夢と現実
私は当時、小学校の教員をしておりました。
連休明けの音楽、久しぶりの学校で楽しい授業をしたくて、子どもたちに今時の英語の曲を歌ってもらおうと、教科書にはない楽譜を選んでいたときの発症でした。明日という日が、当たり前のようにやってくる、、、そう信じて疑わなかったからこその行動でした。
そのような中、経験したことのない苦しみの中で意識を失い、気がついたときには自分のことすらできない状態。私は現実を受け止めきれていなかったのだと思います。そんなエピソードをひとつ。
これは、付き添ってくれていた主人から、後に聞いた話です。
ウトウトとしてもすぐ覚醒を繰り返していた不眠の頃、むくっと私が起き出し、ふらふらしながら頼りない足取りで、空いていた隣の病室に入っていったというのです。
そして手を挙げてこう言ったそうです。
「はぁい、1組はこっち!2組はこっち!」
そういえば、夢かうつつかわからない日々の中、そういう夢を見ていたような記憶があります。
発症前は自覚すらしていませんでしたが、こんなにも私は教師だったんだと、初めて実感した出来事です。
なのに、どれだけの後遺症が残るのかもわからず、社会復帰すらできるかどうかわからない、教師の仕事に戻れるかどうかなんて、夢のまた夢という現実、、、。
だからこそ、ほんのひととき、夢の中でだけ教師に戻っていたのかもしれません。