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『俺』とゴブ『リン』~俺のスキルは逆テイム?二人三脚、人助け冒険譚~   作者: 新谷望
6章 英雄ミナト編

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51話 悪霊王の最期



「ハッハッハ!アーサーよ、そして地を這う愚かな人間どもよ。よく見ておくがよい!我が力を!そして、この地にたむろする者共が絶望の内に消え逝くさまを!我が目を通じ、この光景をしかと焼き付けよ!」


 俺達の見る前で遥か上空へと舞い上がったリデルが叫ぶ。リデルの纏う黒きオーラがまるで炎のように激しく燃え上がり、そして輝く。


「我が前に集いし全ての者どもよ。刮目せよ!霊幻なる神々の剣ホーリーオブインベージョン!!」


 リデルの声が響き、と同時に辺りが急に闇に飲まれたように暗くなる。


 時を置かず空の一部が突然、ぐにゃりと歪んだ。その歪みはうねりだしたかと思うと渦となり、雷鳴を伴う徐々に巨大な大渦おおうずへとその姿を変えていった。


「なっ……!あいつ何をやらかすつもりだ!?」


「ミナト!あれ!あのぐるぐるの真ん中!」

 

「あれは……剣!?」


 俺達が見上げる先。上空の渦の中から姿を見せたのは巨大な剣先。とてつもなく大きな大剣が徐々にその姿を露わにしていく。その切っ先は俺達のいる地上に向けられている。


 これは……この現象は……!?


「ふむ。時空の渦が出現したカネ……。なんとも大変な事になったカネェ」


 聞き覚えのあるのんびりとした声にハッと我に返る。俺の隣にいつの間にかタヌ男が佇んでいた。


「タヌ男!?なんでここにいるんだ!あいつ今ヤバそうな魔法を使ったんだ。タヌ男は早くどこかに逃げないと……!」


「心配するな。「あれ」が発動されればどこに居ても同じカネ」


「なんだって?どういう事だ?」


 俺の問いかけに答えず、空を見上げたまま淡々と答えるタヌ男。その声色には慌てる様子は全くない。


「ねぇタヌ男。あのおっきな剣はなんなの?」


「あれは『霊幻なる神々の剣ホーリーオブインベージョン』といってな。魔力で創り出した巨大な剣を地上に落下させるという魔法カネ」


霊幻なる神々の剣ホーリーオブインベージョン……」


「あの剣が地表に突き刺さった瞬間、凄まじいまでの衝撃が起こるカネ。もちろんその周囲の人間は一瞬で吹き飛ぶ威力を誇る。お前達の言う大魔法カネ」


「大魔法!?やっぱりあれは大魔法なんだな!?そのホーリー何とかってのは!?」


「うむカネ。さらに地表に魔力の爆発が起こるカネ。それにより起こるのは天変地異。地が裂け、隆起し、地割れがそこにいる人間を呑み込むのカネ」


「じゃああれは、あの大っきな剣を「えーいっ!」て投げて、下にいる人達を「どっか~ん!」って倒す魔法なの?」


「まぁ、簡単に言えばそうカネ。あれは親父リデル固有の魔法でな。攻撃範囲は非常に広いカネ。直撃した場所は勿論だが、それによって起きる天変地異はゆうにこの平原全体に及ぶカネ」


「平原全体って……嘘だろ!?いくらなんでも広範囲すぎるぜ。てことはここにいる兵士全員が被害を受けるってことじゃんか!何万人の兵士がいると思っているんだっ!」


「ミ、ミナトぉ……」


 どうしよう?と言うようにリンが俺を見る。


 俺もゴクリと唾を飲み込む。


ベルナール平原(ここ)は十数万もの兵士が展開できるくらい広さがある。以前、双子山で使用された大魔法『炎獄之舞踏場インフェルノフィールド』。それよりさらに広大な範囲に影響を与える魔法をリデルは単独で使えるってのかよ!?


「嘘ではないカネ。親父は隣国との戦いにてアレを発動したことがあるカネ。我の産まれる前の話だが、あの時の我が国はまだ勢力基盤が脆弱な弱小国でな。ある時、劣勢に陥った我が王国は王都にまで攻め寄せられた事があったカネ」


「……」


「勢いに乗った敵兵は数万の敵が城下にまで攻め寄せたカネ。親父は敵に向けてあれを放った。攻め寄せた敵は発動した爆発と衝撃にある者は身体を裂かれ、またある者は地割れに飲み込まれた。魔法がおさまった時、眼前に展開していた敵の大軍は残らず消え去っていたそうカネ。その惨状を見ていた配下の者は王に逆らう気を完全に失ったと聞いたカネ」


「いやいやいや、ちょっと待て!タヌ男!まがりなりにもリデルはセイルス王国を乗っ取ったにしろ、一応は王様だろう?なのに、アイツは自分の守るべき民にその大魔法を使う気なの!何でだよ!?俺には全然意味がわからん……。くそっ、本当にそんなもん発動させてたまるか!いや、もう発動してるか……。タヌ男!何かアレを止める方法はないのか!?」


「ないカネ。一度発動したら止めることはできん。あの闇の渦から剣が全容を現した時、魔法が発動するカネ。今から逃げようとしても間に合わん。だからどこにいても同じなのカネ。」


 ここには沢山の兵士がいる。そして、セリシアの大結界によって直接被害がなかったとはいえ、彼等は今回の戦いで大魔法を体験済みだ。あの光景は兵士達にトラウマを植え付けるには充分すぎるだろう。


 いとも簡単に命を刈り取る大魔法。それを再び目の当たりにした兵士達のどよめきや怒号、悲鳴が風に乗って何処からか聞こえてくる。


 ここで大魔法を放てば膨大な数の犠牲者がでる。それを分かっていながらリデルはアーサーや俺達に見せつけるためだけに魔法を発動させた。


 やっぱりリデルはセイルス王国や人族を単なる道具としてしか見ていなかったんじゃないか!奴にとっては俺達人族は自分の種族じゃないんだ。だからこんなためらいもなく俺達に殺意をむけられるんだろう。


 ふざけやがって!俺達は数字じゃねぇんだぞ!!


「我の知る親父は我には厳しくあたったが、民には慈しみをもって接した。しかし、今のあやつは王に返り咲く事のみに執着する存在に成り果ててしまったようカネ。霊魂になって長きに渡る流浪と孤独が心を蝕んだのかネェ……」


「なんとかあれを防げないの?ミナト!」


「そうだ大結界!セリシアさんが作った結界が発動すれば……!」


 俺達が戦場に来る前、奴らが発動させた大魔法を防いだ大結界。あれをもう一度発動すれば攻撃を防げる!


「無理カネ。あれを発動できるのは一度きり。お前達が集めた魔力も残っておるまい」


「マジかよ……」


 苦労して手に入れた高濃縮の魔元晶。あれほどのものでも、たった一度しか大結界を展開できないってのか!?


「それだけ大規模な結界は莫大な出力がいるということカネ。あの大魔法はあの剣が完全に出現した瞬間に発動するカネ。まぁ、逃げる時間はないが発動までその姿を拝む事はできる。聞いた話ではあの剣にはそれは美しい装飾が施されているらしいカネ。最後にそれを拝んで死ぬのも冥府への土産話になるカネェ」


「アホか!なにを諦観してんだ!あんな奴の意のままに人生を終ってたまるかよ!!」


 上空を睨む。時空の渦から現れた巨大な剣は既にその刀身の大部分を露わにし、残るは持ち手の柄のみになった。もう発動までに残された猶予はほぼない。


 もはや敵だ味方だと争っている場合じゃない。俺達の敵は上空にいる。


 ……これが王かよ。リデルはこんな事をする為に気の遠くなる程の時間を宛もなく彷徨って、挙げ句に他人の身体を乗っ取って、王位を簒奪したってのか?


 そんな事までしてなぜ王にこだわる?亡国の故郷を復活させる為?だが、ここにいる人々はお前とはそもそも生きていた時代が違う。家族も居ない。全く縁もゆかりも無い。そんな国の王になって何になる?それでお前は満たされるのか?虚構の王にいったいどれ程の価値があるっていうんだ。


 権力の頂点に君臨する王。でも、俺からすれば王なんて心労がやばすぎてしんどいだけの仕事だ。少なくとも俺は絶対就きたいとは思わない。


 さらに常に国と国民を他国から守らなきゃいけない緊張と、国を富ませ平和を維持し続ける努力を常に怠る事なく続けなきゃいけない。


 そんな環境下で、最高権力者ゆえの孤独とも相対しながら自我を保たなきゃいけない。孤独ゆえに猜疑心に蝕まれ誰も信用できなくなる。些細な出来事で今まで尽くしてくれた家臣を誅殺するなんて事も歴史の中ではままある事だ。王としての重圧を無視して国政を放り出し、酒池肉林に耽った王の末路もろくなもんじゃないしな。


 俺は俺自身が弱い人間だとよく分かっている。権力という「呪い」にかかって俺の大切な人達を失うのはごめんだ。それなら小市民のままでいたほうがよほどいい。


 ……だからこそ、なんとしてでも止める。止めてやる!あんな奴の為に俺の大切なものが奪われるなんてまっぴらだ!!


「タヌ男、俺は諦めないぜ。絶対にな!」


「ではどうする?生半可な魔法では到底太刀打ちできん。リデルは愚かな王カネ。しかし、その力は圧倒的。我々はあまりに無力カネ」


「……できるさ」


「しかし、どうやって魔力の剣(まほう)を防ぐカネ?あれが発動してしまった以上、我等にもう打つ手は……」


「いいかタヌ男。昔、誰かが言ってたんだ。「本当の敵は諦めだ」って。人はなんだって出来るんだぜ!な、リン!」


 リンが笑顔でニッと笑って頷いた。


「そうだよタヌ男!人は何だって出来るんだよ!ほんの少しの知恵と勇気とそれに……!」


「「頼りになる相棒さえ居ればね!」」


 俺とリンの声が重なった。リンが弾けんばかりの笑顔で、愛剣が溢れ出すオーラで応える。


 かつてミサーク村がシャサイによって危機に瀕した時、俺達は村を救うため戦った。その時、数少ない協力者だったアニーにも同じ事を言ったのだ。そして、リンやアニーの協力で村を救えたのだ。


「大丈夫だよ。タヌ男!ミナトはいつでもみんなを守ってくれたんだよ。今回も見ててね!……ミナトは世界一強いリンのマスターなんだから!」


 リンの自信に満ちた声。その声とぬくもりがいつだって俺に力を与えてくれた。


 リンはいつも俺を信じてくれる。だからリンが信じてくれる限り俺も全力でその信頼に応えよう!


 俺の水魔法で敵からの攻撃を防ぐものには水の壁(アクアウォール)完全なる水の障壁(イージスウォール)があるが、どちらもとても平原全体を護りきれるほどの範囲はない。


 だったらどうする……?決まってる。


 無ければ創り出せばいい!


「リン、よく聞いてくれ。俺はあの大剣を何としても止めたい。でもタヌ男の話の通り、あれにはとてつもなく膨大な魔力が秘められている。下手をすれば命に関わる。それでも……俺に協力してくれるかい?」


「もちろん!リンはいつもミナトと一緒だよ!」


 リンの笑顔。目を閉じて集中する。


 リンだけじゃない。エリスやハロルドをはじめ、双子山やバーグマン領のみんな。何よりこれから産まれてくる俺の子供の為。


 最後の最後まで足掻いて足掻いて足掻きまくってやる!!


 感覚を研ぎ澄ませ、イメージを膨らませる。


『……呼び覚ますは光り輝く鎧を纏いし、神の尖兵。その威風、何物にも屈せず。その手に掲げるは水鏡のように磨き輝く神々の盾。何物もそれを貫くこと能わず!』


「『絶対的な守護者アブソリュートガーディアン』!!」


 発動の瞬間、上空に巨大な騎士の幻影が浮かび上がった。その手には青白く光る大盾を持っている。


「すごい……すごいよ!ミナト!お空にでっかいウィルが!」


「騎士の幻影とは……こんなものを見ることになるとはカネ……」


 現れた騎士が、俺の動きと連動し悠然と大盾を構える。その時、脳内にリデルの念話が響き渡った。


「クックック、何をするかと思えば……。騎士の幻影とはな。実に面白き男よ。しかし、それは薄布で強弓を防ごうとするに等しい。かような薄盾で余の神のつるぎを防げると本気でおもっているのか?」


「……なら試してみればいいさ」


「よかろう。貴様は我が威光に逆らい、兵士どもに僅かな希望を抱かせた。しかし、それはすぐに絶望へと変わる。その罪を抱きながら消えていくがよい!」


 上空のつるぎが遂にその全容を現した。


「滅びよ!!霊幻なる神々の剣ホーリーオブインベージョン!!」


 上空から巨大な剣が落下する。その速度は地上に近づく事に加速度を増していく。


 そして、騎士が構える大盾に直撃した。それと同時に周囲に衝撃波が巻き起こる。


「あぐうっ!?」


 剣が命中した直後、俺の身体に激痛が走る。腕が、足が、全身がバラバラになるような体験した事がない痛み。


「ミ、ミナト……」


 リンの呻くような声が聞こえる。


「ふぅぅ……!うぐぐぐぐっ……!だ、大丈夫か、リ……ン……!?」


「だい……じょ〜ぶ!」


 リンが返事を返す。だけど、全然大丈夫じゃない事は俺にも分かる。きっとリンも同じ痛みに耐えてるんだ。


 愛剣ぼくとうからも膨大な魔力が俺に流れ込んでいる。なのに全然支えきれない。


 リデルの放った大剣が大盾をじわりじわりと押していく。俺の身体がギシギシと悲鳴をあげる。


「ミナト!!これじゃダメだよっ!もっと……もっと魔力をいっぱい出さないとぉ!」


「……ああっ。分かってる!!」


 くそぉっ……!もうフルパワーで魔力形成してるってのに!これが魔王まおうの力ってやつなのかよ!?


 上空ではリデルもまた魔力を放出している。


 そうか、奴もまた魔力を使ってこの大魔法を維持しているんだな。これに対抗するには、もっと……もっと出力を上げるんだ!身体の全てから魔力を放出させろ!


 リンと愛剣から魔力供給を受けながら、更に魔力出力を上げる。


 奴の剣が地上に到達してしまったら全てが終わる。なんとしてでも食い止めるんだ!


 しかし、その意気とは裏腹に俺の体内魔力は既にそのほとんどを使い切ってしまっていた。大魔法が発動してまだ少しの時。


 しかし、あまりに強大な大魔法を受け止めるのには瞬間的に膨大な魔力を一気に放出させねばならない。全力疾走でフルマラソンを走る事はできないように全力以上の魔力を放出した為に短時間で体内魔力が一気に枯渇してしまったのだ。


『ミナト!私ノ魔力、モット使ッテ!』


 愛剣から魔力が供給される。ただこいつだってかなり無理をしている。今だってそう。俺が今かろうじて魔法を維持できているのは常にこの木刀が魔力を俺に供給し続けてくれているお陰だ。


 俺の木刀は今まで自分の魔力を俺に譲渡し続けてきた。この世界に来てからずっと一緒だった。


 だからこそ分かる。もう愛剣の持つ魔力がもう残り少ない事に。これ以上はだめだ。既にその刀身からだには今まで決してつかなかった亀裂があちこちに入り始めていた。


「クククッ!よくここまで耐えた。人族ながら実に天晴だ。ここで死なすには惜しい。どうだ?余の配下とならぬか?さすれば貴様とそのゴブリン共に世界フォルナの頂点を目指そうではないか?」


 リデルの声が聞こえる。それと同時に鳴り響くアラーム音。消えかかる意識。魔力は既に底を着いていた。俺達を守る盾。そこにピシピシと亀裂が走る。


 まだだ……!俺達は……まだ倒れるわけにはいかない!俺は……まだ……!


『ミー君!リンリン!』


 あれ……?エリスの声……?おかしいな、エリスはバーグマン領にいるはずなのに……?


 なぜかエリスの声が聞こえた気がした。


『……ミナト、負けちゃダメ!』


『ミナトさん!しっかり!』


 これはラナとライ……?どうして二人の声が?


『なによ〜!ミナト、あんたあーしより凄い魔法使えるんじゃん。あとであーしにも教えなさいよね!あーしの残った魔力、全部あんたに送るわ。ここまできたら魔術士の頂点になりなさいよ!』


 今度は明るいジョリーナの励ます声が。


『ミナト。君は真の英雄だ。君の肩に王国の命運がかかっている。踏みとどまれ!』


 力強いハロルドの声が。


『頑張れ、踏ん張ってくれ、ミナト、リン!』


 そして、ルカやオスカー、兵士達の声援が聞こえる。


『ミナト様!』『主様あるじさま!』


 ウィルやコタロウ、ツバキの声が響く。


『ぜひ我らの魔力もお使い下さい!』


わたくしの全ての魔力をお送り致しますわ!』


『さぁ、ミナト騎士団の者どもよ!今こそご恩に報いる時ぞ!ミナト様に魔力を送るのだ!』


 ウィルの号令に鯨波の様な雄叫びが聞こえてくる。


『我ら耳目衆も遅れをとるな。持てる全ての魔力を注げ!』


 これは……?いったいどうしてみんなの声が……?


『ミナト、私の声が聞こえますね?』


 パナケイア……さん?


『聞こえますか?皆の声が。あなたのその魔法にこの場にいる全ての人々の命がかかっています。あなたこそが最後の希望なのです』


 ……ええ、届いていますよ。みんなの声が!俺を励ます声、祈り、そして、みんなが敵味方関係なく魔力を送ってくれる。


 俺の身体が生気をとりもどしていく。乾ききった大地に水が染み込むように。


「頑張ってくれミナト!」


「もう少しよミナト君!」


「……ミナト!」


「ミナトさん!」


 ありがとう。本当にありがとな、みんな!!


 聞き覚えのある声、平原から湧き上がる歓声。光を失いかけていた大盾が再びその輝きを取り戻す。


「なぜだ!なぜあの状態からなぜ魔力が回復する!?貴様、いったい何をした!?」


「何もしてないさ。ただ俺達はセイルス王国はお前の思い通りにはならない。それだけだ!」


 今度はこっちの番だ!受け取った魔力を力に変えて、全力で!!


「なっ、まだ魔力が上がるだと!?」


「リデル!俺の、俺達の想い、存分に受け取りやがれぇっ!!」


「くっ!?バカな!余よりあの小僧の魔力が上回っているというのかっ!?」


「俺は……俺は一人じゃないんだ!お前と……お前なんかと違ってなあぁぁっ!!」


 力を得た盾は光を増し、大剣を押し戻す。その刀身に落雷のような亀裂が走る。それはまるで生きているかのように大剣全体に広がっていく。


「っ!?この様な事が……あり得ぬ!断じてあってはならぬっ!」


 幾重にも血管のように走った亀裂。そこから光が漏れ出し、やがて全体を包み込む。


「おのれ……おのれ……!余は王ぞ!余が……偉大なるコウカクの民が、あのような小僧に敗れるなどとっ……!あってはならぬ!ならぬのだ……!」


 次の瞬間、断末魔のような強烈な光を放った魔力のつるぎ光の破片となり、弾け飛んだ。


「バ……カ……な……」


 俺の目に魔力を失い、落下していくリデルの姿が映った。




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