29話 ローザリア城潜入
湿った土の臭いに包まれているこの地下通路は、普段は全く使用されていないらしく、道の先には何の明かりも見えない。先導し警戒にあたるコタロウが、ヒカリゴケの入ったカンテラで、ほんの少し先を照らしつつ進んでいるがそれ以外に光はなく、二人を助け出す使命感がなければ、恐怖で立ちすくんでしまったかもしれない。
……どのくらい歩いた頃だろうか。ようやっと暗闇に慣れた目で周囲を見る。お、この通路、おそらく手掘りでつくられているのだろうが、土留めと思われる柱が設置されていて、意外にしっかりとした造りになっているな。幸い、高さには余裕があり、リンを肩車していても天井に頭をぶつける事はなかった。
どこにどんな敵が潜んでいるかも分からない。でも、いまのところはリンやコタロウが気配探知を使って警戒している。接敵の心配はないだろう。……多分。
「……サード。それで今、どの位まで進んだの?お城までどのくらい?」
ドッグウルフのポン太に乗ったラナが俺にささやいた。
今のところ、地下通路は一本道で同じ様な景色が続く。周囲を警戒しながらゆっくりと進んでいるため、どれくらい歩いたのか分からなくなってきている。こう、真っ暗だと何だか時間の感覚も麻痺してくるのである。
「コタロウ、どうなんだ?城は近いのか?」
「はい、この通路が最短距離で城に到達していると仮定した場合、そろそろ城の城壁辺りまで来ていると思われます」
「おお!さすがコタロウ。俺達が今いる位置を分かっているんだ」
「はっ、自らの歩幅を一定にし、常に歩数を数えておりますればおおよその距離を算出できます。それにこの辺りの通路は他の場所より支える柱の数が多い。おそらくこの辺りは城壁の真下付近でその重さに耐えられるよう設計されているのではないかと推察します」
「は~!すごい、コタロウ!」
リンが小さな声で感心している。やっぱり日頃から隠密活動をしていると自ずと周囲を観察する能力が磨かれるのか。それにしても……。
「確かにコタロウのやり方なら距離は分かるよ。でも地下通路に入ってからずっと数えていたのかい?」
「御意。自らの身体を測定器代わりにすることで道具がなくとも問題ないよう、我が耳目衆の者達には普段より訓練を課しております」
そんな訓練もあるのか、自分の配下ながらそんな訓練をしているとは思わなかった。こりゃ普段からきちんとねぎらっておかないといかんな、と考えていた時。
「サード様、間もなく地下通路は終わりのようです」
「あ、本当だ」
どれくらい歩いたのか、眼の前に錆びついた引き戸の鉄の扉が現れた。
「錆びついておりますが、開閉する事は可能であります」
扉を調べていたコタロウがそう言った。
「そっか、それならすぐに扉を開けよう」
「……サード様。扉の向こうから何やら物音が聞こえます。どうやら水が流れる音のようです」
「水の音?と言うことは水路なのかな?まあ、何が待ち受けていても俺達は進むしかないけどな」
御意とコタロウは答え、慎重に扉に手をかけ力を込めると、扉はギシギシという音と埃を落としながらゆっくりと開いていった。
すると……。
「うわぁ、凄い!地面の中に川があるよ!サード!」
リンが小さく感嘆の声をあげる。意を決し扉を開けた俺達の視界に飛び込んで来たのは、巨大な地下水路だった。幅は10メートルはあるだろうか、まるで地下に作られた川のような用水路が、満々と水を湛え流れている。長方形状にくり抜かれたトンネル。その中央に水路が走り、それを挟むように左右に通路が設けられていた。
周囲を見回すと壁にはレンガが隙間なく埋め込まれており、そこにヒカリゴケが繁茂し、ぼんやりとした光を放っている。かなり薄暗いものの今まで歩いてきた避難通路とは違い、カンテラがなくても周囲を見渡せる程には視界が確保されている。水路に目を移すと水は途切れる事なく、ごうごうと流れ続けておりかなりの水量を運んでいることをうかがわせた。
「サード、このトンネル見覚えがあるよ。これってノースマハの地下にもあったよね?」
「そうだね。あっちはもう崩れちゃってたけど、こっちは現役なんだな。てことはこの地下水路ってローザリアの街の至る所につながってるのかな?」
俺の疑問をコタロウが引き取る。
「我々が得た情報では、街のかなりの区域まで広がっているようです。街の北に取水場があり、王都近くの川より取水した水を水路にて王都に供給しているとか」
「水道まで完備されているのか。さすが王都。オスカーが技術を学びたいと言っていた気持ちもわかるなぁ」
山奥のミサーク村とローザリアを比べちゃいけないのは分かっているけど、やっぱりこういう物を見ると、「王都の進んだ技術を学びたい!」って思うオスカーの気持ちもわかる。
「上流からながれた水路は分岐し王城と城下町へと別れ、そこから各地に分散するようです。防衛の点から街中の地下から城へは、たどり着けないようになっているようです」
まぁ、確かに、街中から潜って城に辿りつけたら危ないもんな。
「ただ、城と城下町とを繋ぐ秘密の通路があり、アダムス辺境伯も若かりし頃はそれを使って城下町へよく遊びに出かけていた、と」
「ははは、若い頃のアダムス伯って結構遊び人だったみたいだからなぁ」
アダムス伯も、良い言い方をしたら市井の状況を把握する為。悪く言えば酒を豪快に飲み、女と博打場に出入りしてすってんてんになり、衛兵のお世話になったりしたという……。一口に言ってもお堅いイメージのある王族とは一線を画していたらしい。だからハロルドさんとも親しくなったし、今でも庶民の世情にも色々と明るいんだ。
「……にしても、この水路、結構水量があるなぁ。通路ギリギリまで水が来てるし」
水路を挟む左右の通路は至るところが濡れている。しかも通路と水路を仕切る柵はない。うっかり足をすべらせて水路に落ちたらかなりヤバそうだ。
どれくらいの深さがあるんだろう、と水路に近づき、そーっと覗こうとした時だった。突然俺の映る水面に黒い影があらわれる。ん?と思った瞬間。
「サードさん、水の中に何かいます!」
「……っ!?サード危ない!」
ライとリンの叫び声が同時に上り、俺は壁際に飛び退る。と同時に水路から大量の水しぶきがあがり、巨大な口が寸前まで俺がいた空間に噛みついた。ガチィ!という歯と歯がぶつかる音が耳に入る。そしてその音の主は、水飛沫を上げ通路に乗り上げてきた。
「げっ!?こいつはワニか!?」
現れたのは5メートルはある巨大なワニ。しかも一匹だけじゃない。気配を嗅ぎつけたのか、仲間のワニが次々に通路に登ってくる。合計3匹のワニが俺達の前に現れた。おいおい、なんでこんなのが地下水路にいるんだよ!?
「サード、ワニって?」
「水の中に潜んで獲物を狙う生き物だよ!噛む力がものすごく強いんだ。噛みつかれると水中に引き込まれてまず助からない。確か噛みついたまま力任せに振り回すデスロールっていう攻撃もしてくるはずだ!みんな気をつけろ!」
俺の声が戦闘開始の合図になったかのように口を開けたワニ達が、一斉に迫ってくる。尻尾を左右に振りながら突進する動きは地上でも素早い。常人ならきっと逃げ切れないな。
まぁ常人なら、だけどね!
「俺たちが敵にあたる!ラナ、ライ!避難していてくれ!」
「分かった!ライ乗って!」
ラナがライの手を取りポン太に乗せる。そこへ尻尾を左右に振りながら大口を開けた一匹のワニが迫ってくる!
「飛んで!ポン太!」
その瞬間、ポン太が跳躍した。口を開けたワニをジャンプでかわすと上に飛び乗りプレスをかます。その後、10メートルはある水路を楽々飛び越え向こう岸に着地した。
「サード様!こ奴らはガルクロコダイルという川に潜む魔物です!」
「よし、いくぞリン!」
「オッケー!ブロスは隠れてて!」
するとブロスが急いでリンのシャツに潜り込む。ラナ達に逃げられたガルクロコダイルが俺達の方を向く。どうやら標的をこちらに変えたらしい。
「シャアアア!」
身体と尻尾を振り回し、俺達を噛み砕かんと襲い掛かる!
「そんな攻撃、当たらないよ!」
噛みつきを見切ったリンが横に飛んで攻撃をかわす。勢いのついたガルクロコダイルはそのまま壁際まで走り激突した!……と思った瞬間、尻尾を思い切り振り、身体をよじらせたガルクロコダイルが身体を反転させる。
「なっ!?」
その体勢から尻尾をバネの様にしならせ、凄まじい速さで床をボブスレーのように滑ってくる。うそだろぉぉぉ~!!ヤバい!そのまま俺達ごと水路に叩き落とす気だ!
「サード!」
くそっ速い!水魔弾を構える時間がない!……なら!
「喰らえ、水流拳!」
地面から現れた巨大な水の拳がガルクロコダイルを吹き上げた。と同時にリンがナイフを抜き、光刃を発動させる。そこへ飛ばされたガルクロコダイルが降ってきた。
「えーいっ!」
ガルクロコダイルの身体に一筋の光が走り、次の瞬間、真っ二つに切断された身体がドサリと落ちた。よし、まず一匹!
俺達から少し離れた場所ではコタロウが闘っている。
「シャアアア!」
攻撃してきたガルクロコダイルをバックジャンプでかわすコタロウ。さらに噛みつこうと接近するガルクロコダイルを右に、左にと軽やかなステップで避け翻弄する。狙いを定めきれず、焦れるガルクロコダイルが続けざまに攻撃を仕掛けるが、コタロウには当たらない。
そして動きまわり続け、疲れて動きが鈍るガルクロコダイル。その隙を見逃すコタロウじゃない。胸元から二本のクナイを取り出し投げる。それは狙いを過たずガルクロコダイルの両目玉に命中し、視界を奪った。
「ジャアアアア!」
視界を奪われ、のたうち回るガルクロコダイルに狙いを定め、飛翔したコタロウが刀を抜く。ぼんやりと発光する刀を逆手に構えると、その身体に飛びのった。
無言でガルクロコダイルの脳天を刺し貫く。最後に足掻き、暫く身悶えたガルクロコダイルは身体を痙攣させた後、完全に動かなくなった。
この惨状に逃げようとしていた最後の一匹は、俺の水魔弾の餌食となった。
「……終わりました。サード様」
「ふぅ、これでもう敵はいないかな?」
「うん。気配探知にはもう反応はないよ!」
「そっか。お疲れ様。おーい、ラナ、ライ!もう大丈夫だよ、戻っておいで!」
すると暗闇の向こうからラナ達を乗せたポン太が戻ってきた。
「……あいつらを倒したの?」
「ああ。気配はないみたいだし、多分もう大丈夫だよ。ライは大丈夫だったかい?」
「はい!なんとかポン太に掴まってました」
二人とも無事なようでひとまずほっとした。
「……でもサード、あんなに近くに敵が居たのに気配が分からなかったんだよ。リンも気配探知をつかってたのになんでだろう?」
リンがキョロキョロと辺りを見回し、不思議そうにつぶやいた。
「元々ワニって水面に目だけ出して獲物がくるまでじっと待ち構える動物なんだ。きっと気配探知をかわす能力はヤツラのほうが一枚上手だったんだな」
「僕の魔力探知でも最初見た時は、水底に沈むただの岩か流木のようでした。動き出すまでは全くわかりませんでしたよ」
「そうですな。おそらく我らが近づいてくる足音と扉を開ける振動を感じとり、既にあの場に待ち伏せしていたものと思われます。気配探知でも水深のある場所までは探知しづらい。特にあの魔物は気配探知にかからないようにする能力が優れている種なのでしょう」
「うーっ!もっとせーどを上げないとだめだね。双子山に帰ったらヌシ様に修行してもらわなきゃ!」
相変わらずリンは強くなることに貪欲だ。
「でもこれで改めて警戒する事の大切さが分かった。これから王城に乗り込む。これまで以上に厳重な警戒網がしかれているはずだ。皆、覚悟しておこう」
そう言うと全員が頷く。俺達は周囲を警戒しつつ城に向かって歩みを進めた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……サード、おかしくない?まだ城には着かないの?」
後ろからラナの声が聞こえてきた。
俺達は城に向かって地下水路を歩いていた。なのに歩いても歩いても城に入るための階段もドアも見えてこない。ひたすら一本道の水路がずっと向こうまで続いている。地下水路を歩き始めて既に一時間近くになる。そろそろ城に到達するはずだ。はずなのだが……。
「方向は間違いないしもう着いてもいいはずなんだけど……なぁ?コタロウ」
「はっ。我々は地下水路にでてから一直線の通路をひたすら歩いておりました。時間と歩数から勘案するに、通常ならば既に城を通り過ぎてしまう程の距離になってしまいます。これはどうしたことなのか……」
「……サードさん、ちょっといいですか?」
突然、ライが立ち止まった。
「なんだい、ライ?」
「この水路、何かおかしいんです。ここなんですが……」
周囲を見回したあと、壁の一点を指差す。
「ん?この壁がどうかしたのか?」
「この水路、魔力の構造が何か変なんです。なんて言えばいいんだろう……壁のこの箇所、この壁の端から半円状に向こう側の壁の端まで……。なんかギザギザしているというか、つぎはぎというか……とにかく違和感があるんです」
「違和感?この壁がかい?」
「はい。更に歩いているとそういう箇所が定期的に来るんです。不思議に思ってよくよく観察していたら、そのつぎはぎの場所を境に、同じ魔力の構成がずっと繰り返されているんです」
「んん?つまり……どういう事?」
「えっと、なんて言えばいいのかな……。例えば家の中のドアを開けてある部屋に入ったとします。その部屋の突き当たりにまた次の部屋へいくドアがあってそこに行こうとドアを開けたら、そこは次の部屋ではなく、なぜか元の部屋に出てしまった……。それが何回も続いているって感じでしょうか。すみません、上手く説明できなくて……。でもさっきからずっとそんな感覚なんです」
「それって、つまりループしてるって事かい?じゃあ俺達は同じところをグルグル回ってると?」
「あの、昔、師匠からもそういう幻術系のトラップがあると聞いたことがあって……」
ライは視覚ではなく魔力の目で景色を見ている。俺達には感じ取れない違和感を感じ取っているのかもしれない。
「うーん、もしライが言っていることが正しいとすると、いつまで経っても城の真下につかないのも説明がつく。この水路がずっと同じ景色なのも、こういうものだと思い込んでいたけれど、確かにこれだけ歩いたのに分岐する場所もないし」
つまり、この地下水路にはそういうトラップが仕掛けられているという事か。
「これは、どうやったらここから脱出できるんだ?もしかして俺達、永久にこの地下水路に閉じ込められてしまったって言うのか!?」
「……はっ!アダムス伯が確か、この通路はちょっとした仕掛けがあるが、あの連中なら難なく通れるだろうというようなことをおっしゃっておりました!申し訳ありません!某がもっと仔細をお聞きしておれば……!!」
コタロウは肩を落とし、しょんぼりと落ち込んでしまった。
その時、ちょっと時間を下さい、と言ってライは壁を調べ始めた。
「うーん、確かにこの壁、違和感があります。……あれ?サードさん!この壁の向こうに通路があるみたいですよ!」
「何だって!?でも見た感じどこにも扉はないぞ?」
やっぱりどう見てもただの壁だ。扉が開閉するような隙間や仕切りなんてどこにもない。
「でもこの壁の向こうに通路らしき物があるんです!よほど巧妙に隠されているのか、何か仕掛けがあるのか……」
皆で壁を調べるが手元が暗く、よく分からない。……と。
「ねぇ、サード。ブロスが何かやりたいみたいだよ?」
「ん?ブロスが?」
リンから飛び降りたブロスが壁の前に立つ。そしてお祈りをするかのようにハサミを上げ下げしそれを繰り返す。するとブロスの身体がキラキラと輝きだした。
そして、何事かを閃いたのか、大きな方のハサミで壁の一角を指し示す。その壁をよくよく調べると埋め込まれたレンガの一つがスッと抜け、中にスイッチのような物が。それを押すと、眼の前の壁がまるで前世の自動ドアのように左右に別れ、奥から上り階段が現れた。
「おお~!やったぁ!ブロスすごーいすごーい!」
「え!パ……いや、ブロスそれは……!!」
リンがブロスを抱き上げ、ぴょんぴょんと大はしゃぎする。あのキラキラ……。あれって多分、神力だよなぁ……。い、いいの~?こんなところで神力使っちゃって!?でもブロスは片方のハサミをあげてピースピース!って喜んでる。ま、まあいいか。ありがとう、ブロス!君のおかげでトラップを解除できた!いや~よかった!(あとで怒られない?大丈夫!?)
「それにしてもここは城からの避難通路だよな?こんなトラップだらけじゃ城から脱出できないんじゃないか?」
「サード様、これは推察ですが、これらのトラップは侵入者を排除し、城にいれないための物かと。ここはあくまでも城からの緊急用の避難路。ここから敵に侵入されて利用されるようでは一大事ですから。逆に城側から入った場合には、発動しないように設計されているものだったのではないのでしょうか。それにしてもアダムス伯も人が悪うございます……」
アダムス伯のニヤリと笑う顔が思い浮かぶ。てかそういう事は事前に教えておいてくれよ!こっちは命懸けなんだよ、本当に!まぁ、プラスに考えれば「あの連中ならこのくらい簡単に突破できるだろう」って思ってたのかも知れない。俺達の実力を信じているという事なのかも知れないけどさぁ!
……はぁ。それは置いておいて、とにかくここが城への入口のはずだ。ここから城の地下へと繋がっている。エリスとタヌ男を助け出すまでは、もう引き返せないし、引き返さない!
全員、無言で頷き合うと決死の決意を胸に俺達は通路を静かに進んでいく。長い通路を歩くと階段が現れ、それを登ると松明が灯された一本道の通路が見えてきた。今までとは違い、人の気配がするようだ。今まで以上に慎重に歩みを進める。
階段に身を伏せそっと覗くと通路沿いに牢屋がズラリと並んでいた。
「おそらく城内に入ったんだ。ここは地下の牢屋か」
「うん。見張りが一人いるね」
小声でリンが伝えてくる。通路の中程に見張りと思われる兵士が一人立っていた。
「某にお任せあれ。排除して参ります!今度こそお役に立ちまする!」
音もなく姿を消したコタロウ。その直後、兵士がゆっくりと足から崩れ落ち、倒れた。
コタロウからのハンドサインを確認し、俺達も通路に足を踏み入れる。牢は幾つもあるがそのほとんどは収監人はなく空だ。
「サード!あそこの牢屋、誰か居るみたい!あっ!?エリス!?」
「エリス!大丈夫か!?」
「……えっ?あっ!ミー君!!リンリン!!」
倒れた兵士が立っていた正面の牢の中、収監されていたのは紛れもなくエリスだった。