第4話 新たなる接触
ダルケル歴 960年 4月10日 ピューレサイロ王国 ミュールハイム辺境
ここは、穏健な国として有名なピューレサイロ王国の辺境であるミュールハイムだ。
海に面しており、漁業も盛んである。
ゴォォーーーーーーーーーーーッ
そんな静寂に包まれているミュールハイムに爆音をが鳴り響く。
「なんだ?こんな朝っぱらから誰じゃ?」
こう言うのはミュールハイムの農家のギュール爺さんと呼ばれているギュール・アドラルだ。
「上か……!?」
ギュールは上を見るなり、体が硬直する。
「チキウ……だ……な……。」
ドサッ
ギュールは突然前のめりに倒れる。
「ギュール爺さん!大丈夫でs!?」
ギュールを抱き起こそうとした少年も爆音を耳で捉え、上を見上げる。
「なんだ……ありゃ……?」
ゴォォーーーーーーーーーーーッ
「お、見上げているな。そうすりゃこっちのもんだぜ。」
新たな調査に向かっていた地球連邦国海軍第655航空隊長である上江 真城1等空佐はニヤリと笑いながら言う。
ゴォォォォォーーーーーーーッ
上江はF-3Fを巧みに使い、地面スレスレを飛行する。
あと8m下は地面だ。
「この文明レベルじゃあ、恐怖かな?いや、戦闘機がこれ程に地面スレスレで来たら恐怖か。」
上江はその高度なテクニックを使い、高度計は8mを維持している。
「よぉし、データは取れた。帰投するぞ!」
無言だが隊員達は従い、上江機の後ろについてくる。
ゴォォーーーーーーーーーーーッ
上江達は帰投するのだった。
「爺さん!ギュール爺さん!」
ギュールは目を少しずつ開ける。
「ギュール爺さん!大丈夫ですか!?」
ギュールは自分が気を失っていたことに気づくとすぐさま体を起こし、少年に聞く。
「あの!飛行物体はどこへ行った!?」
「あの飛行物体はもう海側へ消えましたけど……何かあるんですか?」
少年はギュールの態度に驚き、聞く。
「メルケール神話は知っとるかね?」
「いえ、初耳ですけど?」
少年は聞きなれない言葉に首を傾げる。
「メルケール神話とはな神と人が戦う物語じゃ。皆は信じないのだが、これは本当のお話だ。」
「え?神話が本当な話なわけないでしょう。」
少年は少し笑いながら言う。
「いいや、メルケール神話には『チキウ人は鋼鉄の鳥を出陣させた。高速で空を駆け抜けるその姿は神々を驚かせ、どこへ逃げても力が尽きるまで追ってくる筒状の棒。それらは神にとってはなんとも無いものだった。だが、それも新たに現れる兵器により神々の自信は打ち砕かれる。その兵器が現れると鋼鉄の鳥は突如逃げた。すると、特級爆裂魔法が神々を襲う。神々は、自信が持てる全ての力を出し切るがそれも特級爆裂魔法により打ち砕かれる。キノコ雲が辺り一面を覆い尽くす。キノコ雲が晴れた時には神々はおらず、辺り一面は円形の巨大な穴が出来ていた。それに、人々畏れを抱き、チキウ人を崇拝した。そのチキウ人の母国の印は青地に黄色いバツ印。それから100年が経った。すると、チキウ人は消えた。彼等の居場所は分からないが、人々は彼等を崇拝し続けた。』以上だ。」
「黄色いバツ印ってあの飛行物体!?」
少年は思い出したように言う。
「そうだ。チキウ人であると考えられる。」
この噂は少年を初め、ミュールハイムから王都へまで拡がることとなった。
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20XX年 4月10日 太平洋 地球連邦国海軍 第5艦隊 旗艦 原子力空母 「ウリヤノフクス」 CIC
「シュメール王国の二の舞は御免だぜ?」
そういうのは第5艦隊艦隊司令のレノル・ウイボルティー中将だ。
「当たり前でしょう。諜報屋によると穏健国家らしいですからね。」
レノルの不安を払拭するように言うのは艦長であるボルティス・レバレッジ少将だ。
「そうか、これが聞きたかったのだよ。これより、ピューレサイロ王国上空にMig-41Nを12機上げろ。」
「「「ハッ!」」」
Mig-41NとはMig-41シリーズの最新型であるMig-41Mの艦載機型である。
甲板上
ゴォォーーーーーーーーーーーッ
艦載機型のMig-41Nが電磁式カタパルトに移動する。
「ウォードッグ1、離陸準備完了しました。」
『了解、離陸せよ!』
ドシューーーーーーーーーーン
第220飛行隊長である鮫島 晃少佐は、海上へと投げ出させれる特殊な感覚に襲われる。
その後、11機のMig-41Nが上空へと舞い上がる。
「お前ら、行くぞ!」
第220飛行隊は、ミュールハイム辺境へと向かう。
ゴォォーーーーーーーーーーーッ
「また来たぞ!チキウ人だ!」
ギュール爺さんは、Fー3Fとは形が違うことに気がつく。
「形が違うぞ!だが、チキウ人だ!」
人々は祈り始める。
「チキウの皆様、我が国を助けてください。」
ゴォォーーーーーーーーーーーッ
「おいおい、祈ってるぜ?」
『ヤバいですね。上陸した後が面倒ですよ…。』
「俺らの仕事は制空権の先取。このまま、飛行しておけばいい。」
鮫島はパイロットスーツの上から頭を抱えた。
強襲揚陸艦 「アメリカ」 甲板上
バババババババババ
6機の高速中型輸送ヘリのVー22Dが甲板から舞い上がる。
そして、その後方から大型輸送ヘリであるCHー53Kが5機もVー22Dを追い越すように飛行して来た。
バババババババババ
総勢11機のヘリがミュールハイムへ上陸する為に向かう。
ザザァァァーーーーーーーーーーーーーッ
他強襲揚陸艦からボバークラフト艇であるLCACー6型が8隻現れた。
そして、大量の物資を運んだLCACー6型が上陸する。
ザザザァッ
ドゥルルルルルルンッ
LCACー6型からレオパルト3、シャヲル軽装甲機動車、エール装甲戦闘車が現れる。
そして、その後方から新たに上陸したLCACー6型からPLー02や中型トラックや大型トラックが上陸する。
ミュールハイム上陸作戦は始まったのだ。