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【コント】告白

作者: 蒼ノ下雷太郎

場所:部室


役:後輩(女)=ボケ 先輩(男)=ツッコミ


後輩:

先輩――好きです。付き合ってください。


先輩:

え、いやです。


後輩:

………。


先輩:

………。


後輩:

え、いや、ちょっと。早くない、早くないですか?


先輩:

俺は……人など信じない。


後輩:

うわ、まさかの信頼度ゼロ。私と先輩、どれだけの付き合いだと思ってるんですか。


先輩:

たった一年くらいだろうが。……もしかしたら、お前は友達と共謀して罰ゲームで俺に告白したのかもしれない。


後輩:

私は友達いませんよ!


先輩:

その返しは予想外だな! でも、まぁ、そうか。きみはそういう奴か。


後輩:

私と付き合わないとストーカーしますよ?


先輩:

ほら、こういうとこな! こういうとこがダメなんだぞ!


後輩:

私が盗んだリコーダーだって返さないですよ? 返してほしければ……。


先輩:

ぬぅっ!(取り返そうとする)


後輩:

やめてよぉぉぉぉっ――あぁっ! 私の大切なリコーダー! 大切なのを奪わないで! 私のリコーダー!


先輩:

元から僕のだ! 何なんだ、きみは。な、なんで、リコーダーなんて盗むんだ。


後輩:

えへっ、知りたいですか。


先輩:

……いや、いい。


後輩:

もう! 先輩は何故私じゃ不満なんですか! これだけ可愛い超絶美少女なのに!


先輩:

そういうとこだよ! そういうとこ! ま、まぁ、美少女なのは否定しないけど。


後輩:

結婚する?


先輩:

飛ばしてる。さっきまで付き合う付き合わないの段階だったのに飛ばしてる。そういうとこ。ほんと、そういうとこだぞ。


後輩:

うぅ、だって……先輩の顔と同じ子を産んで、同じ顔二人と幸せな家庭を築きたいだけなのに。


先輩:

人をソシャゲのカードみたいに言わないでくれるかな。まったく……そういうとこがなければ、可愛いのに。


後輩:

え、何か言いました?


先輩:

言ってないよ。何も。


後輩:

「そういうとこがなければ、可愛いのに」って言いませんでした?


先輩:

聞こえてるじゃん! そういうのが嫌なんだよ、もう!


後輩:

どうしても、先輩、私と付き合ってくれないんですか。


先輩:

あのね。付き合うってね。そういう、無理を通せば成立するものじゃなくてね。


後輩:

……っ、ぅぇ。


先輩:

え、ちょっと。


後輩:

うえええええええええんっ、先輩にふられたあああああああああっ!


先輩:

えぇぇぇっ、盛大に泣かないでくれよぉー。


後輩:

だっで、ぜ、ぜんばいが……ぜんばいが……ぐすっ。わだじなんで、わだじなんで……ぎだいなんでずね……うぅぅぅっ。


先輩:

そ、そういうわけじゃなくて。むしろ、好きというか。ほんとは、好ましく思ってるんだけど。その……。


後輩:

はい、言質とったああああああああっ! 取ったどおおおおおおっ! はははっ、ちゃんとスマホで録音しましたよ。これで先輩は強制的に私の性奴隷――て、あああああああああああああああっ! スマホ窓から投げないでええええええええええっ!


先輩:

こいつ、ほんと、無茶しやがって。


後輩:

だって……こうしないと、確実な方法取れないし。私、絶対先輩と付き合いたいし。○○○○したいし。○○○○、超したいし。


先輩:

……はぁ。


後輩:

た、ため息なんてつかないでくださいよぉ。


先輩:

じゃあ、付き合うか。


後輩:

ん?


先輩:

付き合わない? 僕と。


後輩:

ん、んん??


先輩:

好きです。僕と付き合ってください。


後輩:

え、ちょちょちょっ――んんんんん??????


先輩:

いや、強引な手段が嫌なだけで……きみのことは嫌いじゃないしね。それに、付き合うなら、僕の方から好きって言いたかったから。


後輩:

かわいいいいいいいいいいいいいいいいいっ! こいつ、世界一、かわいいいいいいいいいいいいいいいっ!


先輩:

窓を開けて叫ばない! そういうとこだからな、ほんと! ……まあ、そんなハチャメチャなとこが好きでもあるんだけど。


後輩:

キャッハアアアアアアアッ! もう先輩、めちゃくちゃ可愛いこと言っちゃって! この、この!


先輩:

こらこら、抱きつくな。僕の体にしがみつくな。何だか、総合格闘技を取り入れたアクション映画みたいに僕のからだで動き回るな。猿みたいに動き回るな。ちょ、テンション上げすぎだよ!


後輩:

でも、私のこと好きなんでしょ?


先輩:

いや、その――まぁ。


後輩:

この男、世界一、かわいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!


先輩:

だから、窓を開けて叫ばないで!


終わり

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