11:効率厨との出会い!
テツに連れられて街の一角にやってくると、そこには二人の男性プレイヤーがいた。
一人はクールそうなポニーテールの和服男子で、もう片方は……忍者だ! 顔までずっぽり黒頭巾で隠した忍者がいる!
ギョっとする俺をよそに、テツは二人に「見つけてきたぞ~」と俺の手を引いて前に出す。
「お、おいちょっと」
「待たせたな二人とも、コイツがオレのリアル友達のレンだ!」
そんなテツの召喚に二人は「ほぉ」と感心した。
忍者がシュバババッといきなりにじり寄ってくる。
「ままままままことでござるか!? テツ殿にこんな美人な女友達がいるなんて信じられないのでござるが……ッ!」
「いや、俺は女じゃ……」
女じゃないと言いかけた時だった。いきなりテツが俺の腕を引っ張って後ろを向かせてきた。ってなんだよ!?
視線だけで抗議すると、ヤツは俺にひっそりと耳打ちしてくる。
「すまねぇレン……! 実はこいつらに見栄張ろうと思って、お前のことを女友達だって言っちまったんだよ……! オレ、一応これでもリーダーだからさぁ……メンツってもんがさぁ……」
「って知らねーよそんなの!?」
「頼むッ、一生のお願いだ! 別に口調とかそのまんまでもいいから、本当のことは言わないでくれないか……!? オレの尊厳のためにもよぉ……!」
つい見栄張って嘘吐いちゃったんだよ~~~と泣きついてくるバカ友達。
チィッ……めんどくさい野郎だなぁ……!
「はぁ、わかったよ……。代わりに一週間、昼休みに焼きそばパンをおごりやがれよ?」
「おぉおおおッ、サンキューなレンッ! 取引成立だ!」
泣きそうな顔をしていたと思ったら途端にパァッと笑顔になりやがった。本当に調子のいい野郎だ。
そんな悪友に再度溜め息を吐きつつ、俺はキョトンとしていた忍者へと向き直る。
「話の途中に悪かったな。……俺はこいつの女友達とやらのレンだ。可愛げのない口調だが、まぁ気にしないでくれ」
「おぉーっ、全然ウェルカムでござるよッ! むしろキャピキャピとしたギャルっぽい女子だったら会話に困ってしまったでござるよぉ!
あ、拙者の名はサスケでござるッ! ジョブは見た目通りの『ニンジャシーフ』というもので、敵にターゲティングされにくいジョブ特性を持っているでござるよ~」
よろしくでござるーと手を差し出してくるサスケ。覆面のせいで顔は一切分からないが、かなりフレンドリィな性格らしい。俺は喜んで握手に応えたのだった。
そんな時だった。建物の壁に身を預けていた和服ポニテが俺たちににじり寄ってくる。
「……某の名はムラサメ。『サムライソードマン』という急所攻撃へのダメージを増大させる職に就く者だ。
単刀直入に言うが、時間が惜しい。こうして騒いでる間にも、他のグループがボス攻略に成功するかもしれんからな。レンとやら、さっさとジョブと主な戦術を教えるがいい」
ってなんだよコイツ、ちょっと高圧的だな~。
テツやサスケのほうを見ると「まぁたお前は……」と苦笑いしているあたり、いつもこんな感じなようだ。
まぁ時間が押してるのは本当のことみたいだからな。さっさと答えて狩りに向かおう。
「俺のジョブは『クラフトメイカー』。アイテムをたくさん持てる特性があるから、それで武器をいっぱい出して投げまくる戦術を取ってるよ」
「なっ、クラフトメイカーだと……!? 戦いに役立つ特性を持たない生産職ではないかっ!」
「生産職でもいいだろうが、実際なんとかなってるし。ちなみにステータスは筋力値極振りだから、ダメージ稼ぎは任せとけ」
「っ……おいテツ、どうしてこんな地雷プレイヤーを連れてきた? ただ美人な彼女を自慢したかっただけという理由なら、斬るぞ貴様」
腰の刀に手を添えながら、ムラサメはテツを睨み付ける。
っておい、誰が地雷だ!? そして誰が彼女だ!
そんな俺の抗議を無視するムラサメに、テツはまぁまぁと宥めかかる。
「ちゃんと戦力になるから大丈夫だって、リーダーとしてオレが保証すっから。それよりも、オメェが言ってた通り今は時間がない。さっさとムカデ狩りに行こうぜ?」
「チィ……足を引っ張るようなら、斬り捨てるからな」
俺を一瞬ぎろりと睨み、ムラサメはさっさと街の外に向かって行ってしまうのだった。
う~ん、やっぱりバトルと攻略を第一に考えるプレイヤーは殺伐としてるなぁ。スローライフを目指す俺とは正反対だ。
思わず溜め息を吐く俺に、サスケが「ははは……」と苦笑しながら近づいてきた。
「まぁ気にしないことでござる、ムラサメ殿はいわゆる『効率厨』でござるからなぁ。
ただまぁ……あまりにもレン殿が戦力にならない場合は、拙者としても少し庇いきれんでござるよ?
最低限、5レベルくらいはあると嬉しいのでござるが……レン殿は今いかほどで?」
「11だよ。ほら、もうさっさと行こうぜ」
「んなッ、拙者より1つ高いーッ!?」
ギョッと驚く忍者を置き去りに、俺はムラサメのあとを追って行ったのだった。
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