表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/236

18話 キラーグリズリー




「これ程遠くまで周囲を照らす光魔法は初めて見たぜ!どんな魔法なんだミナト!」


 と、前を進むレオから声を掛けられたが、とりあえず俺のスキル「ライト」は「念話」から派生したもので、光魔法とはまた違う俺固有のスキルだ。なんで念話からライトが派生したかは謎だけど。そもそも固有スキルって未だによく分からないことが多いんだよね。


 発現させた光の玉を上空で光らせると、昼間ような光量がある。視界は半径50メートルといったところ。光の玉は俺が移動すると同じように動く為、常に視界は確保されるのだ。欠点としては直視すると非常に眩しい事。


 キャンプ地をギースの取り巻き達に任せた俺達は、救援の花火が上がった山頂付近に急ぐ。


「も~、睡眠不足はお肌の大敵なんですけどぉ~?」


 ボヤきながらあくびをするジョリーナ。仮眠のはずがマジ寝していた彼女はご機嫌斜めだ。魔物がいる山の中、しかも昇格試験の最中にマジ寝できるその胆力には素直にすげーと思う。まぁ、危ないんだけどね。そんな彼女に聞こえるようにエドがつぶやく。


「あの花火は緊急事態に陥った時にしか使用しない。あれが上がった際には周囲に居るパーティは救援に向かうのがルールだ」


「え~。それが分かってても行かないパーティも居るし~?もし、めちゃヤバな魔物だったら、逆にあーしらがヤバいじゃん?」


「仮にそうだったとしても、故意に無視した時は罰せられる可能性もある。今回は特に試験の最中(さなか)に試験官もいる中で起こった緊急事態だ。俺達が行かなくてどうする」


「そうだけどさ~。はぁ、エドちん周りの人から頭固いって言われね~?融通きかせてかないと、ジンセイ渡っていけないよ~?エドちんの彼女マジ大変~!……あ、いないか?」


「お前に心配される(いわ)れはない。余計なお世話だ」


「きゃははは!図星ですか~??頑張れエドちん!」


 俺の後ろから二人の会話が聞こえてくる。二人ともいい意味でも悪い意味でもマイペースだ。頼むから戦闘中にケンカはしないでくれよ、と俺は祈った。


「ミナト!前の方から気配がする!魔物じゃないみたいだけど……」


 気配を探っていたリンが前方を指さした。恐らく俺の「ライト」の光を見てこちらに逃げてきた受験者だろう。全員に指示をだし、その場に立ち止まり様子を見る。すると……。


「うわぁー!」「た、助けてくれ~!」


 目の前に見覚えのある数名の冒険者達が姿を現し、駆け込んできた。その中にはあのギースの姿もある。


「おい。大丈夫か!?キラーグリズリーが出たのか!?」


「い、居た!でも奴は一頭じゃない。何頭もいたんだ!」


「なんだって!?」


 キラーグリズリーは縄張り意識が強く、単独で行動する魔物だといわれていた。だから今回の試験も一匹のキラーグリズリーの討伐という前提で組まれている。


 よほど恐ろしい目にあったのだろう。顔が引きつり恐怖に顔を歪めている。俺達をみると安心したのかへたり込んでしまう冒険者もいた。


「トラインさんが「ヤバい、やつら徒党を組んでやがる。お前ら逃げろ」と言って……。トラインさんがキラーグリズリーを引き付ける間に俺達は逃げてきたんだ」


「そうなのか……。それでトラインさんは?他の受験者は?」


 そう聞くが彼は悔しげに俯いたまま首を振る。その横で一人の受験者が激しい怒りをぶちまけた。


「全く、なにがどうなってやがる!こんなヤバい試験なんてきいてねぇぞ!俺は今回の試験は楽勝だと聞いていたんだぞ、クソが!無能なギルドも、あんな弱っちい試験官をよこしやがって!」


「なんて事を言うんだギース!トラインさんはキラーグリズリーを引き受けて、俺達を逃がしてくれたんだぞ!」


 逃げてきた受験者がとがめるが、その声も怒り狂うギースには届かない。


「こんな時の為にあの試験官が居るんだろうが!キラーグリズリーくらい倒せねぇのかよ、そろいも揃って役に立たたずの屑どもが!」


 それを聞いた途端、俺の中の何かが切れた。


「……てめぇ、いい加減にしやがれ!」


 俺は反射的にギースを殴り飛ばしていた。


「トラインさんは体を張ってお前を逃がしてくれたんだろうが!その行動に称賛はしてもバカにするような事なんてどこにもない。ましてや守ってもらっておきながらそれを侮辱する権利などお前にはない!恥を知れ!」


「何だと!このモノヒロイっ……がはっ!」


 掴みかかるギースを再び殴り飛ばす。助けてもらったにもかかわらずこの言い草。言っていい事と悪い事の区別もついてないのか!


 まだ、怒りの感情が収まらない俺の後ろから、ジョリーナがギースを怒鳴りつけた。


「冒険者は自分の命は自分で守るのが当然っしょ?依頼と違う魔物がいるなんて、日常茶飯事で起こるじゃん!あんたいつも周りにいばりくさって命令するばっかで、こんな時に何も出来ないんじゃ、何のためにいる訳!?ばっかじゃないの!何にもする気のないベビちゃんはうちに帰って、ママのおっぱいでも飲んでれば~?」

 

 ジョリーナはギースと同郷で、同じギルド所属だ。以前から腹に据えかねる事もあったのだろう。ここぞとばかりにぶちまけているな。


 ジョリーナの罵倒が終わったと思うと、今度は地面に転がっているギースをエドの手が胸ぐら付近を掴みぐいっと強引に持ち上げる。エドの表情は氷の様に冷たかった。


「貴様がオーサム男爵の息子だと?領主とは領民を守り導く責務があるはずだ!にも関わらず貴様はまるで真逆の存在。貴様のような愚物が貴族の一部だと思うと虫酸が走る!とっとと消え失せろ!」


「ぐ……や、止め……ろ」


 辛うじて蚊のようなか細い声を絞り出すギース。そしてなおも責めたてようとするエド。その腕にポンと手が置かれた。


「みんな、いらつくのはわかるぜ!でもそれくらいにしてやれ。俺達は今、そんな事をしている場合じゃないだろう。な?」


 エドを止めたのはレオだった。


「間違いは誰にでもある!間違いがあれば直せばいいんだ!ギースだって分かっているはずだ!さぁ、俺達は俺達の任務に臨もうぜ!キラーグリズリーが何頭いても俺達ならきっと大丈夫だ!そうだろ?ほら、これを持て!魔物は火を怖がるからな!」


 いつの間に用意したのか、火の付いた松明たいまつを差し出しニカッと笑うレオ。


「そうだよ!リンもはやくやりたい!グリズリーでもなんでもリンが倒すよ!!ね!ミナト」


 二人の笑顔に熱くなった頭が徐々に落ち着いてくるのを感じた。


「確かにリンやレオの言う通りだ。こんな事をしてる場合じゃなかった。ありがとうリン、レオ」


「……そうだな。取り乱してすまない。身代わりになったトラインも助けに行かねばならん」


「分かってくれたか!さすが俺のパーティメンバーだ!」


「……お前のパーティに入った覚えはないぞ?」


「はっはっは!相変わらずエドはクールだな!戦闘中もその調子で頼むぜ!」


 その笑顔に毒気を抜かれエドも苦笑している。う~む、熱くなったメンバーの中で冷静さを失わず、メンバーに声をかけ正常に取り戻させる、やっぱりレオってリーダーの素質あるなぁ。


 それじゃ行くぜ、と言ったレオがギ-スに向き直る。


「ギース!お前は本当は頼りになるヤツだって事、俺には分かってるぜ!俺達はトラインを助けに行く。お前は他の受験者を頼んだ!」


「誰が……誰が貴様の指図など受けるか!」


 ギースの悪態にも笑顔で返すレオ。逃げてきた受験者達にもキャンプの位置を教え、朝になったら避難するよう伝えると、俺達はキラーグリズリーが出たという山頂を目指し走り出した。




  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇




「……居たよ、あそこ!トラインもいるよ!ほら木の上!」


 夜目がきくリンが大木の上を指差す。木の陰からそっと覗くと、そこには三頭のキラーグリズリーが大きな木を囲むようにして立ち上がり上を見上げている。その目線の先には木に登り避難したトラインの姿が。よかった、彼はまだ無事だった!


「でもあの人すごい血だらけだよ。それに全然動かない。多分、かなりひどいケガをしてると思う」


 マジか!?動かないって事はまさか……。いや!きっと気を失ってるだけだ!うん、そうに違いない!


「リン、他に気配はないか?」


「うん、あいつら以外、気配は感じないよ」


「了解、ありがとう」


 山頂に近づき木々も段々とまばらになってきた。地表に月明かりが届く様になり、俺は敵に感づかれるのを防ぐ為、ライトを解除している。それでも三頭のキラーグリズリーの姿は月明かりにくっきりと浮かびあがっていた。その中の一頭の口元に赤い物がこびりついている。


 キラーグリズリー達はトラインを振り落とそうと木によしかかり、力任せにグラグラと揺さぶったり、よじ登ろうとしている。これはかなりまずいんじゃないか!?


 くそっ、早く助けたいけど、それにはあのキラーグリズリーどもを何とかしないと……!


「ここにあれだけの大木が生えていたのはトラインにとって幸運だったな。しかしどうやって助ける?」


「そりゃ、俺が一気に斬り込んで……」


「「それは却下!」」


 レオ以外のメンバーの声が重なった。


「お前はさっき何を学んだ?レオ」


 ため息交じりのエドの問いかけに、レオが笑顔で応えた。


「ははは、もちろん分かってるさ!ちょっとみんなの緊張をほぐしてやろうと思ってな!ミナト、リーダーはお前だ。指示を頼むぜ!」


 みんなの視線が俺に集まる。キラーグリズリーはミサーク大森林にも居る。過去の経験と知識を引っぱり出し作戦を組み立てた。


「前提としてキラーグリズリーはめちゃくちゃ力が強いんだ。攻撃手段は主に爪による攻撃と噛みつき。後は勢いに任せた突進。そのどれもが致命傷になりかねない威力がある。最善の手段は近づかずに倒す事だけど一気に三頭は難しい。だから初撃の不意打ちで確実に数を減らす」


 俺の提案に全員が頷いた。


「よし、まず最初に俺とジョリーナで魔法攻撃を仕掛ける。俺の水魔弾(アクアバレット)なら手前の一頭は仕留められると思う。ジョリーナ、向こうの一頭を脚を狙って魔法攻撃してくれ。魔物といえども重症を負えば、怯んで攻撃どころじゃなくなるはずだ。レオとエドにはこれを」


 マジックバッグからクロスボウを取り出し、二人に持たせた。


「おっ!?こりゃすげぇ!随分とでかいクロスボウだな!」


 これは防衛隊で活動していた時、大物を倒す目的で使われていた大型のクロスボウだ。威力がでかいかわりに張力も強く反動も大きい。力の強い隊員にしか使いこなせなかったじゃじゃ馬だ。でも二人なら大丈夫だろう。


「俺とジョリーナが魔法攻撃をするのと同時に、残った一頭に撃ち込んでくれ。再装填している時間はないから初弾を撃ったら剣にきりかえて接近戦だ」


「おう、任せろ!」


「ちょ、ミナト!あんたマジックバッグ持ちだったの?それならあーし達の荷物、持ってくれれば良かったのにさ~」


「本当は使うつもりはなかったんだ。でも今は緊急事態だから。あとレオ、言っとくけど単騎突撃は絶対に禁止だからな。お前は俺達と組んで一頭を狙う。エドはジョリーナと組んで、ジョリーナをサポートしつつ、もう一頭を倒してくれ。君達ならきっとできるはずだ」


「分かってるって!絶対に突出はしない。レオニダスの名に誓ってな!」


 エドとジョリーナも頷いた。


「分かった、その役、引き受けよう」


「りょ~。とりま、頑張ってみるわ~」


 キラーグリズリー三頭を相手にするのに気負いなく返答する二人を見て、何となく二人ともDランク以上の実力があるんじゃないかと思った。特にエドはCランクでも全く遜色ないだろう力を秘めていると俺はにらんでいる。何で今まで昇格しなかったのかな?


 それはさておき、持ち場についた俺達は戦闘態勢を整え、それぞれ得物を構えた。幸いな事にキラーグリズリー達は俺達の気配に気づいていない。呼吸を落ち着け、ターゲットを見据える。レオ達が息を潜め俺の合図を待つ。ハンドガンの標準をあわせ、カウントダウンを開始する。


 ……5……4……3……2……1……!


「いくぞ!水魔弾(アクアバレット)!」


 俺の持つハンドガンから凄まじい速さの魔力の弾丸が射出される。それはまるでこちらを警戒していないキラーグリズリーへ瞬く間に到達し、その脳天に命中、貫通した。恐らく何が起きたのか理解できないまま、その巨体が崩れ落ちる。


 よっし!まずは一頭!


 俺の発動よりやや遅れて、ジョリーナが風魔法エアカッターを発動させる。極限まで研ぎ澄まされた風の刃がもう一頭のキラーグリズリーの左脚を切断した。均衡を保てなくなったキラーグリズリーが山中に響き渡る悲鳴のような鳴き声を上げ倒れ込む。


挿絵(By みてみん)

 

最後の一匹にはレオとエドが放った矢が命中していた。一本は肩に、もう一本は脇腹辺りを深々とえぐっている。


「奇襲は成功だ!後は手はず通りに。行くぞ!」


「「おう!」」


 俺達は二組に別れ、キラーグリズリーと対峙した。眼の前にはレオとエドが攻撃した個体が立ち塞がった。二本の矢のダメージは大きいが、残念ながら致命傷には至らなかったようだ。


「ちっ!まだまだ元気なようだぜ!こうなったら俺が奴とサシで戦って動きを止めている内にミナトが……」


「だめだ!やつの一撃はガードしても吹っ飛ばされる!俺が奴を止める!レオはその隙に攻撃してくれ!」


「分かった!ミナトに任せるぜ!」


 よしよし、レオもちゃんと理解してくれてるな!これなら大丈夫そうだ。


「それじゃリン、いくよ!」


「うん!」


 リンと共にキラーグリズリーの真正面から突撃する。


「ガアアァ!!」


 突然の攻撃を受け、怒り狂ったキラーグリズリーが直立したまま、吠え声をあげ、眼前に迫る俺達にめがけて、野太い腕を振りおろす。その攻撃をすんでのところで交わし、一撃を叩きこむ。


 ひぇー!すごい風圧に胆が冷える。一発でも食らったら大怪我確定だ!でも、至近距離まで近づけば大振りの爪は見切ることができる!もちろんリンが操っていればだけど!こんなでかいキラーグリズリーを前にしても全く怯まず接近できる、リンの度胸の座りっぷりよ!


 完全にターゲットを俺に定めたキラーグリズリーの攻撃を何とか受け流し続ける。それに耐えつつ俺達はひたすらチャンスを待った。


 そして攻撃が当たらない事に焦れたのか、キラーグリズリーが立ち上がると片腕を後方にしならせた。力任せに俺達を吹っ飛ばすつもりか!?


 ……だが俺達はこの瞬間こそ待ってたんだぜ!!


「ミナト!」


「おう!水流拳!!」


 キラーグリズリーの攻撃より寸刻早く、ヤツの直下から水の拳が湧き上がる。不意に吹き出した水流に足をとられたキラーグリズリーがよろめいた。


 その瞬間、二つの影がキラーグリズリーの間を駆け抜ける。俺の脇をすり抜けるように走り抜けたレオの渾身の一撃がキラーグリズリーの右腕を斬り飛ばし、さらに俺の肩から飛んだリンが喉元をかき斬った。


「グガ……ア……!」


 二人の攻撃により瀕死の傷を負ったキラーグリズリー。しかし、それほどの傷を負ってなお、俺達に攻撃をしかけてくる。その攻撃を交わしつつ、俺はふと違和感を感じていた。


 ……おかしい。いくらなんでもこれだけのダメージを与えたら魔物といえど大人しくなるなり、逃げ出すなりするはず。なのに、なんでこいつはここまで無理矢理、攻撃を続けるんだ!?


「ミナト、変だよ!こいつからはもう闘争心が感じられない。なのに攻撃してくるの!まるで自分の意思とは関係ないみたいに!」


 えっ、そんな馬鹿な。意思と関係なくだって……?確かにこいつら深手を負ってもまるで痛みを感じないかのように襲ってきた。そんな事ができる条件……それに単独行動するはずのキラーグリズリーが争わず群れている状況……これはどういう事だ?


 その間も激しい抵抗を続けていたキラーグリズリーだったがついに力尽き倒れた。首をやられていたから、呼吸も満足にできなかっただろう。


「よっしゃー!キラーグリズリーを倒したぞー!」


 レオが仁王立ちし、大絶叫をあげる。


「ミナト、レオ!キラーグリズリーを倒したか!」

 

 全身に返り血を浴びたエドとジョリーナが近づいてきた。


「おうよ!エドもジョリーナも無事か!そっちも上手くやったようだな!」


「へっへ~ん!あ~しの魔法すごいっしょ?」


 ジョリーナが誇らしげに胸を張る。


「最初から手負いだったから討伐は難しくはなかった。まぁ、Dランクの試験ならばこの程度だろう」


「エドちん、よゆーぶっこいてるけど、あの最後の一撃は結構やばかったんだからね?相手は魔物なんだから」


 どうやらエドはトドメを刺そうと近づき、死の淵にいるキラーグリズリーの最期の一撃を危うくもらうところだったらしい。


「はっはっは!まぁ、いいじゃないか!ターゲットも仕留められた事だしな!想定とは違ったが、これで俺達は試験ノルマを達成した。キャンプに戻ろうじゃないか!なぁ、ミナト!」


「そうだな。みんなが無事なのが何よりだよ。あ!戻る前にトラインさんを助けないと!」


「おっと、そうだった!俺が木に登ろう。木登りは得意だ!」


 そう言ってレオが木に足をかけた時だ。

 

 突然、山中に凄まじい音量の咆哮が響き渡った。空気が震え、地面がビリビリと揺れる。


「なんだ、この声は!」


 周囲を見回すがそれらしい物は見つからない、……と。


「何かが来る!みんな気をつけて!」


 リンが叫んだ瞬間、突風が俺達の間を駆け抜ける。その瞬間、


「きゃああ!?」


「ぐわっ!?」


 何かがぶつかるような衝撃音が響き、ジョリーナとエドが吹っ飛ばされた。ジョリーナは倒れたまま起き上がれず、エドも木にぶつかり気を失ったのかそのまま倒れてしまった。


「何だ、今の!?ジョリーナ、エド!大丈夫か!?」


「ミナト、敵だよ!すごい速さで走り抜けて、二人を吹っ飛ばしたの!あそこ!」


 リンが示した先に何かがいた。全身毛むくじゃらで一見すると、人のように見えなくもない。しかし、人間にしてはあまりにもでかく、そしてその身にまとう筋肉は凄まじいまでに発達し、隆起していた。


 ……あ、あいつは!ミサーク大森林でも見た覚えがあるぞ!


「気をつけろ!みんな!コイツはキングゴリルだ!!」






 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ