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14話 「脱出作戦」

「まずどうやって脱出するかだが、主に魔法を使おうと思う」


「魔法…ですか」


「あぁ、そこで皆が魔法を使えるのか、それと何属性の魔法が使えるかを知っておきたい」


もちろん全部俺1人でやってもいいのだが、人数が多い方が効率がいい。


「なるほど、私は水属性の魔法を中級、風属性の魔法を初級まで使えます。 あ、あと一応回復魔法もできます」


「ぼ、僕は土属性を初級だけだ」


「なるほど」


中級を使えるのはデカイな、それと何かと使える風属性と土属性があるのもいい。


聞いといて良かったな。


「えっと…あなたは?」


金髪の少女が俺にそう言ってきた。


あぁ、そう言えば俺はまだ言ってなかったな。


「俺は一応全属性を使える、そんで火属性が中級だ」


「なっ…!?」


「ほ、本当ですか…?」


「あぁ。 よし、そんじゃあ自己紹介するか、俺はルージュだ」


期間限定だが一緒に脱出する”仲間”だ、名前ぐらいは知っとかないと不便だろう。


「私はアリスです」


「僕はクリスだ」


「………」


なるほど、金髪の少女はアリス。

茶髪の男はクリスか。


茶髪の少女は何も言わない、警戒されてるのだろうか。


「ほらクレア、自己紹介しなさい。 この人は僕たちを助けてくれる良い人だよ」


クリスが茶髪の少女にそう言う。


茶髪の少女は急に笑顔になり。


「本当!? お兄ちゃん!」


「あぁ本当だよ、だから自己紹介しなさい」


「うん! あのね、私クレア!」


「クレアちゃんか、俺はルージュだ。 よろしくな」


「うん! ルージュお兄ちゃん!」


よし、これで全員の名前と得意魔法が分かった。


後は実行するだけだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まずは牢屋を調べてみる。


壁は当然だが硬い、子供の力ではビクともしない。


1つだけある窓は小さく、そして高い場所にあるので無理だ。


最後に檻、めっちゃ硬いが鉄で出来ている。


鉄なら出る事が出来るかもしれない。


唯一の救いは、俺達に手錠などが付けられていなかった事だ。


「どうだ…?」


「だ、大丈夫そうですか…?」


クリスとアリスが不安そうな声を出す。


100%脱出出来ると言った以上、ミスは出来ない。


「あぁ、こんな檻余裕で脱出出来るよ。 安心しろ」


俺が上手く出来るか出来ないかでこいつらの運命が決まってしまうのだ。


俺も精一杯生きると決めた以上、奴隷には絶対になりたくない。


だから、絶対に失敗は出来ない。


俺は両手で檻の2本に触れ……


熱手ヒート・ハンド…!」


手の温度を急激に上げる。


そして魔力を込め、さらに熱くする。


魔法は魔力を込めれば込めるほど威力が増すのだ。


「…よし、これくらい熱くすれば大丈夫だろ」


檻の2本は色が赤に変わる。十分熱くなったはずだ、触ったら火傷では済まないだろう。


さて、熱したらすぐに次だ。


俺は熱くなった檻を思い切り左右に引っ張った。


すると檻は曲がり、人が通れるほどの隙間が生まれた。


「なっ…!?」


「えっ!? なんで…」


クリスとアリスが驚いた声を出す。


「鉄は熱すると加工しやすくなるんだよ。よし、んじゃ出るぞ」


俺達は檻から出る事に成功した。


隊列は前から俺、アリス、クレア、クリスの順だ。


俺は常に前を警戒しながら進み、アリスは横を警戒、回復魔法を使えるので真ん中に、クレアは全員で守り、クリスは後ろを警戒する。

という感じだ。


「……なんか、暗いですね」


「あぁ、そうだな」


アリスの言った通り、通路は暗く、壁に松明が差してあるだけだった。


俺はその内の一本を拝借した。


「どうやら、僕達以外に囚われている者はいないみたいだな」


「あぁ、だがもし見つけたらそいつらも助けるぞ」


「もちろんだ」


話しながら歩いていると、俺達が進んでいる方から声が聞こえてきた。


「静かに…! 何か聞こえる」


俺は3人を黙らせ、耳をすます。


『いやぁ…しかし今日だけで4人も捕まえられるとはなぁ〜』


間違いない、俺達を拉致した奴の声だ。

声的に1人か…?


「お、おいどうするんだ…! あいつらの足音……僕達の方に向かってるぞ!」


「る、ルージュさん…どうしましょう…」


ここがあいつらのアジトである以上、遭遇する事はあるだろうとは思っていた。


だがこんなに狭い場所で、とは思っていなかった。


だが1人なら……いけるかもしれない。


「こっちに来るのは1人だけだな」


「で…どうするんだ…?」


「そいつを倒す、そんであわよくば出口を聞き出す」


「なっ…無茶ですよ! 子供だけで大人に勝てるわけが…」


「なら、お前ら3人はさっきの檻に戻ってていい。

無事アイツを倒したら迎えに行くからよ」


正直、相手の能力が未知数だ。

だから勝てるかは分からない。


俺の無茶にこいつらを巻き込むわけにはいかないからな。


「時間がない、決めるなら早めに頼む」


「……私は…ここに残って、一緒に戦います」


「いいのか? 勝てるか分からないぞ?」


「どっちにしろ、勝たないと脱出できないんです。 なら、人数は多い方がいいでしょう?」


「……助かる」


アリスはそう言って微笑む。


「ぼっ、僕も戦うぞ! こ、こんな所で…怯えてたまるか!」


クリスも手伝ってくれるらしい、だがクリスはアリスと違い、声と足が震えている。


「ありがとう。 なら今から手短に作戦を伝える、よく聞いてくれ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやぁ…この商売は楽だなぁ」


通路の奥から男の声と足音が聞こえてくる。

俺達は息を殺し、チャンスを待つ。


「ガキを捕まえて売るだけで大金が手に入る…ククク…やめらんねぇぜ」


そう言う男の口はいやらしいほどニヤけている。


ピチャッ…


「ん…? 水…? もしかして雨漏りかぁ…?」


男の足元には水溜りがあった、そして男が上を向くと……


「なっ!? おまっ…」


雷球サンダーボール!!」


男が上を向く。 だがもう遅い。

俺が放った雷球サンダーボールが男の下の水溜りに当たると……


「ぐああっ……!」


男の身体は痺れ、膝をついた。


「よしっ! 今だ! 痺れてる間に土魔法で拘束しろ!」


俺達は男を痺れさせた後、クリスと俺の土魔法によって男の手足を壁に固定、そして口を土魔法で塞いで拘束した。


「ふぅ…なんとか上手くいったな」


「お兄ちゃん達凄いね!!」


「まさか水魔法と雷魔法にあんな使い方があるとは思いませんでした……」


「俺も聖水セイクリッド・ウォーターが電気を通しやすいとは思わなかったよ。

ありがとな。

聖水って普通の水とは違うんだな」


アリスの中級魔法、聖水は普通の水よりも電気を通しやすかったらしい。


聖水は俺は使う事が出来ない。

それを知れたのは、アリスが俺についてきてくれたからだ。


「クリスもありがとな、クリスが土魔法で天井に土台を作ってくれなきゃ、俺は集中出来なかったよ」


俺達が男を倒した手順はこうだ。


まずはアリスが通路に水魔法で聖水を出す。


そしてクリスが土魔法で天井の壁に土台を作り、俺達全員が乗る。


最後に俺が男が聖水の上に立った瞬間に雷魔法で痺れさせる。


という感じだ。


「さて……」


俺は拘束された男を見る、男は俺達を睨んでいた。


「お前に喋らす気はない、頷くか、首を横に振るかで答えろ」


「んー! んー!!」


「まず1つ、このアジトにいるのは、お前ら3人だけか?」


男は目を逸らす。


答える気は無いってか。


俺は男の前で掌に小さな火の球を出す。


「むっ!?」


「頼むから早めに答えてくれよ、俺らの命がかかってんだ。

答えてくれなきゃ……」


火の球を男の頬に近づけ…


「お前の顔に一生消えない火傷を作らなきゃいけなくなっちまう」


そう言うと男は怯えた顔をして、すぐに顔を横に振った。


「…そうか、3人以上か…じゃあ次の質問だ。

俺達の荷物はどこにある?」


男はすぐに右を向いた、男が歩いてきた方向だ。


「よし、このアジトの部屋の数は? 俺たちのいた牢屋も含めて、1か?」


男は首を振る。


「2か?」


男は首を振る。


「3か?」


男は首を縦に振った。


なるほど、3部屋か。


俺達のいた牢屋と、こいつらの部屋、後は俺達の荷物部屋と考えるのが妥当だろう。


……いや、まだ1つ可能性があったな。


「このアジトに、俺達4人以外に誰か捕らえられているか?」


男は首を振った。


「よし分かった、ありがとな」


「ルージュ、お前以外と容赦ないな」


「……ちょっと怖かったです」


「ははは……でもあぁしなきゃ教えてくれなかっただろうしな」


まぁ確かに子供から見たら怖かったかもしれないな。


クリスなんか途中からクレアの耳を塞いで俺の方を見ないようにしてたし。


「ま、とにかく荷物の場所は分かった。

とりあえず先に荷物を取りに行こう」


「あぁ」


「はい」


俺達は男が来た方向へと歩き出した。


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