表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地球連邦国転移物語  作者: ZERO 零
序章
24/42

第24話 焔龍の最期

マーカス歴 2324年 6月5日 マルフォシス帝国 帝都 帝王城



「まさか、焔龍がこの世界で猛威を振るっているとは思いもしなかったな……。」


アールは、焔龍がこの世界で猛威を振るっている事が信じられなかったようだ。


それもそうだ。マルフォシス帝国は数ある龍の種族を統一している神龍とその下に位置する蒼龍、紅龍により、その下に位置する黄龍や暴龍、焔龍は実質支配されている筈であり、ましてや、このような事は起きない筈だった。


例え、攻撃されても攻撃し返さないように『教育』していたのだから。


「焔龍……この責任は余が取るしかないか……。」


アールはそういうと帝王城を抜け出した。


シューーーーーーーッ


アールは自身の翼を変形させる。


その姿は固定翼機のようだった。


(必ず、服従させるッ!)


アールは決心した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


同時刻 ハンディー帝国 カーズサイズ海沖



この海域には、地球連邦国主導のハンディー帝国民を救出した輸送船団が航行していた。



旗艦 「大隅」 艦橋



「はぁ、とんだ災難だぜ。」


こう愚痴を漏らすのは、旗艦である「大隅」で編成された第3文明圏連合輸送軍司令官である橋本 直哉中将だ。


「本当ですよ。いくら何でも、関わりを深めると言って時代遅れの蒸気船や燃費の悪い輸送艦を連れてくるのは嫌ですよ。」


橋本の声に反応し、答えるのは副司令のフェウル・ロズ少将だ。


「嗚呼、他国の輸送艦のスピードは精々20ノット程度。いくら何でも遅すぎるんだよな。」


20XX年現在、地球連邦国の保有する軍艦は平均50ノット。コンテナ船ですら45ノット程度。高速船であれば60ノットは出すことが出来るのだ。


それと比べれば遅すぎると感じるのも無理は無い。


だが、協力してくれることはありがたいと思っているのだが。


ピッピッピッピッ


「レーダーに反応ッ!これは……?」


レーダー士は首を傾げた。


「ほ、焔龍ですッ!」


「何だと!?直ちに対空戦闘用意ッ!」


橋本の言葉と同時に護衛として引き連れてきたイージス駆逐艦3隻からVLSから極超音速艦対空ミサイルであるRIM-9Dが14発発射される。


ゴォォォォォーーーーーーーッ


RIM-9Dは焔龍に向けて、逃さまいと超音速で向かう。


ドドドドドドドォォォーーーーン


「護衛イージスからの艦対空ミサイルは全弾命中!ただし、効果無し!繰り返す!効果無し!」


極超音速艦対空ミサイルによる攻撃により、高速で向かってくる焔龍に向けて、127mm単装砲が唸る。


ドォンドォンドォンドォンドォン


イージス駆逐艦の周りは薬莢が海中に投下され、水柱が何本も上がっている。


ドォンドォンドォンドォンドォン


「単装砲、全弾命中。ですが、焔龍は無傷です!」


「おのれ、化け物めぇ!」


橋本は拳で机を叩く。


「護衛イージス、単装砲弾を徹甲弾に切り替えます!こちらによる短SAMの発射要請が!」


「分かった。直ちに攻撃ッ! 」


「大隅」から短射程SAM-98Fが7発発射される。


バシュンバシュバシュンバシューーン


短SAM-98Fは見事に焔龍に命中する。


ドドドドドドドォォォーーーーン


「焔龍は無傷!護衛イージス!徹甲弾の装填完了の報告です!」


「よし!我々の鉄槌を見せてやれ!」


ドォォンドォォンドォォンドォォンドォォン


イージス駆逐艦から発射された徹甲弾が焔龍を襲う。


キィィンキィィンガガッ


「徹甲弾により、焔龍は軽傷!スピードが落ちています!」


ドォォンドォォンドォォンドォォンドォォン


徹甲弾は弾切れを知らないのかのように次々と発射される。


ガッガガッガガッガッガガッ


「焔龍に大打撃!血液のような液体が滴り落ちています!」


ホログラムで投影された焔龍の姿は徹甲弾で強固な鱗が剥がれ落ち、赤い血液のような液体が滴り落ちていた。


「焔龍が反転!撤退していきます!」


焔龍はこれ以上は愚策だと考えたのか、輸送船団から早々と去っていった。


「ふぅ……危ないな……。」


橋本は、そっと胸を撫で下ろした。


「直ちに帰投だ。在外基地と協力し、輸送するのだ。」


橋本は消えゆく、焔龍を横目で見ながら言った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


戦闘から3日後 ハンディー帝国 シャーペイ州 某所



(ハァハァハァハァ……危ない危ない……。)


焔龍はシャーペイ州の山奥の巨大な洞窟に身を隠していた。


ハンディー帝国を襲った焔龍は、度重なる戦いで少しずつではあるが、体力を消耗していたのだ。


そして、地球連邦国特製の徹甲弾で大幅に体力を削られてしまったのだった。


(あんなもん食らったらヤバいに決まってる。)


焔龍は身を隠し、再生に勤しんでいた。


〘貴様よ。貴様は余の怒りを買ってしまった。〙


頭を駆け回る重低音で焔龍は叫びをあげる。


ギャァァァァァァァァァァッ


〔だ、誰だあんた!?〕


焔龍は突然、頭に響く声の主を探す。


〘余はアール。貴様の行いは余が責任を取らなければいけない。〙


その声の主はマルフォシス帝国の帝王であるアールだったのだ。


〔か、閣下!?な、何故こ、こに!?〕


焔龍は突然の事で驚愕する。


〘余の国は、今日、この世界へ転移したのだ。そして、貴様の行いが悪いと知った。余の国の民がこの世界に迷惑を掛けていると言われれば、余が出てこない筈が無いだろう。〙


〔そ、それは……ッ!〕


〘余は貴様を何万という命を消し去った罪を償わければならない。それは、チキュウ連邦国にしてもらう。チキュウの民よ、これが焔龍だ。〙


すると、アールの後ろから8名の地球連邦国兵が現れる。


『どうも、焔龍さん。貴方には二つの選択をしてもらいます。』


先頭に立つ1名の地球連邦国兵は全身パワードスーツで見えないが、ニヤニヤと笑っているのは見なくてもわかる。


〔な、なんだお前らは……ッ。〕


焔龍は驚きを隠せない。


『一つ目は殺処分。二つ目は研究対象となり、殺処分されるか。』


〔フッ…甘いな。〕


焔龍は話を聞かずに巨大な翼をはためかせて、洞窟から抜け出す。


『ただし、逃走した場合はその場で殺処分である。』


〔こ、これで…。〕


焔龍が洞窟を抜けた際に見た光景は…。


『攻撃開始。』


ドドドドドドォォォォォォォォォン


洞窟付近に待機していたレオパルト3、シャール自走榴弾砲、AHー54K無人攻撃ヘリ、オパール自走ロケット砲、コルバート戦闘機動車による攻撃が始まる。


徹甲弾や榴弾、機銃弾、ロケット弾、ライフル砲弾が飛び交う。


ドドドドドドォォォォォォォォォン


その凄まじい攻撃により、粉塵が辺りを包む。


ゴォォォーーーーッ


トドメを刺す為、上空に待機していた全翼機であるBー21レイダーによる誘導地中貫通型爆弾が雨あられと焔龍に降り注ぐ。


攻撃が止んだ後には、焔龍が居たと思われる巨大な穴が空いていた。


〔凄いな……チキュウの民は……。〕


アールは目を見開いている。


『それ程でも……。この焔龍はもう要りませんでした。卵がこの洞窟で発見されていましてね。』


〔そうだったのか…。」


『さぁ、ここからですね。各国には数少ない残骸を見せてパレードでもしますか?』


〔面白い冗談を……。いや、良いかもしれんな。余も混ぜては貰えませんか?〕


『キャハハハハッ!』


〔ガハハハハハッ!〕


洞窟中に、2人の笑い声が木霊した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ