表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/236

5話 星空の宴


挿絵(By みてみん)




 ゴールを駆け抜けたアラビーが徐々にスピードをゆっくりと落としていく。

 

 勝った……のか?


いや、分からない。最後はアダムス伯の馬と併せるようにゴールを切ったが、愛馬(アラビー)を追うのにいっぱいいっぱいで、どっちが先着したかまでは見ていなかった。   


 惰性でコーナーを周り向こう正面まで来た時、突然バシッと背中を叩かれる。振り向くとそこにはアダムス伯が馬を寄せてきていた。


「はっはっは!いや~、負けた負けた!最後の最後にミナトにしてやられるとはな!」


「……えっ?」


「お前の勝ちだ!最期は首の上げ下げだったが、お前の馬が僅かに先に出ていた。よくやったな」


 は……はは……。そうかぁ、俺、勝ったんだ。


「決勝戦では展開的にお前がライバルになると踏んでいたが、予選と違い大胆に戦略を変えてきたな。読んでいたのか?この展開を」


「いえ……、偶然です……。でも、最後に……前が空いたんで……」


 だ、ダメだ。呼吸が苦しい、言葉が出てこない。


 この全長1000メートルの仮設の競馬場は直線が長く、その分コーナーが短く設計されている。


 だからコーナーの角度が急でスピードが乗り過ぎると、遠心力によって柵沿(らちぞ)いを走れず、多くの馬は外に振られてしまった。決勝戦ではそれが顕著に出たところに、俺達が付け入るスキができたのだ。


「よし!お前の勇姿を皆に示さねばな。ミナト来い!」


「……は、はい。でも、少しだけ……呼吸を……整え……」


「うむ、随分と息が上がっているな。お前は全身全霊を賭け勝負に挑んだ。私が負けたのはその差だろう」


 アダムス伯と俺は併走へいそうしながらゆっくりコースを進む。大声援に迎えられゴール前までやってくると。立ち止まり、観客の方を向く。そして俺の腕を掴み高々と掲げさせた。


「皆の者!本日の勝者ミナトだ!彼に栄誉と称賛を与えよ!」


 その瞬間、競馬場から、うおおー!!という大声援と割れんばかりの拍手が沸き起こった。


「ミナト、この賛辞はお前に向けられたものだ。さぁ、皆の声に応えるのだ!」


「あ、はい。は、はは……」


 そう言われてもう片方の腕で観客席に向かって手を振った。


「ミナトー!やったねー!」


「カッコ良かったわよ、ミー君!」


 観客席でリンとエリスが大喜びで手を振っているのが見える。俺も笑顔でそれに応えた。


 ……こうして競馬大会は俺がアダムス辺境伯をゴール前で制し、勝利を飾るという形で幕を降ろした。


 その後の表彰式が行われ領主ルカにより「飛将」の称号と金貨50枚の賞金を賜った。飛将とは「飛ぶように馬を駆る者」って意味らしい。まぁ、特に実利は伴わない名誉のみの称号だけどね。


 さらに副賞として武具や農産品等の目録をもらった。それとプレゼンターのお姉さんから頬にキスという思いがけないプレゼントも頂けた。照れたけどこれも勝者へのご褒美、かな。


 そして競馬大会に参加した騎手達にもそれぞれ、参加賞として賞金や賞品が贈られた。


 最後に一言と言われたので、まず、応援してくれた観客にお礼を述べ、次に祭を開催した運営者として、祭を盛上げてくれたアダムス伯を始め参加してくれた騎手、そして屋台を出してくれた人々、さらにスポンサーとして祭に多大な貢献をしてくれたフリール商会に感謝を伝えた。


 観客席からの声援に応えたあと、俺は「個人的に最後に一つだけいいですか?」と言って最前列で見守っていたリンを連れてきた。


 そしてリンはゴブリンだけど大切な仲間である事、俺は今までリンにずっと助けてもらってきた。「魔物」と一言で片付けるのは簡単だし、テイマーの中には従魔を物のように扱うテイマーがいる、と言う事も承知している。しかし、従魔を相棒として大切にしているテイマーも多い。初代領主のハロルド様がそうだったように、俺にとってリンは従魔である前に仲間であり相棒だ。領民にはただ、従魔はマスターと苦楽を共にする存在だと言う事も分かってもらいたい、と話した。


 突然の俺の話に観客は少し戸惑っていたようだったが、アダムス伯が拍手をしながら進み出るとこう言った。


「永遠の我が友ハロルド、そして現当主ルカ殿も従魔を従えるテイマー。従魔の存在はバーグマン家にとってなくてはならない存在だ。今さら何を言うことがあろうか!そうだろう?皆の者!」


 アダムス伯が促すようにそう続けると、観客席から応えるように大きな拍手が起きる。観客からの拍手とアダムス伯の心遣い。そして自分の思いの丈が受け容れてもらえたことに不覚にも涙がでた。


 人々の意識を変えるのは難しいだろうし、個々の主義主張を無理矢理変えようとするべきではない。でも声を上げなきゃ、きっと何も変えられないだろう。


 暖かい拍手と声援に包まれ、競馬大会はその幕を降ろしたのだった。


 ……そして、この日以来、街でのアダ名が「ミー君」になったのだった。解せぬ。




  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇




「……さて、表彰式も終わったし帰るカネ」


「はい師匠。さあラナ。帰ろう」


「……え~。……まだ寄ってない屋台がいっぱいあるのに~」


「食い物ならその手に持ってる袋に山程入ってるだろカネ、それにもう屋台も店じまいカネ。さっさと帰るカネ」


「……む~。分かった」 


 ラナとライ、タヌ男は連れ立って帰路につく。その途中、タヌ男がふと足を止めた。


「……二人とも先に行ってるカネ」


「……なに?どうしたのタヌ男?」


「なに、ちょっと催してな、カネ」


 そう言うと観客が入らない屋台と屋台の間の通路に入っていく。


「師匠……」


「大丈夫だ、心配ないカネ。お前は先に行っているカネ」


 何かを察したライが声をかけるが、タヌ男は振り向く事なく奥へと進んでいった。


 祭りが終わり、人気ひとけもまばらな大通りに面した薄暗い屋台裏。そこに一匹の黒猫が座っていた。


「最近、どうもにおうと思ったらやっぱりお前カネ」


 タヌ男がそう話かける。すると黒猫の目が黒いオーラを発した。眼が昼間のようにキュッと細くなる。


『お迎えにあがりました。魔王チャカネ様』


 黒猫は座ったまま念話でタヌ男に話しかける


「魔王とは随分持ち上げられたものカネ。せんだいが存命の頃、魔力の弱かった我を散々軽んじておきながら何を今更、カネ」


『それは皆がチャカネ様の実力を見誤っていたからに御座います。貴方様の本質は魔力にあらず。新たな魔術を産み出すその才能こそにあり』


「ふ~ん、才能カネェ?どうせ手に入れた時空魔法が扱いきれんから我に制御しろ、と言いたいんだろう?お断りカネ。我は魔族にも人族にも興味はないカネ」


『では我らに協力いたただけぬ、と?』


「お前の言う協力とは拘束した上に無理矢理、意のままに従わせることをいうのカネ?まぁ、時空魔法を消す、というのなら協力してやってもいいガネ」


『ならば仕方ありませんな、力ずくでも』


 その直後、黒猫から数えきれない微笑な黒い粒子が立ち上る。立ち上った黒い粒が再び集まると黒猫だったそれは人の姿を形作った。


『安心せい、殺しはせん!』


 黒い影が飛翔しタヌ男に飛びかかる。


 が、次の瞬間、影は袈裟懸けに真っ二つに切断された。


『グオオ……オノレ……オボエテ……オレ……』


 影が再び黒い微粒子となり霧散していく。タヌ男の前には刀を構え、黒装束に身を固めた男が立っていた。彼の持つ刀は鈍い光を放っている。


「怪我はないか?タヌ男」


「ああ、すまんな。コタロウ、カネ」


「今のはお(ぬし)の知り合いのようだったが……魔族か?」


「まぁなカネ。ただ、今の我と奴らにはなんの関わりもないカネ」


「今の件、我が主とハロルド様に報告しなければならぬが?」


「構わんカネ。ただ先にハロルドに報告した方がいい、ミナトに報せるのはその後にするカネ。あいつは心配症だから、聞けば我にお前の配下をがっちりつけるカネ。我はそんな息苦しいのはごめんカネ」


「ミナト様は、我が主君。報せぬわけにはいかぬ」


「ウィルといいお前といい、頭の固い奴ばっかカネェ。まぁ、好きにすればいいカネ」


 コタロウが姿を消すと、ヤレヤレとつぶやき、その後、きびすを返しライ達を追いかけた。




  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇




 祭が終わったその日の夜。ネノ鉱山再開の式典と祭の運営、レース参加とめちゃくちゃハードスケジュールをこなしたから、今夜はゆっくり休もうと思っていたのだが……。


「……って、何で打ち上げの会場がまた屋敷(ウチ)になってるんですか!?」


「わはは!何を言っとる。お前の祝勝会に決まっておろうが!さぁ、お前が主役だ。飲め飲め!」


 また、しこたまお酒を飲んでいい感じに出来上がったアダムス伯。彼にバンバン肩を叩かれながらため息をつく。


名目はミナトの祝勝会。優勝した俺をお祝いしてくれるいうのはもちろん嬉しい。ただ、アダムス伯を迎えに来た家臣の人々も加わり、前の宴席より人数が増えていた。


 大会終了後、すぐに領地に帰還するかと思っていたアダムス伯だったが、


「祭は無事成功しミナトが優勝した。これは祝いの席を設けねばな!」


 と言い出し、急遽、祝勝会の宴席が用意された。と、言ってもやることはただの宴会である。さらに言えばその会場はもちろん俺の屋敷である。


 アダムス伯もルカ様も宴会をとても楽しんでおられるようで何よりだ。……何よりなんだけども!


 ああっ~!鉱山再開のパーティの時よりペース早いよ~。追加しても追加してもお酒が足りないよ~!料理は食材があるし、アダムス伯の料理人がいるからいいとして、とにかく皆、飲み過ぎだよ!


 アダムス伯を始めとした彼の家臣の人々は領主に似て、とにかくめちゃくちゃ飲む。前回俺が用意した酒はほとんど飲まれてしまったので、祭会場で売られていた酒を買い集めたり、コンラッドの家人に街へ買いに行ってもらったりもしてなんとか調達した。


 主役とは何なのか……。新人歓迎会で酒を注いで回る新人のように働いております。


 一応、マジックバッグの中にはベルドに「神酒」と言われたウイスキーもまだ残っている。でもさすがにこれは出せないしな。結局、俺がお土産で買ったアニーのミード酒も提出する事になったんだぜ?せっかくあとでエリスとちびちび飲もうと思ってたのに。

  

 ただミード酒を飲んだアダムス伯がその味をいたく気に入ってくれ、領地に帰ったらまた注文したいと言ってくれた。大領主アダムスのお墨付きとあらばその効果は何十人の営業にも勝る。アニーのミード酒はきっとすごい人気になるだろうな。やったぜ!


 グラントやジーンからも「いやぁ、こんなに沢山の客が来るなんて思わなかった!大変だったがミサーク村の特産品を知ってもらういい機会になった。中には店に仕入れたいという声もあってな。この「宣伝」というのやつも悪くないもんだな。ありがとよ、ミナト!」と言ってもらえた。


 運営を任せていたコンラッドからも「次回、こういう催しがあれば是非、また出店させて下さい!」という声が多かった、と顔をほころばせていた。


 そして、「アニーさんのミード酒は素晴らしい物ですが、我々にも最高品質を誇るブドウとリンゴがあります。我々も一刻も早く醸造所を建築し、ワインを始めとした酒を生産しましょう!」と早くも次の事業計画を進めようと急かすのだった。


 ネノ鉱山が再開するだけでなく双子山こっちでも様々なプロジェクトが計画されている。醸造所もその一つにある。今回の祭を通して大領主であるアダムス伯との親睦が図れたことは、これから成長していかねばならないバーグマン領にとって何よりの収穫になっただろう。




  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇




 主賓そっちのけで大盛り上がりだった酒宴もたけなわとなった頃、俺はそっと屋敷の外に出た。屋敷の隣りに真新しい馬小屋があり、そこには今日のレースで共にレースを戦った戦友アラビーが居る。


「ごめんよ、アラビー。夕飯が遅くなった」


 餌の青草を大きな飼い葉桶に入れ、それを馬房ばぼうに吊るすとアラビーが桶に顔を突っ込んでもりもりと食べ始める。


 実はレース後にルカからアラビーをそのまま賜った。「政務官であるなら馬の一頭くらいもっていないとな」との事だった。


 元々この屋敷が出来たときに馬小屋も併設されていたが、「馬なんて俺には縁がないし、持ち腐れだなぁ」なーんて、思ったものだったけどね。まぁ、リンが大喜びだったから良かったけど。


「ミー君」


 アラビーを見ていた俺は突然、後ろから声をかけられ振り向く。そこにはエリスがいた。


「あれ?エリスも出てきたの?」


「えへへ、ちょっと飲みすぎちゃってね。酔いざましに夜風に当たりにきたの。ミー君はあんまり飲んでなかったね」


「ははは。ルカ様やアダムス伯が居るのに酔っ払う訳にはいかないよ。一応政務官だしね」


 エリスを見ると足元が覚束ない。馬小屋の脇にあるベンチに座らせ、俺も隣に座った。


「ミー君、頑張ってたもんね。レースのミー君、カッコよかった~!」


「うん、ありがと。でもリンがさ、馬の事を色々教えてくれてね、本当にリンのおかげで勝てたんだよ。俺のした事なんて大したことじゃないよ」


「もう!いつもミー君はそればっかり!」


「えっ?」


「いい?誰かに頼るって全然悪いことじゃないよ!大事な事を相手を信じて任せる。ミー君は命を賭けた戦いでもリンリンを信じて任せる事ができる。それってなかなかできる事じゃないんだから!」


 え?何、なんで怒るの!?


 突然、怒り出したエリスに思わずだじろぐ。


「いや、でも俺、情けなくない?一人では大した事もできないし……」


「ミー君は全然情けなくないよ!シャサイを倒してミサーク村を救ってくれたじゃない!ルカ様を助けてくれたし、それにラナやライだってそう。トーマもオスカーも……私だってミー君に救われた。ミー君は自分が思っているよりずっと凄い人なんだよ?」


「え、そ、そう?でもエリスは風魔法のエキスパートだし、父親のハロルドさんは英雄じゃない。一人で何でも出来たりさ……。それにアゼルさんだって将来はギルドマスターを任せたかったってルークさんが……」


「ミー君」


「はい?」


「ミー君の凄さは個人の身体能力じゃないの。皆を助けて、それを自分の力に変えられる事なの。それは誰にでもできることじゃない。ミー君はリンリンにもラナやライにも好かれている。あの子達があの子達らしく居られるのはミー君のおかげなのよ。それに私もね」


「エリスも?」


「ミー君、目を閉じて」


「え?目をなんで?」


「いいから!早く!」


「は、はい」


 言われた通りに目を瞑ると頬に温かいものが触れた。目を開けると照れくさそうにはにかむエリス


「えへへ、それから私、告白しちゃうね」


「え、告白?……え」


「今までちゃんと言えなかったから、今、言うね!私はミー君が大好きです」


「え、え、あの……えーっ!」


 え、な、何?お、俺が大好き!?う、嘘だろ。だってアゼルさんの方がよっぽど……。


「私ね、ミー君と居るとすごく楽しい。ミー君を見ていると幸せな気分になれるの。それにミー君は私が失ったものをいくつも取り戻してくれた。ミー君達と一緒にすごした一年間が一番温かくて、幸せだったの」


「俺との生活が一番幸せだったの?本当に?」


「うん!」


 あ、うん、確かにリンと一緒にいるエリスはいつも楽しそうにしてた。そういえばオスカーにもそう言われてたっけ。


「えっと……いきなりの事で……なんて言ったらいいか……」


 俺の中のエリスは一緒に生活する同居人……いや、違うな。リンもオスカーも家族のように暮らしてたし……。あれ?エリスって家族じゃなかったっけ?


 あまりの衝撃で頭が混乱している。考えて見れば俺はエリスを一人の女性としてみることを意図的に避けてきた。それはアゼルに対する劣等感からだ。アゼルが偽装夫婦だと言うことは以前、聞いていたがそれでも俺は踏み込めなかった。


「エリスは俺よりアゼルのような頼りになる男が好みだろう」と思い込んでいたしエリスもそう思っているだろう、と決め込んでしまっていた。それにトーマとの約束もあった。


 ……でも、その一方で、他の誰かとくっつくエリスを想像したくない、と思っている俺が居る。想像したくないし、そうなった時に傷つきたくない。だから同居はしても一線を引いていたのだ。


 それを取っ払って考えてみた。


 ……うん、俺もエリスが好きだ!


「……エリス。俺は今まで、君にはアゼルさんの様な人が相応しいと思ってた。だから頭が追いつかない。でも、俺もエリスが好きだ。ただ俺には守らなきゃいけない人達がいる。今までとあんまり変わらないかもしれないけどそれでもいい?」


「もちろん!リンリンもラナもライも大切な家族だもの!」


「うん、じゃあ改めてこれからもよろしくお願いします」


「うん、こちらこそ」


 そういうとエリスが目を閉じた。俺はエリスに顔を近づけ、そして、ゆっくりと唇を重ね合わせる。


 夜空に瞬いた星空だけが俺達を見守っていた。




  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



「ほー、エリスも、なかなかやるではないか」


「おや、意外な反応だな。ミナトに娘を取られて怒り狂うかと思ったが」


 馬小屋のすぐ近くの茂み。二人の男が気配を消して忍んでいた。


「あのな、チェスター。エリスも息子が居るいい大人じゃぞ?さすがにもうワシの出る幕ではないわい。エリスが幸せになってくれればワシはそれで満足じゃよ」


「隠密で気配を消してまで覗きに走っている姿を見ると、とてもそうは見えんがな」


「余計なお世話じゃ。しかし、コタロウの報告を聞いたじゃろ?奴等、いよいよタヌ男を狙ってきておる。ミナトもいつ巻き込まれるか分からん。少し鍛えてやらねばならんな」


「ああ。それと私の屋敷から双子山ここに直通の連絡網を構築したほうがいいな。ミナトに話を通しておこう」


「そうじゃな。さてそろそろ年寄りは退散しようかの。は~、いいのう。ワシも新しい出会いが欲しいのう」


「ハハハ、中身は変わらんなぁ。ハロルド」


「なに、競馬大会で飛び込み参戦をした時、御婦人方から黄色い声援が飛んどったお前さんには敵わんよ」


「フフッ、羨ましいだろう?……おっと、メイソンの声がするな。早く戻らねば」


 そして、茂みから二つの気配は完全に消え去った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ