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その狙撃手、天才につき 〜フルト=ルクスの狙撃にっき〜【750万PV感謝】  作者: ひろしたよだか


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21)洋館の謎① ささやかな冒険

今日の日記


 昨日ソニアと聞いた謎の洋館の話は、図書館を出るまでみんなには内緒にしておいた。


 騒いで図書館を追い出されたら、ハインツとハナの補習の危機だからね。ハインツとハナのノートを写す作業は最低でも3日はかかるので、騒いで出入り禁止とかは困る。


 日も暮れた頃、ヘロヘロのハインツとハナを連れて図書館からから出た僕は、ようやくさっき聞いた不穏な会話のことを口にする。


「明日は休み! それは是非探索に行くべきだ! 行く人!」と宣言して、元気よく手を挙げたのは、ハインツとハナ。


 けれどその直後、「夏休暇(バカンス)、補習、、」とマリアに呟かれてスススと、その手を下げていた。


「私は幽霊とか苦手だから、2人をかん、、見守っているね」とマリア。


 ラット君も「僕も幽霊はいいや」とマリアと共にハインツとハナを監視、じゃなくて応援とサポートのために残ると言った。


 逆に乗り気なのはリックさんとフランク。



 リックさんはともかく、フランクはちょっと意外だな。幽霊とか信じていないタイプかと思っていた。


「もちろん、信じてないよ? ただ、学園内に謎の洋館があるなんて面白そうじゃないか」と言う理由だった。


 僕も探索では見かけなかった洋館には、ちょっと興味はある。


 ただ、フランクほど割り切っているわけではない。僕は山で一夜を過ごすことも多かったから、得体のしれないものの気配や、昔話もたくさん知っている。だから、一概に「いない」というほどの自信はない。


 まぁとにかく、僕とソニア、リックさんとフランクの4人は謎の洋館を探索しようということになったんだ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 朝ごはんを食べて、ラット君とフランクと共に、ひとり足取りの重いハインツを連れて外に出る。


 うん、暑くなる前の日差しと、まだ涼しい風を送ろうとする季節のせめぎ合いですごく気持ちのいい、爽やかな朝だ。


「おはよー!」


 遠くから元気のいいソニアの挨拶に手を振って返すと、その横にはハインツ同様この世の終わりのような暗い顔をしているハナがいた。

近づいて声をかける。


「おはよう。早いね」


「うん。ハナが早く来たから」


「へぇ、偉いね、ハナ」


「うう、やりたくはない、でも、夏休暇(バカンス)が、、、でござる」


 ハナの中の葛藤で、夏休暇(バカンス)に行きたい気持ちが勝った結果なのだろう


「マリアちゃんとリックさんはまだみたい。どうする? 先に図書館に行っていようか?」


 ソニアの提案にラット君が応じる


「じゃあ僕がハインツとハナを連れて行って先に始めているよ。ソニアたちは今日は洋館を探しに行くんだろ? ここでリックさんを待って、合流したらそのまま行きなよ。マリアが先にきたら図書館で待っているって言っておいて」


 ラット君に引きずられてゆくハインツとハナには、売られてゆく子牛のような物悲しさがあった、、、頑張れ。


 寮と校舎の廊下のヘリに腰掛けて、リックさんとマリアを待つ。


 休日早朝の学園は、びっくりするくらい静かで、少し、気分がいい。



「、、、、しかし、本当に幽霊の出る洋館なんてあるのかねぇ」フランクがのんびりした口調で言った。


「うーん。そもそも学園内に洋館があること自体怪しいよね」と僕がいうと。


「そうだね。幽霊よりも学園の中に洋館がある方が怖い気がするよね」と返って来た。


「もしかしたら、昔の訓練場なんじゃない」ソニアが思いつきを口にするも


「戦闘訓練で洋館の中で戦うって、どんな状況さ」とフランクに笑われて「もう!」と頬を膨らませる。


 本当にいたとしても、こんな朝っぱらから幽霊が出るとは僕らも思っていない。


 どちらかといえば学園内に洋館があるなんて、奇妙なシチュエーションに興味があるというのが正直なところだ。


 そんな風にぼんやり考えていたところに小柄な少女が走ってくる。


「あ、マリアちゃんだ! おーい」ソニアが手を振ると、息を切らして僕たちの前に駆け込んだマリア。


「はぁ、はぁ、ごめんね! 遅れちゃった!?」


「私たちが早かっただけだから大丈夫。まだリックさんも来ていないよー」


 ラット君が2人を連れて先に行っている旨を伝えていると、向こうの方からのんびりと歩いてくる体格のいい男性の姿が見えた。


「あ、リックさんも来た」フランクが立ち上がって、パンパンとショートパンツについた埃を叩く。


 息を整えたマリアと別れて、僕たちは校舎の横を抜けて北へ。


 学園は中央に十字に大通りがあり、大きく4つのエリアに当分されている。


 僕らの通っている校舎は南東エリアのブロックだ。校舎の北側、北東エリアは旧校舎と兵種棟と研究棟が主な建物で、僕たち学生は兵種棟以外で立ち寄ることは滅多にない。だから、学園の奥、なんてもったいぶった言い方をするならこのエリアが一番怪しい。


 なにせ研究棟周辺は立ち入り禁止の建物もあり、場合によっては学生といえど拘束される可能性があるから、必要以上にウロウロすることはほとんどないのだ。


 無論、立ち入り禁止エリアは警告タグがついているので、よほどうっかりしない限りは大丈夫だけど。


 昨日の図書館で、ハインツ達の勉強を待っている間、洋館のありそうな場所はソニアとこっそりあたりをつけてみた。


 まず、通りから見える場所にあれば誰かしら知っていそうなので、エリアの奥の方なのは間違いないだろう。


 さらに兵種棟の周辺に関しては、僕はともかく他のメンバーはなんども兵種棟に出入りしているから、その周辺も考えにくい。


 そしてもう一つ、昨日噂していた2人組も学生だったということは、研究棟の近くではないだろう。


 その学生が軍関係者の噂を又聞きしたとかではない限り。


 とすれば、最も可能性の高いのは旧校舎の裏手、もしくはその奥。旧校舎の裏手は実戦場のある実技エリア同様に鬱蒼とした森が広がっている。旧校舎などよほどの用がないと近づかないので、一番ここが怪しい。


道すがら旧校舎の裏を探索してみようと提案すると、リックさん、フランクの両名から異論は出なかった。



 さてと、鬼が出るか蛇が出るか、、、それともただ無駄な時間を過ごすのか。



 休日の小さな冒険の始まりだ。





挿絵(By みてみん)


誤字報告ありがとうございます(*´∀`*)

助かります。

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― 新着の感想 ―
よく考えるとこの小説の舞台はそもそも西洋風異世界なわけだが この場合、洋館の「洋」とは何を意味するものなのだろうか……
[気になる点] 洋館違和感そりゃイカン 確かに読者の感覚からすれば『洋館』なんだろうけど 登場人物達の視点からすればそれは『館(屋敷)』では無いだろうか? 似たような表現に『和服/洋服』なんてのも…
[一言]  狙撃の天才もやはり一人の少年ですね。こう言う細やかな楽しみを嬉々として胸の中で膨らませる姿を読むと少年は良いな、と憧憬します。  バトル要素が組み込まれていたって少年はこうあって欲しいで…
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