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地球連邦国転移物語  作者: ZERO 零
序章
27/42

第27話 「島風」の住人達

ダルケル歴 461年 8月6日 シーズライン海



影の艦隊  



ギギギィィィーーーーーーッ


「大和」から放たれた56cm砲弾が影の艦隊が展開したバリアに激突し、火花を散らす。


「無駄な事を。我が艦隊のバリアを破れる筈が無い。」


女はニヤリと笑った。


バチチチィィッキュイイイーーン


バリアが黄色く閃光を放つ。


「な…何が起きているッ!?」


バァァァーーン


56cm砲弾は、バリアを突き抜けた。


ドォォォォォォォーーーーーン


海面が爆ぜ、巨大な水柱が上がる。


「つ、突き破られるとは…ッ!」


女は驚きを隠せなかった。


「大和」の攻撃により、前方に航行していた艦の内の12隻が消滅した。



第3文明圏連合艦隊 旗艦 「大和」 CIC



「連合艦隊の内、13隻が蒸発ッ!」


「カルフォスト連邦艦から、撤退要請がッ!」


「マークカイズ帝国艦が壊滅状態ですッ!」


「撤退要請が途絶えませんッ!」


CICには、数々の被害報告が入り、阿鼻叫喚であった。


「合計で35隻が消滅。残存艦ッ我が艦を含め、60隻ッ!」


「撤退要請など蹴れ!我々は影の艦隊に勝利せねばならないのだッ!これ以上、宇宙兵器を使えば、環境に影響が出てしまうッ!」


ポートは拳を握りしめた。


「ええ、第2射を早く撃ちましょうッ!」


王は急かす。


「嗚呼、第2射ッ撃てぇッ!!!」


ポートの言葉に合わせ、56cmレールガンが咆哮を上げる。


シュシュシュシューーーーーーーン


56cm砲弾は影の艦隊の上空で汚い花を咲かせる。


「やったかッ!?」


ギュオオオオオオン


「…!?」


突然、影の艦隊が赤い光線を放つと「大和」の左舷に消えてゆく。


ドォォォォォォォーーーーーン


「さ、左舷に被弾ッ!」


「「大和」の装甲を破るとは…。」


ポートは被弾の衝撃で転んでしまう。


「機関室に一部浸水ッ!隔離閉鎖を開始ッ!」


伝令兵は叫ぶ。



イージス駆逐艦「島風」 CIC



地球連邦国艦である「島風」のCICでは「大和」のCICとは異なり、平和…いや、平和過ぎ…戦闘が起こっているとは思えない現象が起きていた。


「UNOッ!」


「クソォッ!!チェックッ!」


「もう、遅いですぅぅッ!」


「島風」のCICではレーダー士、艦長や副艦長や参謀ですらUNOで遊んでいた。


「「スピードッ!」」


「おりゃおりゃおりゃッ!」


一方で艦長を中心とする艦長グループの側でスピードに興じている隊員も居た。


「ダウトッ!」


「なんでわかんだよぉッ!」


パァァァン


ダウトで遊んでいた軍人がカードを叩きつける。


「うわぁぁぁッ!」


「言い過ぎだってッ!」


もう1人の軍人は手を叩いて笑う。


『「大和」の左舷に被弾を確認。戦闘能力が30%低下。』


このアナウンスの直後、CICは静寂に包まれる。


「カード、片付けよ…。」


艦長の河原 尊中佐は残念そうに言う。


「いや、まだやろ。」


何処からか、下士官の声が聞こえる。


「まだ、やるぞぉぉッ!」


「「「「よっしゃああッ!」」」」


パァァァン


カードを叩きつける音が木霊する。


その時、事件が起こった。


『貴様らァァッゴラァァァァァァァッ!!』


ポートの怒号がCICを包む。


しかし、誰も返事をしない。


『上官を無視するとは何事だッ!しかも、戦闘中にカードゲームに興じるとはどういう神経をしているのだッ!』


「swichesとかDF、PS5で遊んでないし、良くない?」


机や椅子の下や床に隠れている下士官がひっそりと言う。


『…確かに…いいやッ!なんであろうと戦闘中に遊戯を行うなど言語道断ッ!』


「スマホいじるよりは良くない?」


またもや、先程の下士官が呟く。


『確かに…いいやッ!スマホをいじるのも駄目だが、カードゲームをするのも駄目だッ!』


「じゃあ、ホログラムでようつべ観ていい?」


『なんでだよッ!駄目に決まっているだろうッ!』


「じゃあ、Twittersは?」


下士官は譲らない。


『いや、駄目だろッ!ていうか、そもそもそういうことはしちゃいけねぇんだよッ!』


「………。」


『いや、黙るなよッ!』


「す、すびばゔぇんじぇじだ…。」


下士官は今にも吐きそうな勢いだ。


『…そ、そこまでいうつもりじゃなかったって…。』


ポートは下士官を慰める。


「ひゃい…ぼうじばげごじゃりまじぇん…。」


『だ、大丈夫だ。と、取り敢えず、仕事に戻ってくれ。』


ポートは申し訳なさそうに通信を切った。


「お前、演技派だな。」


河原は、先程まで泣きそうになっていたが、今はけろっとしている下士官を見ながら、言う。


「でしょう?」


下士官はにっこりと笑う。


『敵艦隊、攻撃を再開しました。』


AIによる、艦内放送でCIC内はピリッとした空気になる。


ドドォォォォォォーーーン


「島風」の前方の海面が爆ぜた。


「島風」はいくも簡単に持ち上がる。


ザバァァァァァァァーーン


「島風」は海面に勢い良く、激突する。


「うおッ!」


河原は目を見開いている。


「攻撃開始、敵艦隊に更なる打撃を与えよ。」


河原の一言により、23cmレールガンが起動する。


ウィィィーーーン


「Y弾を装填しろ。技術屋も喜ぶだろう。」


ガコン


レールガンにY弾を装填していく。


「あの、Y弾ってなんですか?」


先程の下士官が首を傾げながら言う。


「Y弾とは、最先端技術研究所が開発した小口径だが、超高威力を保有する砲弾の事だ。レールガンで無くとも、高威力を発揮するが、レールガンでは特にその威力が素直に現れるのだ。研究所によると、戦艦レベルでも撃沈可能と言う報告だ。」


「そんな砲弾があったとは…知りませんでした…。」


「当たり前だ。これは、極秘だからな。だが、今日でその姿もお披露目だからな。」


河原はそういうと舌舐めずりをする。


「発射準備完了ッ!いつでも撃てますッ!」


砲術長の声が木霊する。


「発射まで、3。」


「2。」


「1。」


「撃てぇッ!」


バァァァァァァァァァンッ


Y弾は23cmレールガンの砲身に絶大な負荷を掛けながら発射される。


発射された1発のY弾は影の艦隊にどれくらいのダメージを与えるのだろうか。



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