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地球連邦国転移物語  作者: ZERO 零
序章
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第36話 ワシントンD.C.の壊滅

20XY年 9月11日 地球連邦国 ワシントンD.C



8.14事件から時間が経ち、みなとみらい宇宙基地やトロントでの被害も修復され、国民達はこの悲劇が記憶から消えかかっていた。


旧アメリカ合衆国で首都として制定されていたワシントンD.C.は統一後、その人口と経済力を活かし、東京やジュネーヴ、北京に並ぶ巨大都市となった。


巨大摩天楼が立ち並ぶ一丁目だが、その一つのビルの屋上からワシントンD.C.を見下ろす一人の男がいた。


『マースとシェアルは死亡…本部へ何と言えば良いのか…。どうせ戻っても処罰させるのみ…。処罰されるなら精一杯暴れるか…。』


黒いローブを着た男は拳を握り締め、摩天楼の中に消えていった。



国際貿易センタービル 



ここは、惑星国家の国々との貿易のコントロールを図る施設だ。


この惑星の国連もこの国際貿易センタービルからの報告書で各国の状況を判断している程、重視されているのだ。


その第1棟と第2棟の2つのビルとその間に一本の連絡橋がかかっていた。


『手始めに…こいつからやるか…。』


男は飛行魔法を用いて、国際貿易センタービルへ向かう。


ドォォォォォォォーーーン


男は咄嗟にバリアを展開すると爆発がバリアを包む。


『…なんだ…?』


男を攻撃したのはワシントンD.C.防衛の要となっている機動性と高速性において絶大な能力を発揮する戦闘機であるFー32N ガルダだっただ。


シャープペンシルの芯のように細長く、機動性と高速性のみに焦点を当てた鋭く細長い後退翼。双発の細い超高出力エンジン。薄く、細長い胴体。


これを採用したワシントンD.C.市長は勇気があったに違いない。


ゴォォォーーーーッ


8機のFー32Nはウエポンベイから1発ずつ、合計8発の貫通力を持たせた空対空ミサイルであるAAMー46Bを発射する。


バシュンバシュンバシューーーン


白煙が男へ向かう。


男はバリアを展開し、ミサイルの防御をする。


ドォォォォンドォォォォンドォォォォン


AAMー46Bはバリアを歪ませ、貫通まで持ち込む。


だが、あと一歩の所で男はバリア濃度を上げる。


『ふぅ…部下を討ち破ったのも納得だな…。』


男は飛行魔法で空中を高速で飛行しながら詠唱する。


『(スラッシュスカイッ!)』


男はFー32Nに向けて右腕を斜め上に振り上げる。


だが、Fー32Nを主体とした第1ワシントンD.C.防衛航空隊は難なく、その攻撃を避ける。


Fー32Nの最高時速はM8.9であり、現在開発中の新型機ですらこの機には及ばない。


その代わり、第1ワシントンD.C防衛航空隊が飛行していた方面の空気が斬れ、そこに位置していた高層ビル群が斬れる。


ズズズズズゥゥゥーーーン


高層ビル群は一斉に斜め下に切れ目に沿って、ズレていく。


黒煙が辺りを包んだ。


シュシュシューーーーン


『またか…無駄な物を…。』


ドォォォォォォォォォォォォン


『うぐっ!』


男はまたミサイルだと思っていた。


しかし、本当はミサイルではなく、第1ワシントンD.C.防衛航空隊の応援に飛来した第2ワシントンD.C.防衛航空隊の攻撃であった。


第2ワシントンD.C.防空隊は航空ステルスレールガンを装備した超強力空対空戦闘を得意としたFー54H ケペルを主体とする防空隊だ。


Fー54Hは層流制御翼を装備した短く、鋭い後退翼に流線的な胴体、鋭く短い双発のエンジン、ステルス性皆無の3門の30cmレールガン。


男は体のあちこちが黒ずみ、苦悶の表情を浮かべている。


『ヘルファイヤースプラッシャーッ!』


男がこう叫ぶと青い焔が幾つも男の手から撃ち出される。


ドドドドドドッ


第2ワシントンD.C.防空隊はその攻撃を難なく避ける。


しかし、男は青い焔を操り、第2ワシントンD.C.防空隊へ向ける。


流れ弾がワシントンD.C.を代表する摩天楼に着弾し、次々と高層ビルが爆発し、倒壊していく。


そして、男は遂に第2ワシントンD.C.防空隊を捉えた。


ドォォォォォォォォォォォォン


9機で編成されている第2ワシントンD.C.防空隊の内、5機が青い焔の餌食になる。


「クソッタレ!各機自由攻撃!奴を倒せッ!」


Fー54Hに装備されている3門の13cmレールガンから徹甲弾や炸裂弾等の様々な砲弾が発射される。


ウエポンベイからは対艦ミサイル、巡航ミサイル等、ありとあらゆる兵器が吐き出される。


ドォォォォォォォォォォォォン


しかし、男はバリア濃度を濃くし、更にバリアの硬度を高くしている為、効果は無い。


「何故だ!?何故効かない!?」


『シャーマン6より各機!脱出する!』


突如、無線から脱出の声が聞こえる。


「どうした!?シャーマン6!?」


『奴が…奴が…うわぁぁぁッ!」 』


シャーマン6というコールサインの機を見るとそこには男が機体に取り付き、コックピットを剥がしている光景だった。


シャーマン6は制御を失い、墜落していく。


「くそ!許せねぇ…死ねぇッ!」


30mm機関砲での射撃とウエポンベイからのミサイル攻撃のダブルパンチで男を攻撃する。


だが、その攻撃も効果は無かった。


『(スラッシュエアーッ!)』


男がそういうと空気が斬れる。


すると、上空を飛行していたFー54Hが真っ二つに斬れる。


「な…なにが…起きている…ごふっ…。」


ヒュウウウウウウウウ


墜落していくFー54Hは火だるまに包まれ、摩天楼へ突っ込む。


ドォォォォォォォォォォォォン


摩天楼は大火災となり、消防や警察を用いても混乱は抑えられなかった。


悲鳴と怒号が木霊する。


ドォンドォンドォンドォン


航空部隊が壊滅した為、次の応援航空隊を待つ間に戦車部隊による地上部隊が攻撃を開始する。


レオパルト3は様々な砲弾を用いて男を攻撃する。


徹甲弾を用いた砲撃であるが、当然の如く男には効かない。


マーク25連装ロケット自走砲は高層ビル群の上空で誘導ロケット弾を発射する。


バシュンバシュンバシューーーン


『航空部隊の次は地上部隊か…いいだろう。これで終わりだッ!』


男はそういうと勢いよく息を吸った。


『インフィニティインパクトォッ!』


次の瞬間、とてつもない衝撃波がワシントンD.C.を襲う。


地上部隊は吹き飛び、自動車は埃のように吹き飛んだ。


消防や警察や逃げ惑う人々は消し飛ぶ。


高層ビル等の摩天楼は塵に還った。


空は赤く染まり、雲は吹き飛んでいる。


この攻撃により、ワシントンD.C.は放棄され、ワシントンD.C.が復興されるまで8年の月日が費やされる事となった。


ゴォォォーーーーッ


見事に灰になったワシントンD.C.を襲った男の攻撃を偶然、避けた第1ワシントンD.C.防空隊は男の恐怖に怯えながら、帰投していた。


ミサイルの残弾がなくなった故、補給に戻っている際にこの攻撃が行われた。


その為、隊員はもし残弾がなくなり、補給しようと帰投していなければ…と考えると恐怖が湧き上がってくるのだった。


ゴォォォーーーーッ


青い炎を噴き出す鋼鉄の鳥達は男の恐怖を背に抱え、帰投した。


帰投し、兵舎に戻る彼らを見た者はこう言った。


「顔面蒼白で唇は紫色。カタカタと震えていた。まるで、死目前の病人の様子だった。」


それ程、前線に立っていた者にとっては恐怖であったのだった。



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