3:クール系美少女レンちゃん誕生!!!
視界いっぱいの光が収まると、俺の目の前にはイメージしていた通りの『ファンタジー世界』が広がっていた。
中世的な石造りの街並みに、雑談しながら街を歩く鎧姿の戦士たちなど、まさに異世界って感じだ。
「すごいクオリティだな~。これが最新のVRゲームなのかぁ……」
現実よりも景色が鮮明に見えるくらいだ。五感のほうもリアルと変わらないくらいはっきり機能してるみたいだし、話題になるのも頷ける。これなら街を歩き回るだけで満足しちゃえそうだな。
そうして俺が物珍しげにあたりを見回していた時だ。うっかり赤い鎧を着た男とぶつかってしまった。
「あいたっ」
「おっと悪いな! 実は知り合いを探してて、うっかりよそ見……を……!?」
俺の顔を見て固まる男。
な、なんだなんだ? 俺の顔に何かついてるのか?
つーかコイツ、俺を見下ろしてくるムカつくような高身長といい、ちょっとアホっぽい顔付きといい、どこかで見覚えが……あっ!?
「もしかしておまえ哲夫かッ!?」
「そういうオメェは蓮なのかよ!?」
おおっ、俺の名前がわかるってことはやっぱり哲夫かよ! 肉付きをいじって微妙にイケメンにしやがってコイツ~!
そんな悪友の見栄っ張りをイジってやろうとした時だ。哲夫のヤツは俺を指差し、大声で叫ぶ。
「おい蓮っ! オメェさんざん男らしくなりたいって言ってたのに、なんで女の子のアバターにしてるんだよ!?」
は……はぁぁぁあああ!? 何言ってんだコイツ!? そんなことするわけないだろうがっ!
いったいどういうことなのだろうか。悪友の謎発言に首を捻った瞬間……俺は気付いてしまった。
さらっと胸元までかかる、長い黒髪の感触に……!
「えっ、なっ、なんで長くなってんだよ!?」
しかも変わっているのは髪の長さだけじゃなかった。胸もプクっと膨れている上、服装も赤ずきんのようなエプロンドレス姿に変化していたのだ!
まっ、まさか、ランダムキャラエディットの影響か!? おいおい待てよあのチビ妖精っ、バッチリ魅力的にしておくっていうからイケメンにしてくれるのかと期待してたのに、なんで女の子のアバターにしてるんだよー!?
なぜかイメージの中でやり遂げた顔をしているポーにキレそうになった時だ。
哲夫のヤツがそっと俺の肩に手を置き、「やっぱりそういうことだったのか」と呟いた。
「安心しろって親友、オレは全部わかってるから。――せっかくクール美少女な顔付きに生まれたんだから、実は女装したかったんだよなッ!」
「ってちげーよバカッ!?」
アホなことを言ってくるダチに、俺は全力でアイアンクローを食らわせたのだった!
↓ブクマにご感想にご評価、最後にお待ちしています!




