第14話 国際会議
長いです。こんなに長いの初めてなんだけど(*´ ∨`)
ダルケル歴960年 4月28日 エビデンス共和国 国際会議場
遂に今日は、国際会議の日である。
そして、地球連邦国が国際連盟に加盟し、国際会議に初参加した日である。
特に第4文明圏は地球連邦国の参加に興味を示していた。
シュメール王国の圧政から自由へ解き放った地球連邦国に対して経緯を払っているのだ。
国際会議場はザワザワとしている。
誰もが地球連邦国の参加に興味を示していたのだった。
そして、今回参加する国家は下記の通りだ。
第1文明圏
〈列強国〉
エビデンス共和国 外務省 ガーディアン・ファイガ
カールビンソン帝国 外務局 トゥーバート・ハルバー
〈準列強国〉
アジェンダ帝国 外務局 コルティス・マーカ
パッションメール連邦国 外務省 マーティン・サコセッシ
マルティア共和国 外務局 ナイリス・ファルバー
デルタポリス帝国 外務局 ウィルター・ウィリアム
〈低文明国家〉
コバルト王国 外務局 ウィリー・ジュファウス
ノーリスト王国 外務局 リアム・ヤルタ
タージャス民国 外務局 パルティス・ハル
マーティアス王国 外務局 ナィスト・ターブ
他67ヵ国
第2文明圏
〈列強国〉
アカデルガ帝国 外務局 マイル・ホーム
ブレイクキャッチ帝国 外務省 レーダー・チャート
〈準列強国〉
アウトサイダー連邦国 外務省 アウト・プット
〈低文明国家〉
モード王国 外務局 マルコス・シーカー
ティスト王国 外務局 カーマス・フォルト
他83ヵ国
第3文明圏
〈列強国〉
ハンディー帝国 外務省 ポルター・ティルト
カルフォルスト連邦国 外務局 サバーナ・アルフォンズ
〈準列強国〉
パルスティール大帝国 外務局 サヴォルト・ガーナー
ピューレサイロ王国 外務局 カルティエ・ハルヴァン
マークカイズ帝国 外務省 ファウス・マルカイズ
〈低文明国家〉
コース亜人連合国 外務局 シェルト・バウス
マーティス王国 シード・ライザ
地球連邦国 外務省 クラックス・クラン
他44ヵ国
そして、国際会議の議長はカーチス・ルターだ。
「静粛に!」
ざわめく国際会議場をカーチスの鶴の一声で鎮める。
「これより、第21回国際会議を始めるッ!」
カーチスはその透き通る声で叫んだ。
待ちに待った国際会議は遂に始まったのだった。
同時刻 地球連邦国 ジュネーブ 大統領官邸 危機管理センター
『これより、第21国際会議を始めるッ!』
大統領官邸の危機管理センターではクラックスに取り付けられている通信機器によりホログラムで国際会議の様子が中継されていた。
「遂に始まったか。」
クリーンは膝を組み、静かに言った。
大臣達もまじまじとその様子を見ていた。
国際会議場
「やはり、第2文明圏の低文明国家であるチキュウ連邦国の格上げが今回の議題だろう。」
こう言うのは第2文明圏の列強国であるカルフォルスト帝国の代表であるサバーナだ。
「嗚呼、これは認めざるを得ない。準列強国であるシュメール王国を滅ぼし、自領に編入。準列強国の滅亡は80年振りだ。準列強国は自国が滅びるわけがないと高を括っていた国もあるが今回、その考えは脆くも崩れ去ったようだな。」
同じ第2文明圏の列強国であるハンディー帝国の代表のポルターは地球連邦国の格上げを推奨する。
「だが、早々に格上げなど可笑しくはないか?」
カールビンソン帝国の代表のトゥーバートは地球連邦国の格上げに反対した。
「そうかもしれん。だが、チキュウ連邦国と貿易をしていないからそう言えるのだよ。チキュウ連邦国は魔法文明ではなく科学文明で発展している国家だ。だが、魔法文明国と対等に出来る程発展しているのだ。」
ポルターは手を組みながら言う。
ポルターが言っている魔法文明とは魔法を用いた文明の事を指す言葉である。対して科学文明とは科学を用いた文明の事を指す。
この惑星において、科学文明国家は少数であるが存在している。
だが、どれも魔法文明国家を下回っている。
その為、科学文明国家は低文明というイメージが付いてしまっていたのだ。
しかし、地球連邦国は他国との貿易を重視し、様々な製品を輸出していた。無論、軍事兵器やは輸出しないが。
しかも、地球連邦国の企業が他国へ多数進出しており、地球連邦国の経済を潤している。
こうして、地球連邦国は様々な国家と貿易……と行きたいところであるが、覇権国家や戦時中の国家とは貿易はし無かったのだ。
それは何故か。それは、覇権国家であれば再び戦争になる可能性と戦時中の国家であれば、輸出した製品が戦略物資として用いられる可能性があるという2つの理由によるものであった。
トゥーバートはその事を知らなかった。
覇権国家であるカールビンソン帝国、現在絶賛戦時中の国家。
貿易をする訳がなかったのだ。
「カールビンソン帝国は覇権国家、現在も戦時中だ。輸出した製品は戦略物資に用いられる可能性がある。チキュウ連邦国は過度に戦争を毛嫌いするからな。カールビンソン帝国と貿易をする訳がなかろう。貴様の国は暴力と屈辱でつくられた国だろ?」
サバーナは淡々と言う。
「なんだと……貴様……ッ!」
ポルターは自国を侮辱された事に怒りを露わにする。
「もう良いだろう。取り敢えず、こちらでは問題は無いのだがチキュウ連邦国側はどう思っているのか?」
サバーナは聞く。
「我が国としても国家の格上げは嬉しい限りでありますが、何か国家の格上げにより弊害等は有りますでしょうか?」
クラックスは国家の格上げが今後の活動で障害が無いのか聞く。
「いいや、無いぞ。特に言えば貿易等のしやすさが挙げられるが、列強国になると自国の文明圏を防衛する為の在外基地を建設しなければいけないとなっている。それ以外は特に無い。」
エビデンス共和国の代表のガーディアンが初めて口を開いた。
「そうですか。有難うございます。」
クラックスは頭を下げた。
「そうだな。1つ聞きたい事がある。」
ガーディアンは手を組んで言う。
「なんでしょうか?」
クラックスはニコニコしながら言う。
「サウス研究所を消滅させたのはチキュウ連邦国かね?」
この言葉でアジェンダ帝国の代表のコルティスは目を見開き、動揺を見せる。
『シラを切れ。』
クラックスの耳に装着されている多目的通信機からクリーンの言葉が聞こえる。
「いいえ、我が国がサウス研究所という研究所は存じ上げませんし、消滅という事はどういう事でしょうか?」
クラックスは表情を変えずに言う。
「アジェンダ帝国のサウス研究所の事だ。貴国の海洋警備隊なる組織と戦闘に陥ったという話が有るのだが?」
コルティスは動揺を見せるが、対してクラックスは全く表情が変わらない。
「ほう、そのような話が有るのですね。事実無根の話をでっち上げられてもらうのは些か腹が立ちますがね。」
クラックスは尚も表情を変えない。
「そうかね?我々の調査によると、サウス研究所にはチキュウ連邦国の軍事兵器が鹵獲されたという情報が有るのだが?」
「それはあくまで情報。証拠がありませんよね?」
クラックスは鹵獲されたDE-12は宇宙兵器の攻撃から逃れ、同時にDE-12を調査していた調査員も捕虜として扱っている。
つまり、証拠は全くないのだ。
「く……だが、サウス研究所の消滅は、光の槍による攻撃だと言う情報がある。そして、それはチキュウ連邦国の保有するウチュウ兵器なるものによる攻撃と一致している。これはどうだね?」
ガーディアンは目を細めて言う。
「宇宙兵器ですか、どこから情報が漏れたのか。まぁ、国内であれば誰でも知っていますが、宇宙兵器であるならばその証拠は有るのでしょうか?宇宙兵器を使用した時の温度や爆破形状、爆音等様々な証拠が無ければ、宇宙兵器……いや、我々の仕業と断定するのは危険なのでは?」
「確かにそれもある。だがn。」
「しかも、アジェンダ帝国のサウス研究所なる研究所では新型大規模攻撃爆弾を開発していたとの噂もありますが?」
クラックスはガーディアンの話を遮り、コルティスに振る。
「そ、そ……それはッ!」
「そして、それはアジェンダ帝国国内にある遺跡から発見された古代科学文明の兵器を元にしていると。その兵器の名は、『原子爆弾』。途轍もない破壊力を与える爆弾、一瞬にして都市が消し飛ぶ。爆発した後は黒い雨が降り注ぎ、放射能を撒き散らす為、重大な健康被害をもたらす。」
クラックスの言葉にどんどんとコルティスの顔が下を向いていく。
「その原子爆弾の名前は、『RRT-44 マークスマン』。我々が開発した試験用原子爆弾だ。」
コルティスは下に向いていた顔をクラックスへ勢いよく向ける。
「だ……だが、チキュウ連邦国の兵器だと断定するのは証拠がないのでは?」
ガーディアンは今までの会話に動揺しながら言う。
「いいや、我々が開発したのは試験用原子爆弾。必ず、試験用や他の実戦用の大規模破壊兵器にはICチップが埋められ、位置情報が必ず分かる仕様になっています。ですが、それは3年前に突如、位置が不明になり、保管場所からはRRT-44が消失していました。これを受け、軍や政府は厳戒態勢へと入りましたが、見つからず。そして、この世界へ転移してから突然、ICチップが作動し、アジェンダ帝国のサウス研究所が表示されたのです。」
「あ……あ……ああ。」
コルティスは、機密にしていたことが思いっきりバラされ、今にも泡を吹きそうな勢いだ。
「これが証拠ですよ。」
クラックスはホログラムを起動し、その時の画像を表示する。
そこに映っていたのはサウス研究所とサウス研究所の地下に表示されていたRRT-44だった。
「これは、試験用な為、威力も放射能汚染も少なく設定されていますが、この写真から8日後、突然爆発し、サウス研究所は消し去りました。」
クラックスはサウス研究所が消し飛んだ写真を見せる。
「これからして、サウス研究所に保管されていたRRT-44が誤爆したと考えられます。」
クラックスや政府が考えたシナリオはこうだ。
アジェンダ帝国と海洋警備隊が戦闘に陥った。場合によれば、公表する予定であったが、その後の調査でアジェンダ帝国の試験用兵器であることが明らかになった為、機密にする。たまたまDE-12が1機鹵獲されてしまった為、宇宙兵器で攻撃。だが、調査されていたサウス研究所には地球連邦国の消失したRRT-44が保管されていた為、それの誤爆とする、というシナリオだ。
その完璧なシナリオでガーディアンは反論が出来ない。
機密を多くばらされているアジェンダ帝国は、全てを少しでも隠すことで精一杯だった。
その為、地球連邦国としてもクラックスとしてもやりやすかったのだ。
「申し訳なかった。」
ガーディアンは折れたようだ。
「ええ、別に私としても失礼な発言、失礼いたしました。」
そして、話は地球連邦国の格上げの話に戻る。
「では、チキュウ連邦国の格上げレベルを準列強国に格上げを認証する国家は挙手して下さい。」
カーチスは周りを見渡して言う。
すると、216ヵ国のうち95ヵ国が挙手をする。
「分かりました。では、チキュウ連邦国の格上げレベルを列強国に格上げを認証する国家は挙手して下さい。」
今度は、21ヵ国が挙手をした。
「分かりました。では、チキュウ連邦国の格上げは認証しないという国家は挙手して下さい。」
すると、36ヵ国が挙手をした。
「分かりました。では、チキュウ連邦国の格上げはどちらでも良いという国家は挙手して下さい。」
残りの64ヵ国が挙手をする。
「分かりました。では、今回のチキュウ連邦国の格上げは認証し、準列強国と格上げを致します。」
カーチスの透き通る声が会場を包む。
その後、国際会議は地球連邦国に対する様々な制約を言い渡した。
・ 地球連邦国は今後、戦争する際には賠償金の1割を国際連盟に寄付しなければいけない
・地球連邦国は今後、第3文明圏の列強国が在外基地を置いていない為、第2文明圏に在外基地を置くこと
(地球連邦国制約書から抜粋)