第十一話 幻?
冬吏はドアを開けた直後5秒ほど静止した。
全身から血が抜けるかの様な錯覚に陥った。
あとから外の風景をのぞき込んだ
ホタラは不思議そうな表情をうかべた。
冬吏は乾いた薄灰色の唇をパクパクさせ、
目をギュッとつむり、ゆっくり開いた。
すると冬吏はギョッとして
また5秒ほど静止した。
ながらく続いた沈黙を破り
冬吏を意識の世界から起こしたのは
ホタラの間の抜けた声だった。
「どうしたんですか。何かキモイですよー。」
「いや、えと、え...」
脳の整理が追いつかない。
意識がとびそうだ。
色々な事を考え、
ようやく冬吏が口にした言葉は
「いや、なんでもない。」
だった。
ホタラは少し変に思ったが
すぐに気を取り直した。
「じゃっ!行きますよ!」
少し、どころか全てが変に感じたのは
冬吏も同じであった。
冬吏の目には確かに一瞬、
荒れ果てた街の様な物が写った。
しかしどうだろう、今は
遠くに見える城の様なものまで続いている
道と、それに沿ってずっと続く
カラフルな屋根がたくさん見える。
目の前には、
おそらく、そのストリートへ降りることが
できる螺旋階段がある。
「はーやーくー!」
そんな冬吏をお構い無しに呼ぶ声が聞こえる。
ホタラはとっくに下へ降りているようだ。
冬吏は慌てて返事をしながら
慣れない階段を降りていった。
「今行くー!」




