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地球連邦国転移物語  作者: ZERO 零
序章
42/42

第42話 傀儡の地

20XY年 11月6日 地球連邦国 ジュネーヴ



カァンカァンカァンカァンカァンカァン


超高層建築物が形成する摩天楼の都市、ジュネーヴ。


そんな都市に工事音が辺りを包む。


市民達はやかましい工事音に気すら留めず、日々の日常を過ごしていく。


ジュネーヴには合計120棟の超高層ビルを建築予定である。


表向きには新たな兵装ビルの配備ということで、この首都を要塞のようにすることで他国の侵略を阻止するという名目の元、建築されている。


国内ではこれ程のことをする必要性があるのか疑問視されているが。


「ふぅ、これで34棟目か。」


こう呟くのは、『ジュネーヴ要塞計画』という突拍子もない計画を快く引き受けた民間建設企業 アークミュラー社から派遣された事業責任者及び現場監督であるムード・ミルボードだ。


この会社は世界的に事業を展開しており、この惑星でも建設業界で知らない者はいないと言わしめる程であった。


技術、スピード、コスト。この3つにおいて他の建設会社とは逸脱しており、この3つを全て叶えた夢のような建設会社、それがアークミュラー社なのだ。


ムードは建設ロボットが忙しなく働いている現場を見ながら、隣に居る補助AIアンドロイドと指揮していた。


『監督、この計画は政府主導なのでしょう?』


至近距離で見なければ、人と間違えてしまう程の再現率を誇るアンドロイドが話しかける。


「嗚呼、当たり前だ。この目的は私ですら、知らない。何かをしているのだろう。それを我々が詮索する必要はない。」


『もしかして、『未知の宇宙人への備え』なんて有るのではないでしょうか?』


アンドロイドはクスッと笑いながら、ムードの方へ顔を向ける。


「おっと、ジョークとは初めてだな。まぁ、『可能性はゼロではない』ってね。」


ムードはアンドロイドのジャークに驚きながらも、クスッとムードもジョークに応える。


カァンカァァァンカァンカァァァン


『監督、第3兵装ビルの建設が完了しました。』


各番号兵装ビルの建設総合担当を任せられている担当者の無線が入る。


「了解した。各自、休憩に入れ。」


『了解です。』


ブツッ


担当者はブツッと勢いよく、無線を切る。


「こちらも休憩…といきたい所だが、『ジュネーヴ要塞計画』の第3建設段階はまだ45%…。長くなりそうだな。」


すると、ムードはこれまでの疲れがどっと来たのか、あくびをする。


『しかし、監督が倒れては元も子もありません。第3建設段階まで私が担当します。』


彼等が口にした建設段階とは『ジュネーヴ要塞計画』というものには建設段階というものが存在する。


《第1建設段階》


政府所有ビル搭載35cm固定式レールガン20基の配備


《第2建設段階》


政府所有の土地を使い、120mmレールガン各2基と超強力地対艦ミサイルを搭載した兵装ビルの建設


《第3建設段階》


各戦闘機12機配備の地下型離着陸基地を合計30建設する。


《第4建設段階》


ジュネーヴの各1km地点に特殊鉄塔を建設する。


《第5建設段階》


ジュネーヴ中心に2000m級の細型超高層ビルを建設する。1500m地点からは特殊大型鉄塔を建設。


以上の5つの建設段階により、『ジュネーヴ要塞計画』は完遂されるのだ。


「じゃあな、少し仮眠を取る。この建設計画には何の意味があるのか…。知りたいものだな。」


ムードはそういうと仮眠室へ去っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


同時刻 ピューレサイロ王国 首都防衛隊 第1基地



ここは、既に傀儡とかしたピューレサイロ王国の首都を防衛する為に地球連邦国と共同開発した基地である。


他にも首都防衛隊は20の基地を保有しており、全て地球連邦国との共同であった。


ゴォォォーーーーッ


地球連邦国から提供された機がジェットエンジン特有の爆音を奏でる。


この機はデルタ翼を採用し実用機初のデルタ翼を採用し、軽量、低抵抗と翼内スペースを利して長大な航続距離を獲得している。配備計画の初期段階では元あった機である旧イギリスが開発した爆撃機アフロバルカンを基にしていたが、垂直尾翼すら廃した完全な無尾翼機になっている。高々度飛行のため低翼面荷重が採用された結果、低空でも異例な軽快性を誇る。


そして、アフロバルカンを基にしている本機であるが、その能力と用途は全く異なる。


ピューレサイロ版アフロバルカンであるオーリムは戦闘攻撃機という分類に入っている。


本来であれば爆撃機の用途で設計されていたのだが、ピューレサイロ王国には既に輸送機Cー130シリーズの最新型、Cー130Rを爆撃機化させたBー130R30機を中心とした爆撃隊を保有している。


しかし、ピューレサイロ王国には攻撃機という機体が存在しないのだ。


戦闘機に関しては、Fー16Vを85機配備しているので問題はない。


だが、今後対フィフスス同盟圏戦で大規模攻撃能力を保有した対地攻撃機が鍵となってくるというのが、地球連邦国側の見立てとなっている。


その為、地球連邦国側は元々ペイロードが大きいオーリムに40mmガトリング砲を2基、ハイドラ76徹甲ロケット弾13連装ロケットポッドを6基、燃料気化爆弾を4発、航空機搭載用CIWSを2基搭載という重装備である。


最高速度はM2.3と攻撃機と言えるのかすら、怪しい。


第1基地を離陸したオーリムは青い炎を噴き出しながら、天空へと舞う。


「こちら、ベルザー1。ベルザー隊全機は我が機に続け。」


ゴォォォォォーーーーッ!


続いて13機のオーリムが離陸する。


「よし、続けてi。」


『馬鹿野郎、部下の機くらい見ていろ。』


突然、無線から静かな叱責が響き渡る。


「ハッ!申し訳ありません。」


『機を元に戻す。最初からやり直しだ。』


無線の主は機を遠隔操作し、訓練用に取り付けられている移動用小型ジェットエンジンを起動させ、離陸位置まで戻す。


合計14機が後ろ向きで離陸するという何とも奇妙な光景であった。


ピューレサイロ王国は確実に地球連邦国の手によってフィフスス同盟圏戦に備えさせられることとなっていた。




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