1始まりの契約
窓から差し込む橙色の光が、彼女の顔に光と影を作りまるで今見えてるものが私の全てじゃないのと物語ってるようだった
「今日からーーー…します」
予想外の言葉が彼女の口から聴こえた、
僕はボーっとしてその言葉を理解できないでいる
教室には二人だけ、
この空間だけまるで時を止める魔法にかけられたかのように静かで長い沈黙が続いた
「もう一度言います…
沈黙を裂くのは彼女の言葉
「貴方を私の眷属にします」
「…えっ?」
僕はそう聞き返すことしかできない、言葉の意味は分かってるただ彼女から発せられる“眷属”が余りにも不釣り合いで場違いで自分の聞き間違いと思いたかったから
「何度も言わせないで」
長い黒髪を耳に掛け
掛けてるメガネの位置クイっと戻し
冷たい目で彼女はこちらを見る
「えーと…“契約”ってことだよね…?」
「無理なら別にいいの…ただ貴方を欲しいと思っただけだから」
欲しい!?なぜ!?
ますます分からない
そして時間がまた止まってしまった
なぜこうなってしまったのか、
まずはこの経緯からなのだが
時間がかなりさかのぼり
この学園に入る前から話は戻る…
〜シュバレツヤの世界〜
目の前には大きな中世ヨーロッパ調の大きなお城がそびえている
その城の中庭はすごく手入れが行き届いておりその庭を小鳥やリスたちが遊んでいた
城の周りには甲冑を着た警備兵が巡回行っている
少し離れた所から馬車の音がこちらに向かって聴こえてくる
馬車は城の城門の前に止まった
「お帰りなさいませ!」
城門の兵士が馬車に向かって敬礼をし挨拶をした
馬車からは先に若い騎士と女の騎士が降りてきて、若い騎士は馬車の入り口に跪き
中から降りてくる煌びやかな女性に手を伸ばしエスコートした
「ふぅー、長旅だったわ
疲れちゃった…ふかふかのベッドに今すぐ飛び込みたいわ!」
薄いピンク色のロングヘア瞳は金色、凄く上品なドレスを着きてるこの煌びやかな15歳くらいのこの娘はこの城主人の娘サクラ姫
僕とは結構昔からの付き合いだ
そして姫の駄々を捏ねる仕草を見て御付きの女騎士が言う
「姫様もうお年頃なんですから子供っぽい事をなさらないでくださいませ」
「えーだってつまらなかったんだもん!」
頬を膨らませ姫は言う
この女騎士ハヅキとは冗談も言い合える仲なのだ
ハヅキは黒髪ロングで毛先にゆる巻きが入っていて瞳の色は朱、年齢は19歳くらいだろう
髪色とは対照的に純白の白い鎧を纏っている
僕の師匠にしてこの城一の最強の騎士だ
魔法も使えるらしい
「いつもハヅキは厳しくて耳が痛くなるわ!ジキルもそう思うでしょう!?」
姫は若い騎士に上目遣いで問いた
僕はジキル、サクラ姫とハヅキ師匠の推薦で最近騎士になったばかりの見習い騎士
年齢16でコバルト色の瞳、銀色の髪色でショートヘア若干前髪が目に掛かってるけどね…
「いやー、僕はどっちともー、ははは…」
姫様僕にふらいないで下さい!
師匠の肩を持てばサクラ姫に嫌われるしっ
サクラ姫の肩を持てば師匠に斬殺されるしっ
まさに前門の虎、後門の狼!
「相変わらず女々しいなお前はもっとはっきりものを言え!」
どっちみち師匠には怒られる…泣ける
「ハヅキ!ジキルをいじめないでよっ!!こんなに可愛いんだからっ」
サクラ姫は抱きつきながら言ってくる
困った…
「今日は移動長かったですしねー、仕方ないです(笑)」
「だよねー!さすがジキル私の見込んだ騎士だっ!」
姫は僕の頬にキスをした
「と、とりあえず王様に報告しに行きましょう…っ」
ジキルは抱きつく姫様を剥がしながら言う
そして殺気を感じる
「おいジキル報告終わったら稽古場な…みっちりしごいてあげる」
「師匠…」
涙目
前門の虎にハグされ、後門の狼にしごかれる…
そんなやり取りをしながら僕達一同は王の間へ向かった
〜王の間〜
目の前には赤い模様と金の縁で作られた大きな扉がある
横にいる兵士に今回の調査報告と姫の婚約相手とのお茶会護衛の報告のむねを伝え開けてもらう
ギギギ…
豪華な扉を開けて王の間の中が開けた
サクラ姫すぐさま王様のそばに駆け寄ってハグをした
「お父様ただいまっー!!会いたかったですわ!!」
「フォフォフォ…ワシも会いたかったぞ愛娘よ…」
王様と姫様はニコニコしながら会話をされている
「さぁ私達も行くぞ」
そうハヅキ師匠は言って王の間に入っていく
僕もそのあとをついて行った
王の間の上にはかなりのデカさのシャンデリアがあり、横の窓のカーテンは赤い布地で端々に金の装飾がりとても豪華で煌びやかな印象を与えた
レッドカーペットの真ん中辺りで師匠跪いた僕も師匠に合わせて跪く
「王様!ハヅキ=レイフィールド並びに部下のジキル、サクラ姫の護衛及び暗闇の森の調査終え帰還致しました!!」
師匠は力強く、そしてハキハキと王様に任務完了報告した
「フォフォフォ、ハヅキそしてジキル共に誠にご苦労であった…おもてを上げよ」
下ろしていた顔を上げ王様の方を見る
王様は白い髪に白い髭で赤と金、白の誇張とした色合いの服を着ていた
それと黄金の王冠赤い羽織ものを纏い左手に宝石を散りばめた杖を左手に持ち玉座に座っていた
覇気と威厳があり金色の瞳がまるで僕の心を全て見透かしているようだった
「で、婿候補はどうじゃった?」
「才色兼備で18歳にして既に軍事にも参加しーー…
「お父様あのお方は全然ダメです!!!自慢話し多いしうるさいし口臭いしエスコートしないし他の女性に目が泳ぐし口臭いしっ!私は絶対嫌です!!」
師匠の話を途中で遮り婚約候補の悪口罵倒ツラツラと述べた
口臭い二回も言ったって事は相当だったんだろうなー
「フォフォフォ…そうかそうかそれは誠に残念じゃったのぅ
次はもっといい相手を見つけてやろう!」
王様は高笑いをして言った
「あのね…私…心に決めた人が居るんです…だから」
サクラ姫は僕の方をチラチラ見ながら顔を赤くして言った
なんでだろ?
「…グフっ!」
なぜか師匠の肘が飛んできてみぞうちに入る
なんで師匠…
「フォフォフォワシは余計なお世話をしていたようじゃな、今度連れてきて参れサクラ姫よ」
王様は何かを悟ったかのようにサクラ姫に深く頷いてみせた
「ところでーー…
流れを切って悪そうに師匠が口を開いた
「…なんじゃ?」
「例の暗闇の森の件についてです…