9:動き出すやべーやつ!
敏捷値ゼロの足でノタノタと走り、俺は再び『初心者殺しの森』に辿り着いた。
さぁ、何体襲ってこようが今度は負けないぞ。
俺はひときわ大きな巨木の前に陣取り、適当に大声で吼え叫ぶ!
「クマのっ、えーと……アホーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
静かな森に響き渡る俺の罵声。
特に思いつかなくて小学生並みの罵倒をしてしまったが、内容なんてどうでもいいのだ。
奴らは仲間の叫びを耳にして集まってきたからな。目よりも聴覚で感知するタイプの敵と予想し、何度か「バカー!」「アホー!」と繰り返し叫ぶ。
すると、
『グガァアアアアーーーーーッ!』
ビンゴだ! 想定通り、こちらに向かって巨大熊がものすごい勢いで向かってきた。
しかも相手は前回と同じく三匹だ。まさにリベンジ戦と呼ぶにふさわしい。
「さぁやるか。――アイテムボックス、解放!」
そうして俺は新戦術を繰り出した。
いちいち両手に顕現させていては時間がかかる。ならばどうする? 決まっている。
最初から周囲に武器を展開しておけばいいのだ。
俺の叫びに応え、五十本の剣が辺りの地面に突き立った。
俺はそれらを次々に熊どもへ投擲していく――!
『グガウーッ!?』
『ギャグウウウッ!?』
絶え間ない連続投擲に悲鳴を上げていくマーダーベアーども。
極振りの筋力値から繰り出される大ダメージにより、奴らは中々前へと進めない。
さらに回り込むことも不可能だ。なにせ俺の背後には巨木のオブジェクトが控えてるんだからな。
さぁ、このまま一気に討ち取らせてもらうぞ――!
「スキル発動、【暴走】ッ!」
そして俺の攻撃はさらに激化した。
ステータスアップ系スキル【暴走】。その効果は、五分間のあいだ筋力値を二倍にする代わりに防御と敏捷を半分にする諸刃の剣だ。
しかし元々どちらもゼロである俺にはデメリットなんて皆無。どうせ亀みたいに足が遅いんだから、この場から動くつもりもないしな。
「悪いな熊ども、俺の小遣い稼ぎに付き合ってくれ」
あとはもはや語るまでもない。
周囲の剣が尽きたら再びバラまき、ヤツらが死ぬまで投げて投げて投げまくっていく。
当たるたびにズドンッ! という音が響き、熊どもの血肉が盛大にブチ撒けられていく。
『グギャゥーーーーッ!?』
「あはははっ! こりゃ爽快だなー!」
筋力値が300まで到達すると、剣が当たるたびに砲弾でも炸裂したかのように熊どもが吹き飛んでいく――!
そうしてついに三匹のマーダーベアーが絶命した時だ。レベルが4に上がったのと同時に、俺に向かって何匹もの熊たちが走ってくるのが見えた。
『グガアアアアアアッ!』
「おっ、ちょうどいいなー! 狩り放題だ!」
レベルアップしたことで手に入ったポイントを全て筋力値にブチ込み、襲い掛かってくる熊軍団に対峙する。
おそらくは途中で死ぬかもしれないが、むしろちょうどいいってもんだ。いちいち歩いて帰るのがダルいから、満足したら自殺しようと思ってたしな。
さぁさぁさぁ、殺して殺して殺されるぞー!
俺は両手に剣を握り、熊どもを笑顔で出迎えるのだった。
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