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地球連邦国転移物語  作者: ZERO 零
序章
13/42

第13話 着弾

20XX年 4月18日 宇宙攻撃型人工衛星〈シャブロン〉CIC



「1号槍、誘導装置に問題無し。」


「着弾まで後2分。」


1号槍はサウス研究所へ高速で向かう。


ゴォォーーーーーーーーッ


「最終安全装置解除。」


ガチャァァーン


その言葉と同時に1号槍を包んでいた防護殻が解放される。


「着弾まで後10秒。」


「9、8、7、6、5、4、3、2、1。着弾。」



ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーン


この攻撃は異世界初の宇宙兵器による攻撃だとして後世に伝われることとなる。



ダルケル歴960年 4月18日 サウス研究所



「なんだあれは……?」


「光だ……な……?」


ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーン


研究所は突然空から降ってきた光により消滅した。


その攻撃により研究所を中心とした半径20kmが消滅した。


普通であれば半径60km程は消滅可能なのだが、FEー12の保有するデータとFEー12が収集した研究所のデータが地球連邦国は数少ない他国の情報を得られるのなら威力を削減する事など容易いのだった。


ゴォォーーーーーーーーッ


ジェットエンジン音が空に響く。


上空には1号槍の攻撃を回避したFEー12が飛行していた。


装備されているジェットパックを使い全速力で逃走してきたのだ。


残りの燃料は後1L。装備されているソーラーパネルで高効率な太陽光発電による電気と燃料のハイブリッドで乗り切ったのだ。


そして、そのFEー12の上には2人の人間。


1人は気絶しており、もう1人は恐怖に満ちた顔をしている。


モースとファスナーだった。


『貴方々ハ我々の所へ連レテ帰リマスカラネ。』


モースとファスナーは結束バンドを取り付けられていた。


「は……はひぃ……い……。」


モースは受け答えすら出来ない。


肝心のファスナーは気絶していた。


FEー12とモースとファスナーは仲良く地球連邦軍の回収部隊に回収されるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ダルケル歴960年 4月20日 エビデンス共和国 大統領府



エビデンス共和国は世界警察と呼ばれている強大な国家だ。


地球連邦国統一前のアメリカ合衆国のようだ。


その高度な文明で国際連盟を創設し、国際会議を開始したのもエビデンス共和国だ。


そして、今年の国際会議で心配が1つあった。


「今年の国際会議は荒れるな。」


そういうのはエビデンス共和国の大統領であるカルタシス・グフタスだ。


「ええ、やはり今回の目玉はチキュウ連邦国ですね。」


こういうのは大統領補佐官であるマルバチョフ・タラスだ。


「30年振りの国家転移で現れたというチキュウ連邦国は、第3文明圏では絶大な栄華を誇っていたシュメール王国を滅ぼし、第4文明圏のトップの国家であるピュールサイロ王国との国交締結。チキュウ連邦国の領海と思われる海域でのアジェンダ帝国の潜水艦の撃沈、サウス研究所の消滅。全てはチキュウ連邦国が関わっていると考えられるな。」


実は、エビデンス共和国は上記の通り、様々な情報を諜報機関を、使い得ているが人工衛星を保有していない。


何故なら、宇宙に行く為には大量の魔素が必要であるからだ。


エビデンス共和国を含む殆どの国家が魔法を使う国家だ。


その中でエビデンス共和国はトップに位置する魔導科学を発達させている。


その為、空中空母や空中戦艦やバリア等の地球連邦国の科学力では実現不可能な兵器をも技術が確立されれば容易に行うことが可能だが、人工衛星は飛ばせない。


それは、宇宙空間には魔素が無いからだ。


宇宙空間まで飛行する魔導大気圧縮放出エンジンは未だ開発中であり、開発出来た暁にはその絶大な飛行能力を用いて、軍事的優位に立つことが出来るのだ。


だが、これは酸素が宇宙に無いことと同じだと思われる事かあるが、これは全く異なる。


魔素が無くても固形燃料のような魔石という魔素を閉じ込めた石状の物はあるが、純度が高くなければ重力を振り切れる程のエネルギーは生み出せない。


そして、エビデンス共和国を含む各国は、そのような純度の高い魔石は生成不可能だ。


その為、人工衛星を打ち上げたいのは山々なのだが出来ないのだ。


「国際会議まで後8日。招待国にも加えとかなければな。チキュウ連邦国はどのような国なのかだな。」


「ええ、我が国の諜報機関でもまだ情報が得られませんからね。」


カルタシスとマルバチョフは着々と国際会議の準備を進めていくのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


20XX年 4月21日 地球連邦国 ジュネーブ 大統領官邸



クリーンはいつものコーヒーを飲むルーティーンをしていたのだが、それは釧路の通信により壊される。


『大統領!ピューレサイロ王国よりエビデンス共和国の開催する国際会議に出席して欲しいと招待が来ました! 』


釧路はホログラムで文面を投影する。


「本当か!?ピューレサイロ王国が主催なのか?」


『いえ、エビデンス共和国です。で、そのエビデンス共和国がこの惑星で最強の国らしいのです。』


「最強の国家か?」


クリーンは疑問に思う。


最強であるのであれば人工衛星は打ち上げられる筈であろう。


だが、地球連邦国は魔法や魔素に関する研究は進んでいないためこの事実が発覚するまで数年を要するのだった。


『ええ、人工衛星で確認したところ空中戦艦や空中空母、レーザー銃、レーザー砲が確認されています。』


「なんと……これは、最強だな。で、核は持っているのか?」


クリーンは本題に入る。


『ええ、核は保有していると考えた方が良いかと。その為の攻撃型人工衛星でしょう?』


「そうか……現在宇宙空間にいる攻撃型人工衛星を使えば滅ぼす事は容易か。」


『ですが、核程ではないですが環境に与える影響は甚大です。』


流石に、核は環境に影響を及ぼす。


かと言って、宇宙兵器も環境に影響を及ぼさない訳では無い。


巨大な爆発等により塵が惑星全体を覆い、太陽光が遮られてしまう。


だが、それは最終戦争の話であるが……。


「そうだな。そのようなことになる時にはもうこの惑星に人間など居ないさ。」


『そうですね……では。』


釧路は通信を切った。



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