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地球連邦国転移物語  作者: ZERO 零
序章
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第1話 転移


20XX年 4月9日 地球連邦国 首都 ジュネーブ 大統領官邸



地球連邦国…。それは、地球に存在していた国家が統合された国である。


地球を支配していた人類種の国家群統一により、地球連邦国は地球の全てを支配することとなった。


そして、永世中立国であった旧スイスのジュネーブに地球連邦国の首都が置かれていた。


立ち並ぶ超高層ビル群。その中に超高層ビル群を超える巨大なビルがそびえ立っている。


大統領官邸だ。


大統領官邸の最階層でいつも通り執務をこなしているのは初代地球連邦国大統領であるクリーン・フィリプスだ。


彼は、旧クロアチア人で地球連邦国が建国された時にまず先に大統領に立候補した1人だ。


「ふぅ、これで仕事も終わりか。早く帰るとするか。」


クリーンは一通り仕事を終え、家に帰ろうとする。


ヴォン


『大統領閣下!緊急事態です!』


すると、ホログラムに執務官が現れる。


「なんだね?緊急事態とは?」


『大統領閣下!衛星との通信、月面基地と火星基地の通信が途絶しました!』


「だが、唯の通信障害では無いか?」


クリーンは執務官に疑問を呈す。


『違います!GPSも圏外ですよ!』


クリーンは大手電子機器会社であるケルベ社製のスマートウォッチを起動する。


〈圏外です。GPSとの通信が途絶しました〉


「本当だッ……有り得ない……予備通信衛星とも繋がらないのか?」


『当たり前でしょう。圏外なのですから。』


(何が起こっているんだ?)


クリーンは窓から空を見上げた。


今日の空は赤黒く染まっており、クリーンの不安を煽った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3時間後 大西洋


ザァァァーーーーーッ


広大な海を縦横無尽に航行する1つの艦隊が居た。


地球連邦海軍 第1ステルス艦隊である。


その名の通り、イージス駆逐艦や核融合空母はステルス化されている。


第1代ステルス艦隊 旗艦 核融合空母 「ジェラルド・R・フォード」CIC



旧アメリカで活躍していた「ジェラルド・R・フォード」に改造を施したこの艦は改造前とは見違えるような姿となっていた。


「司令!GPSとの通信が途絶しました!」


突如、艦隊司令であるジョン・クラバー中将に声をかけたのは艦長であるエルト・ハルバー少将だ。


「どういうことだ!有り得ないだろう。」


〈GPSが復旧しました〉


ホログラムで復旧のメッセージが現れる。


「通信障害じゃないか。驚かすな。」


ジョンはエルトを睨む。


「ス、すみません。」


エルトは素直に謝る。


だが、この復旧のメッセージはGPSとの通信復旧ではなく簡易衛星によるGPSの復旧であったことを未だ彼らは知らなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ダルケル歴 960年 4月9日 シュメール王国 王城



この国は地球連邦国が転移した世界に存在する国家、シュメール王国である。


約1000年前に建国されたこの国家は最初こそ弱小国であるが、現在は度重なる侵略戦争で国土面積は旧日本を凌ぐ。


軍事力も強大で総兵力300万人とあり得ない多さであった。


「ハイン様!新たな新興国が出現したそうです!」


ドアを勢いよく開け、執務官が飛び出てくる。


「ドアのノックくらいしろ!」


シュメール王国の第12代の王であるハイン・シュメールは執務官を叱る。


「ス、すみません!新興国が出現したそうです!」


「それはもう聞いた。どこ情報だ?」


ハインは葉巻をふかしながら言う。


「ワイバーンによる定期偵察です!」


すると、ハインは「よし」と頷き、


「流石、我が空軍だ。能力は一流だな。」


と言った。


その顔は自慢げであった。そして、自慢げな顔から一転、真剣な顔をしながら顎に手を当てた。


「直ちに、攻撃をしろ。新たな植民地が現れたというのなら大歓迎だな。」


ハインは舌なめずりをし、国がさらに強化されていく様子を空想しながら、時を過ごした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シュメール王国 シュール港


ここにはシュメール王国の精鋭と称される第2艦隊が停泊していた。


蒸気船を主力とする艦隊であり、空はワイバーン、海は蒸気船とカオスである。



旗艦 「シュルベルト」



「司令!出撃命令が出ました!」


カタマランという特殊な形状をしている本艦の司令室に伝令兵が艦隊司令であるファイル・アップ中将に報告をする。


「そうか、だがなぜ我々が出撃しなければならないのだ?」


「そ、それは上の事ですし…。」


伝令兵は困惑する。


「まぁ、上は俺らのことを捨て駒としか思ってないだろう。」


「…。」


伝令兵は下を向いたまま、何も言わない。


「貴様、上官にそんな態度を取っていいと思っているのか!!!!!」


突然、ファイルの眉間に血管が浮き出る。


「い、いやぁ…そ、そんなことh。」


伝令兵は自らがやってしまったことに後悔する。


「情けはむぅよぉうッ!!!!!」


ファイルはそういうと短剣を取り出し、伝令兵の首を斬る。


鮮血が噴き出し、司令室は真っ赤に染まる。


「おい、近衛兵!」


バタン


ファイルがそういうとドアの向こうにいた近衛兵が死体を片付け始める。


この艦隊は精鋭だけでなく、とてつもなく司令官が少しのことで癇癪を起こすということでも有名であるのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


大西洋 第1ステルス艦隊 旗艦 「ジェラルド・R・フォード」 CIC


「司令、100km先に艦隊が!」


「ホログラムで写せ。」


ヴォン


ホログラムで蒸気船の艦隊が写される。


「蒸気船!?何故だ?ラノベですか?」


「本当だな。アジア州で流行っているラノベなんちう異世界転移系に載っていたやつだな。」


現在アジアでは異世界転移系のラノベが未だに流行っているのだ。


アジアの影響は強くオタク人口は8億人を超えている。


既にオタク文化は海外をも席巻しているのだ。


勿論、オタクである兵が居ないはずもない。


ジョンは異世界転移系ラノベを読んだことがある。


この時ジョンはこうなればどれだけ都合が良いだろうと頭を抱えた。


このような考えが兵に伝わるなど言語道断!と思っていたが少しハマってしまった。


それからジョンは異世界転移系のラノベを読むようになったのであった。


それは、現在も同じである。


「とにかく臨検だ。「マイケル・モンスーア」に任せる。」


ステルス駆逐艦である「ズムウォルト」級イージス駆逐艦と同型艦である「マイケル・モンスーア」は極超音速ミサイルを積み、最強の駆逐艦とも呼ばれている。


それは、改造後のことであるが。


「ズムウォルト」級自体は旧アメリカにより建造されたが、コストと技術的問題で金食い虫となっていた。


統一後、地球連邦国は「ズムウォルト」級ミサイル駆逐艦を改造し、当時新技術であった多目的艦対超速射砲の技術を流用し、既存の主砲と取り替えた。


そして、短魚雷等の水雷戦と超高性能水上、水中レーダーと電子戦に備えたジャミング等の機器の搭載により、瞬く間に最強の称号を手にしたのだった。


もう、金食い虫となった「ズムウォルト」級ミサイル駆逐艦はイージス駆逐艦として変わり、地球連邦国海軍精鋭の第1ステルス艦隊に編入されたのだ。


これが、地球連邦国と異世界国家との初接触である。







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