仕上がり。
卓に着いている感覚、、ツモまで、あるかな、、、
ちょっとして、
「ツモ。」
⑦ピンのツモ。リーチ、タンヤオ、ツモ。2000オールの収入。
東1局 1本場 東家 ドラ2ソウ
最終形、、
⑥⑦⑧5699 234チー 白白白ポン
同巡に切られた、2枚目の白を仕掛けた。
147ソウが、比較的薄いかな、という場の河。
タイミング良く4ソウをチーできた。
終盤に入りかけた頃、梶本さんから、う~ん、
といった感じで、7ソウが切られる。
櫛引祐二のあがり。白、ドラ1。
2900の1本場で3200点のあがり。
まだギリギリ、ソウズ待ちだと断定できる局面ではなかったか。かなり濃度は、増していたが。ひょっとしたら梶本さん、しれっと、めちゃくちゃ高打点のイーシャンテンくらいだったのかも。
梶本琢程さんとは、もちろんここ、飯田橋ロンで、今までも何回も対戦させてもらっている。胸を貸してもらっている。
打った感じ梶本さんは、老獪に人読みや場況読みを挟んで、己が手牌にリンクしつつ、局を回しつつ、結構腕を振って、切れ味鋭く攻め込んでいくタイプの打ち手だと思う。個人的な見解では。
非常に俺個人的には、好きなタイプの打ち手である。格好良い、と思う。こんな日本を代表する麻雀著名人と、こうやって打てる幸せ・・・。
あがりを重ねていく櫛引祐二。
次にどうなるかが、だいたい、分かる、、。
でも、慎重になりすぎると、、、
そして、やはり、波乱が起きた。
東4局 南家 ドラ五萬
今局はダメだなと思っていた。今局のアヤ筋と踏んでいる、258(リャンウーパー)の受け入れが、手牌のターツに全くない。もう、厳しい。
終盤、梶本さんからツモの声が上がった。
333567⑥⑦五五五六七
五萬の1枚は赤牌です。
⑧ピンのツモ。タンヤオ、ツモ、赤、ドラ3。
三色ならずの安目だったが、ツモあがってのハネマン。
梶本さんがこれで、トップ目の櫛引祐二を追う一番手に。
俺はちょっと前の局、ダマテンの⑤ピンツモで、
3翻あがり。
梶本さんは、同じ筋を、6翻あがりハネマン、、、。
これ、、、
南1局の櫛引祐二の親番は流れ、、
南2局 北家 ドラ南
梶本さんが、親番。
梶本さんが来る。序盤から油っこいところを切っている。
心なしか、手つきが踊っている。
梶本さん、5巡目リーチ。
⑨ピン、イーソー、④ピン、5ソウ、赤五萬、
と切ってリーチ。
マズイこれは何でもある。字牌待ちも、好形の順子待ちも。
察知できていてよかったあ。
他家が、マンズの裏筋たちを通してくれる。字牌たちも、通してくれる。
梶本さんの挙動から、めっちゃあがりたいオーラが伝わってくる。四暗刻とか、ある?
何でか、普通にマナー良く打っているつもりなんだけど、行く先々で、コイツにだけは負けたくないと、もう、名前が知れ渡るずっとずっと前から、いろんな人から思われやすいようで、誇りと同時に、ごめんなさい。
俺も、麻雀レジェンドの梶本さんが相手なんだから、
余計、負けたくないです。
たまにしか来ない俺なんかのために、ロンリーグのスケジュールカレンダーを、ツイッターに上げるようにしてくれて、本当に、ありがとうございます。
色々と面倒くさい客で、ごめんなさい。
役牌が出たが、鳴いてはいかない櫛引祐二。
アヤ筋は258だと思っているが、あの捨て牌、弾けてどこかの369に掛かっているとかあるか? ありそう。ツモられてしまうような気がする。なんにせよ、この局は、梶本さんの悪くは無いであろう状態を鑑みて、受け切る。はなから継続してオリ。
全ての待ちがありそう、、クソっ、絞り切れない。
そのまま、流局。
梶本さん、テンパイ形、
六六七八九③④⑤45789
⑤ピンは、赤牌です。
36ソウ待ち!!??
まあ、リーチ1巡前に切られている回りの待ちだから、あるっちゃあるけど、、。これ、他家の手牌の感じによっては、ソウズ全般をバシバシ切っていく展開にだって、充分なり得ただろう。結果的に36ソウは、俺のところに4枚来たけど、リーチ時には2枚だけとかだったし。なんにせよ、アブねー。鳴いていかなくて、良かったぁ。ツモられる気、満々だった。
その後、梶本さんの親が流れて、、
時間打ち切り最終局
南3局 2本場 西家 ドラ⑥ピン
梶本さんは、ハネマンツモでトップ目を逆転の条件。
なんだか、下2人も競っているし、全員が前に出てきそうな局面だなあ。比較的、得意な局面。
ちょっとして、櫛引祐二、ドラ含みカンチャン、
⑧ピン⑥ピンと払っていって、先制リーチ。
この形。
南南一二三五六345888
五萬は赤牌です。
四七萬、1枚ずつ、合計2枚切られているが、五萬と六萬も俺の目から3枚ずつ見えている。マンズ待ちは、絶好。
カン二萬入って、薄くなっていた5ソウを引いてのテンパイ。
どんな形からでも南を鳴いていくつもりだったが、
これはもう、あまり、オカルトも何も関係ない。
相手の手牌に蓋をして、尚かつ、勝負を決めに行くリーチ。
「リーチ、。」
リーチから2巡後、
鳴き仕掛けをしている対面親から七萬が零れて、
櫛引祐二のあがり。
リーチ、赤1。
2600は3200点と供託リーチ棒ゲットの終焉。
44600点持ち、1着、+64.6ポイント。
ああ、梶本さんとお手合わせするの、何気に、物凄い久しぶりだった。ありがとうございました。また胸を貸して下さい!!
2半荘目
本日、最終半荘。疋野加奈子プロとの対局。
東家 疋野加奈子プロ(かわゆ)
南家 櫛引祐二(リアル麻雀バガボンド) え
西家 おじさんグレー
北家 おじさんレッド(レッドて!)
東1局、おじさんグレーが、メンピン一発ツモ赤赤、の、
ハネマンツモスタート。5ソウ、一発ツモ。
東2局、櫛引祐二が親番。
おじさんグレーが、対面レッドから満貫あがり。
9ソウで打ち取り。
下家おじさんグレーが、ソウズの色の好調さに乗る。
ここまではまるで、搭載エンジンが一人飛び抜けた態。
さっきまで、別の卓では、すごいお喋りをして、和気あいあいと対局をしていた疋野加奈子プロ。
だが、何故か今は、めちゃくちゃ真剣な眼差しで、寡黙に、麻雀を打っている、、、。
東3局 北家 ドラ五萬
6巡目、疋野加奈子プロから、もう仕方ない、行くしかない、といったような、不思議な間のある1巡回しツモ切りリーチが発動される。
う~ん、これは、どうだったんだろうなあ。
きっときっと、物凄い愚形であることがバレてしまった。
雰囲気から、、、
そして、たぶん、字牌待ちじゃないことも。
せっかくこんな、早い巡目ではあったのだけれど、、。
構わず超ゼンツしていく櫛引祐二。
裏筋バンバン、字牌バンバン。
「ツモ。」
しばらくして、疋野プロのツモあがり。
234789②③④一二三五
五萬は赤牌です。
ドラ単騎ツモ。
リーチ、ツモ、赤、ドラドラ、
さらに裏ドラ4ソウ1枚乗って、ハネマンあがり。
3000、6000!
お見事。なるほどね、四萬とかを入れたかったんだね。
待ちたかったんだね。
東4局 西家
チョロッとあがって、素点回復する櫛引祐二。
ベホイミ!!
徐々に局面に、
どうリンクして行けばいいか分かってきた、この半荘。
良くなってきたぞ!
というより純粋に、
手牌の仕上がりが場に間に合ってきた、不思議。
南1局 南家 ドラ②ピン
終盤、親の疋野プロから先制リーチ!
1巡後、ドラの②ピンを勝負して、
櫛引祐二、追いかけリーチ!!!
手牌、、
ー ④⑤⑥⑦⑧⑨3455579 ー
⑤ピンは赤牌です。
5ソウの1枚は赤牌です。
カンチャン8ソウ待ち。入り目は、5ソウ。
疋野プロの捨て牌には、
⑤ピンと⑥ピンが1枚ずつ切られている。
筋とはいえ、②ピンは怖かった。
俺は、疋野プロは、ピンズの下目か、ソウズの47、58あたりかなと、早い段階から踏んでいた。
だから、同テンも充分あり得るなとは思っていたが、、
櫛引祐二、ここは、
あがりを逃してしまうことが一番の罪、と考え、
決死の追いかけドラ切りリーチ!!
ちょっとして、もうかなり終盤、
トップ目おじさんグレーから、
追いかけリーチ宣言牌で出された牌が、
8ソウ!!
「ロン」
櫛引祐二のあがり。
リーチ、赤、赤。5200点をトップ目から直撃。
疋野プロの待ちが何だったか、気になるぅ~。笑
まあ、真相は闇の中。
かすっていたか、それとも、
全く違うチートイ単騎待ちとかだったか、、、笑
南2局 東家
櫛引祐二がまたチョロッとあがる。これでトップ目へ。
1本場の局は受け気味に打ったら、対面レッドさんに八萬ツモで満貫あがりを決められてしまう。
南3局 北家 ドラ⑥ピン
中終盤、櫛引祐二、手牌、、
357②③④⑦⑧⑨五五五九九
五萬の1枚は赤牌です。
テンパっています。1枚切らなければならない。
こんな愚形で、そもそも僅差のトップ目で、行く?
先ほどは受けてあがられ、、、
ソウズは情報が全くない。2ソウ8ソウが、場にチラッと切られているだけ。カン4ソウか、カン6ソウか、、、
今の俺の大勢なら、、、
「リーチぃ!!」
櫛引祐二、ノータイム7ソウを切って、
カンチャン“4ソウ”待ち!
リーチ赤1、愚形リーチ決行!
・・・・・ツモれない。
が、しばらくして、対面レッドさんから追いかけリーチ宣言牌で出された牌が、4ソウ!!!!
リーチ、赤1、裏ドラ4ソウが1枚乗って、
5200点のあがり!
これはデカい!
2着目おじさんグレーは、満貫ツモで逆転。
3着目疋野加奈子プロは、ハネマンツモで逆転勝利。
トップ目は、リアル麻雀バガボンド。
オーラス、時間打ち切りで最終局。
南4局 西家 ドラ八萬
櫛引祐二、仕掛け、
23466③⑤八 四三五チー 二二二ポン
⑤は、赤牌。
親のリーチ、流局手牌、
2245677899⑥⑦⑧
おじさんグレー、流局手牌、
六六六八八33④⑤⑥ 四三五チー
五は、赤牌。
この局、一番最初にテンパイを入れたのは櫛引祐二だった。カン④ピンに、勝利の自信があった。
親のリーチが入った。行くつもりだった。
読みでは、親はソウズの愚形待ちのリーチ、のはず。
そういう捨て牌だった。
ただ、ドラの八萬を持って来た時だけどうしようかね? ね?
まさにそう心にクエスチョンを灯したそのタイミングで、キレイに、八萬を持って来て、本当に、久しぶりの長考に陥ってしまった。正味、15秒前後、、。
ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
局面の、牌理を兼ねた押し引きの、
準備が出来ていないことの恥ずかしさ。
覚悟を決めれていないことの、情けなさ。
流れを滞らせて、相手に、
自分の状態のヒントを与えてしまいかねないもの
=長考。
オリるのは別に良い。
決められていないことが、予期出来ていないことが、
ヤバい。
まだまだだね。
結果は、櫛引祐二はオリて、おじさんグレーもまだ鳴いていなくて、全然テンパイじゃない段階だから、八萬は、切っても通っていて、仮にポンで鳴かれたとしても、先にカン④ピンが、どうやっても先にあがれていた局面だった。
櫛引祐二、ノーテン。流局終了。
34000点持ち、1着、+54.0ポイント。
今回の成績です。
1着 +64.6
1着 +54.0
合計= +118.6ポイント、となりました。
俺は、思う。
3月17日のインタビューを見て、ハッキリした。
決めた。
もう、欲や名声や地位のために、他者に対しての、優越感のために、誰かを傷つけることのために、そういうもののために麻雀は打たない。
そういうものと、麻雀を、人生を、並ばせて考えない。
良いじゃないか、もし、仮に、何一つ、何一つ、
成果を上げられない麻雀人生だったとしても。
やってきたじゃないか、何も、悪くない、いけなくない。
一生懸命やっていて、やってきて、充実して、楽しめてきたじゃないか。
不器用で、子供で、不格好で、
結果、周りの人をたくさん傷つけて、周りに誰もいなくなって、誰にも、認められなかったとしても、プロになんて成れる環境、もう、無かったとしても、やってきたじゃないか。これだけは好きで、歩んできたじゃないか。
蔑められても、弾かれても、ボロボロの人生だったとしても、たとえ、たとえ、、、。
自分なりに、やってきたじゃないか。
神様に導かれて、いや、自分自身で選んで来て、今、この、めちゃくちゃ朧気だけど、確かな、道がある。あるじゃないか。
神様が、櫛引 祐二 の麻雀だけに課している宿命。
この世から離れる時に、自分の心にしまえる真実があれば、それでいい。
いつまで打ち続けられるとか、誰がどうなって何を言っての、勝ち負けとか、もう、後ろに置いて考えていく。
良い、良いじゃないか!
ただ、櫛引 祐二 という男の、麻雀の完成だけを目指す。
人間の完成だけを目指す。
もしよかったら、遠~くからでも、見届け続けてやって下さい。