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10話 「ルージュの成長」

「あはは……負けちゃったよ」


ディノスとの試合の後、セレナはフローラに治癒魔法の回復ヒールをかけてもらい、多少は元気になったので今は俺と話している。


ちなみにディノスは今フローラに回復をかけてもらっている、どうやらディノスは治癒魔法を使えないらしい。


「いや、凄かったぞセレナ」


「んー…やっぱり私剣術向いてないのかな…」


「それは剣魔学園で学べばいいよ、まだまだ時間はあるんだ、大丈夫だろ」


「うん、ルージュはなんか……大人だね」


「ははは……」


そりゃ中身は16歳だしな。


いや、もう精神年齢は30こえてるのか…


「あ、ディノスさん治癒終わったらしいよ!」


ディノスの方を見るともう立ち上がり準備体操をしていた。


「いよいよか…」


オリジナル技と中級魔法を手に入れたからといって、決して油断はできない相手だ。


「うん、頑張ってね!」


「おう、すげー戦い方見せてやるよ!」


俺は笑顔で言う。


「なんか今のルージュは子供っぽかった」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、準備は出来たかルージュよ」


「あぁ、今日こそは絶対に勝つよ、父さん」


「はっは、楽しみだ」


俺たちはお互いに数歩下がり、剣を構える。


俺は直ぐに魔術を使えるように集中しておく。


「では、始め!」


始まった瞬間、俺は左手を後ろに向ける。


「行くぜ父さん!突風ウィンド!」


先程覚えた魔力を溜めるということを意識し、魔力を溜めて一気に風を放つ。

すると俺の身体は今までよりも早く前に進んだ。


「はああっ!」


俺はディノスに思いきり剣を振り下ろす、筋トレもしてきたので多少は剣術の威力も上がっているはずだ。


「ほう……なかなか速いな、だが…まだ力が弱い!」


俺の剣はディノスの剣によって弾かれ、俺は後ろに飛ばされる。


「一歩も動かずに対処かよ…!」


「まだまだ筋肉が足りんなルージュよ、速くてもそれでは意味がないぞ。

ちょっと驚いたがな」


「なら次だ、力を使わない剣術ってのを見せてやるよ!」


俺は剣に炎を纏わせる、そして剣を持つ右手に魔力を溜める。


「よし……炎斬えんざん!」


それを思いきり振り下ろす、すると炎の斬撃がディノスの方へ飛んで行った。


「なっ…! くそっ!」


ディノスは斬撃を横に飛んで回避する。


俺はディノスが回避した方向に全速力で向かう。


「おらぁっ!」


俺の剣をディノスは自分の剣で防ぎ、つばぜり合いになる。


このままでは筋力の低い俺が圧倒底に不利だ、だから至近距離で撃たせてもらおう。


「炎…」


「…っ!」


ディノスは察したのか素早く後ろに飛ぶ。


だがなディノスよ、直線でしかもこの距離ではこれは避けられないぞ。


「斬っ!」


もう一度同じ斬撃を放つ、ディノスは斬撃を自分の剣で受け止めたが、そんなもので止まるほどこの斬撃の威力は低くない。


「くっ…! 」


やがてディノスは俺の斬撃の威力に負け、ディノスに炎の斬撃が当たり、爆発する。


「……」


煙のせいでディノスは見えないが、常に警戒しておく、あれでディノスが負けるわけがない。


自分の斬撃が弱いと言いたいわけではない、むしろ自分でもあれは強いと思う。


だが、なぜか俺にはあれでディノスが負ける事はないという確信があった。


「……竜巻サイクロン!」


その声と風魔法によって、煙が一瞬でかき消される。


そして風魔法の中心には1人の人物が立っている、ディノスだ。


「結構威力は高めのはずだったと思うんだけど」


「…あぁ、おかげでボロボロだ。 まさかあんな技を使うとはな」


よく見れば確かにディノスの服はボロボロだった。


服だけでなく、ディノスにもダメージが入っていれば完璧なんだが、それは俺には分からない。


「行くぞ、ルージュ」


ディノスの雰囲気が変わった。


「と、父さん? ……あれっ!?」


遠くにいたディノスの姿が一瞬で消えた。


俺は辺りをキョロキョロしてディノスを探す。


「ルージュ、後ろだ」


「ぐっ…!」


俺は後ろから思いきり横腹を斬られる、そのまま飛ばされ、俺は地面を転がる。


「…あ…あぐ…! 」


横腹に激痛がはしる、木剣で思いきり斬られれば当然だろう。


「どうしたルージュよ、もう終わりか?」


「くっ…そ…! 火球ファイアーボール!」


「…ふんっ!」


火球はディノスに斬られ、消滅する。


どうするどうする……? どうすればいいんだ……?


何をすれば…どんな事をすればディノスに勝てる……?


初級魔法は全て通じない、それはセレナな戦いをみて明らかになった。


魔法が使えないなら剣はどうだ? いやダメだ、剣術だけでディノスに勝てるわけがない。


剣術と魔法を合わせた飛ぶ斬撃もディノスには通じない。


まずはとりあえず距離を取らなければいけない。


「突風!」


「っ!」


突風によってディノスを後ろへ飛ばし、距離を取る。


どうすればいいんだ……考えろ、何かいいアイデアは……


「…よし」


案が浮かんだ。

一か八かだが、やってみる価値はあるだろう。


そのためにまずは、先にやる事がある。


「水球!」


水球を出すが、これはもちろん避けられる。


だが俺はそんなのは御構い無しに水球を撃ちまくる。


10発くらい撃ち終え、ディノスの周りには水溜りが出来る。


「なんだ? また痺れさせる作戦か?」


「どうだろうな。突風!」


俺は地面に突風を撃ち、砂埃を作り、自分は上に飛び上がる。


そしてディノスから俺を見えなくする。


俺は空中に火の球を10個作る。


隕石雨メテオレイン!」


そしてディノスに向かって隕石雨を撃つ、それによって砂埃は消える。


「また厄介な魔法を使いやがって……」


ディノスはそう言いながらも冷静に隕石雨を回避していく。


まぁ回避されるのは想定内だったが、ちょっと凹むな。


「まだまだ行くぞ! 隕石雨!」


俺は空中にいる間に撃てるだけ隕石雨を撃つ。


合計で30発くらいだろうか、そのくらい撃った所で、俺は地面に降りる。


そしてすぐさま俺はディノスに土魔法の石弾を撃つ。


「おっと…」


ディノスは石弾を避け、水溜りの方へ行く。


俺は頭上に光の矢を作る。


「光矢!」


光の矢はディノスの方へ飛んでいく。


ディノスは足を水溜りに入れたまま光の矢を回避する。


「おっと……足が」


「今だっ!!」


ディノスの下には水溜りがある、土に水が混じれば、それは泥になる。


泥に足を突っ込めば足を取られて上手く移動出来なくなる。


今のディノスのように……


俺はまた後ろに突風を撃ち、今出せる限界の速度でディノスの方へ飛ぶ。


「なっ!?」


「くらええぇっ!」


俺はディノスの顔へ剣を振るう、もちろん剣には炎を纏わせている。


正真正銘今俺が出来る最高の作戦のはずだ、ディノスも上手く動けないはず。



勝った。


俺がそう思った瞬間、ディノスが取った行動により、それが希望から絶望に変わる。


「……え…?」


なんとディノスは俺の剣を片手で受け止めていた、剣を使わずにだ。


「いい作戦だったぞルージュ。 突風ウィンド!」


「ぐあっ!?」


俺の腹に突風が撃たれ、その突風によって俺は後ろに飛ばされる。


そのまま地面を数回転がり、ようやく止まる。


「……くそ………つ、次は……火球!

あ、あれ? 」


おかしい。


手から出るはずの火球が出ないのだ。


見れば剣に纏わせた炎も消えていた。


だがそんな事よりも分からないことがある。


身体が動かないのだ。


「な、なんで…、なんで動けないんだよ!」


「あー……そりゃ単純に魔力切れだな、まぁあんな使い方してたら当たり前だわな。

むしろここまでよく切れなかったな」


「魔力……切れ?」


「あぁ、魔力が切れるとうまく動けなくなるんだよ」


あぁ…フローラに聞いたやつか。


まさかここまで酷いとは思わなかった。


そして俺が動けないということは……


「この勝負、ディノスの勝ち!」


俺の負けだ。


俺は一度も、ディノスに勝つことはできなかった。


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