1話 全ての始まりの日
カメラとの出会いはいつからか。そんな事を考えながら玉折賢は電車に乗っていた
「よお、賢元気か?」
思えば、あれからもう5年も立ったのか…。
考えこみ過ぎていたのか。岸本に声をかけられたことにも賢は気づかなかった。
(岸本はついてこないと言ったはずなのになんでいるんだ?)
不思議に思い、岸本に訊ねることにした。
「お前なんでいるんだ?」
その言葉を聞いた岸本は満面の笑みで答えた。
「賢がいなくなると寂しいからに決まっているだろ!」
平然と気色の悪い台詞を言う岸本。だからこう言ってやった。
「お前も兄と一緒であれなのか?」。
「ちげぇーよ!そんなわけないだろう!」
賢の言葉を聞いた岸本は顔を赤くして全力で否定して来たのであった
それでも賢の詮索は続く。
「なるほど、それなら白井コウみたいなタイプか?」
賢は岸本を芸能人に例えることにした。
(これなら岸本も否定出来ないだろう)
そう言う見方をしたからだ。そして岸本のほうを見ると。
「ちげぇーよ!」
「本当はちょっと田舎にでも行こうかと思っただけだよ!」
岸本がついに理由を吐いた。それで賢は岸本に田舎の事についてきくことにした。
「なんで田舎に行こうと思ったんだ?」
すると岸本は真剣な顔して話してきた。
「俺の家に実はシロアリがいて」
「そのシロアリが俺の家を食べた夢を見たからだよ!」
(岸本の言うことはわかっていたけどこれは傑作過ぎる)
笑いながら岸本のことをみた。そしてこう言ってやった。
「もしかしてそのシロアリが岸本じゃないのか?」
そう言うと岸本はうなずいて賢のことを見た。
「じゃあな、ここで俺は降りる。」
長々と話しをしていると岸本が降りると言った。岸本を見送り別れを告げる。
「じゃあな、岸本」
岸本を見送ったあとに、賢は持ってきたカメラのことを思い出す。
それで風景でも撮ろうと思っていたその時だ―
「助けて…」
誰かが助けを求めている声がする。その声のする方向に行ったが誰もいない。
「次は~九重島神北町終点となります。」
知らない間に電車は神北町のすぐ近くにいた。
―そろそろ神北町に着くのか、これであの母親ともお別れか…。
ふと昨日まで一緒に住んでいた母親のことを賢は思い出す。
「バーン!」
突然、電車が何かにぶっかった音がした、その瞬間に電車は急停止してしまった。
それを窓から見ていた賢は不安になってしまった。
賢が不安そうに窓を見ていると、傍を通りかかった人が声をかけくる。
「キミが賢さんですか?」
賢はその声の主のほうを見る。するとその声の主は以外にも女性だった。
(声をかけられたことも吃驚したが。なんで僕の名前を知っているんだ?)
そう思い、賢はその女性に訊ねることにした。
「どうして僕のことを知っているんですか?」
「賢さんのことは祖父から聞きました」
その女性は微笑んで賢のことを見た。
「それにこのままだと一日もまたないといけませんよ?」
―その女性は僕のことを思って声をかけてくれたのか。
賢はそう考えることにした。
「だから賢さん、私がお送りします。」
その言葉を聞いた賢は、さすがにそれはわるいと思い遠慮することにしたのだが…。
「賢さん遠慮しなくてもいいよ」
女性は微笑みながら僕に言った。賢はうなずいてヘリに乗ることにした。
駅を出て、ヘリが何処に止めてあるのか気になったので女性にきくことにした、
「ヘリはどこにあるんですか?」
ヘリのことについて賢がきくと女性は駅の近くにあるショピングセンターを指差した。
どうやらそこにヘリを止めているらしい。そのヘリに乗り賢は女性に神北町まで送ってもらった。
神北町を歩いていると賢は目的地につく。
(ここか…父親の実家は…)
そう考えて賢は玄関の扉を開ける。
玄関につくと賢の父方の祖父が首を長くして待っていた。
「賢君、よう来たのう」
じっちゃんに声をかけられた。賢はじっちゃんの方をみて挨拶をする。
「よぉ!じっちゃん」
賢の声を聞いたじっちゃんは嬉しそうな顔をしていた。
「そうだ、忘れておった、部屋に案内をしなければいけなかったのう」
そのあとにじっちゃんが部屋に案内をしてくれる。その途中であの女性とすれ違う。
それを見たじっちゃんは賢にその女性のことを説明してくれた。
「この人は賢君の生き別れの妹さんで、名前を芹澤夏帆と言う。」
じっちゃんが説明すると、夏帆さんは丁寧にお辞儀をして挨拶をする。
「芹澤夏帆と言います。宜しくお願いします。」
(もともと、一人っ子の僕に妹なんかいたか?)
賢は不思議な気持ちになってしまった。夏帆さんの自己紹介が終わり。ようやく賢は部屋に入る。
この部屋は六畳で何の変わりもない部屋だが、この屋根裏が以上にも圧倒している。
それを見た賢はその屋根裏のことがすごく気になってしまう。
―この屋根裏には入ったらいかん、なにがなんでも絶対にじゃ
じっちゃんに言われた言葉を賢は思い出す。それでも諦める事が出来ないので
夜中二人が寝静まった頃に入ることにした。
「賢さん、いいですか?少しお話がしたいんですけど…。」
賢がそのことを考えていると。知らない間に賢の部屋に夏帆さんが来ていた。
「なんですか?」
それに賢は答える。
「初めてあったので少しお話しでもしようかと思いまして。」
「賢さんのことも色々と知りたいので。」
夏帆さんは、輝いた目で賢のことを見ていた。
…そう言えば、夏帆さんと会うのも初めてだし、ここは良い機会か…。
「僕は、碧奏学園と言う音楽専門の学校に通っていたんだけど。」
「家の思想に合わず。親に田舎に行けと言われて来たんですよ…。」
賢は悲しそうな顔をした。
「これはなんですか?」
夏帆さんは賢の持ってきていたカメラのことが気になっていた。
「これはカメラです。僕の趣味でこれで風景を取っています。」
「前の学校ではずっと肩身はなさず、持ち歩いていました。」
「なるほど」
夏帆さんはうなずいた。長々と話しをしていると夕食時になっていた。
夏帆さんは学校のことについて賢に訊いてきた。
「賢くんは明日から木ノ宮学園に通うの?」
嬉しそうな顔で答える。
「はい!」
それからじっちゃんと夏帆さんにここに来た理由を伝えることにした。
「僕は親に家を追い出されて、ここに来たんです」
理由を聞くとじっちゃんと夏帆さんは賢のことを慰めてくれた。
夕食が終わり賢は部屋に戻る。そして二人が寝静まった頃に屋根裏に入ることにした。
そしてその時間が来る。賢は緊張しながら屋根裏に上り中を見ることにした。
思ったよりは静かな場所で何も変わったところがないが…。
奥に進んでみると一つのカメラのフィルムを見つける。
それを確認して屋根裏から出ようとした時だ―
突然辺りが公明する。
(何が起こっているんだ?このままだと二人が起きてしまって怒られてしまう)
賢は不安な気持ちでいっぱいだった。急いで屋根裏から出ようとしたが…。
どう足掻こうと、屋根裏から出られない
それも賢が持っているカメラに反応しているように見える。
そして朝が来る―
深夜のことが何も無かったように賢はベッドでぐっすり寝ていた。
「お早う!賢」
誰かが賢のことを起こしに来たようだった。
(たぶん夏帆さんだろ、まだ6時なのにもう起こしにきたのか…)
そう思い、寝ぼけながらその声のしたほうを見た。それから寝返りをうった。
その瞬間、誰かの感触がした。
(夏帆さんかな?それでも何で僕のベッドで添寝しているんだ?)
賢はその人のことを見た。するとその人はパールホワイトの髪の少女だった。
(なんで知らない少女が僕のベッドで寝ているんだ?)
不思議に思ってしまう。それで賢は寝ている少女には声をかけることにした。
「なんで僕の部屋にいるんだ?もしかしてスパイか?」
賢が訊くと少女は寝ぼけながらこう言った。
「…失礼ね…たまたまよ!…」
少女はそう言うと、突然起き上がり。
「そうだったわ。写真よ!」
突然意味不明なことを言った
(流石に名前がわからなければ、どこの誰だかわかんないな)
そう思い賢はその少女に名前を訊くことにした。
「そう言えば、お前の名前なんて言うんだ?」
賢が訊くと、少女は何かを考えているようだった。
「…神北…神北…神北…」
3回も同じことを言った。
(神北と言えば神北町のことか?それが名前とは傑作だな)
そう思い。賢は馬鹿にするように言った。
「面白い名前だな、九重島神北町がお前の名前か?」
「検察官みたいな名前の人に言われたくないですよ!」
少女は賢にそのまま言葉を返した。賢は少女の言った言葉の意味を考える。
(わざわざ、僕のトラウマをこいつは探したのか…)
考えていると無性に腹が立ったから、少女を殴る。
「あ…窓の向こうにUFOが見えますよ!」
少女がそう言ったから賢は気になって窓を見てしまう。
「ふっふっふ♪」 こんしん
少女は鼻歌を歌いながら近づいてくる。そして賢はその少女の渾身の一撃を食らってしまったのだった。
しばらくすると―目が覚める。すごく痛かったのかまだ頭が腫れていた。
少女はと言うと横でずっと笑っていた。
(ことごとく、ムカつくヤツだな)
少女を見た賢はいらいらした。その時、他の部屋から夏帆さんの声がした。
「賢くん、起きている?」
その声は次第に近づいてくる。
(このままだと、夏帆さんに勘違いされてしまう!)
危険を察知した賢は少女を隠すことにしたが…。一足遅かったのか
「キュッ!」
ドアが開いた瞬間。夏帆さんが部屋に入ってきた。
「おはよー。あれ?賢くんがもう一人?」
夏帆さんは寝ぼけていたのか。賢がもう一人いるように見えたようだ。
「ふぅ…」
賢は溜息をついた。その3分後、再び廊下で声がした。その声は次第に近づいてきて。
「賢君、起きているかのう」
その声はじっちゃんの声だった。そして隣を見るなりじっちゃんはこう言った。
「賢君が増えているのう」
二人とも同じ反応をする。
(だから僕は増加なんかしないから!)
そう思い。二人に訊くことにした。
「僕ではなくて、ここに少女がいるだろ?」
二人に訊くとようやくわかったのか。
「賢くんの彼女?」
夏帆さんがそう言ってきた。じっちゃんはというと耳を塞いでいた。
とりあえず二人にはあとで理由を説明することにした。
その少女はというとつぶらな瞳で賢のことを見ていた。
「そろそろ学校に行かないと遅れるよ。賢くん。」
夏帆さんに言われる。少女は何か言いたげそうな顔していたが
賢は無視をして学校に行くことにした。
夏帆さんが貸してくれた自転車で学校まで行く。自転車をこいでいる途中に
茶髪の髪をしたヤツに声をかけられる。
「よお。お前も岸本LOVEなのか?」
そいつは突然意味不明なことを言ってきた。
(こういうヤツと一緒にいたら毎日が楽しいだろ)
賢はそう考え、こいつと一緒に学校に行くことにした。
そして学校についた。この日が転校初日で緊張もしていたが…。教室に入る。
卓に立って自己紹介をする。
「瀬嶋賢です。趣味はカメラです宜しくお願いします。」
自己紹介を終えたあと、クラスメイトが声をかけてくる。
「賢くんはカメラが好きなんだ?」
聞き覚えがある声だった。声がしたほうを見てみると夏帆さんだった。
(そう言えばあの少女大丈夫か?今頃どうしてるんだろう…?)
賢はふと少女のことを思い出す。
「よお、瀬嶋」
例のヤツが声をかけてきた。
とりあえず、賢はヤツの言っている岸本Loveについて訊ねることにした。
「そういや岸本LOVEってなんなんだ?」
そいつに訊ねると。
「俺様の魅力に負けてしまった哀れな人間の言葉さ!」
あざわらい
そいつは満面の笑みで宣言した。賢はそいつのことを見て嘲笑いした。
話しが終わると賢は廊下をうろつくことにした。丁度休み時間だからだ。
気分転換に廊下をうろついていると一人の生徒に声をかけられる。
「キミ!そろそろ教室に入ったほうがいいよ。」
その生徒は賢を差別したような目で見て注意をした。
(なんでこいつに注意されないといけないんだよ!)
苛立ちながら教室に戻る。教室に戻るとヤツが声をかけてきた。
「よお!瀬嶋!」
「そういや、俺様の弟を知っているか?」
弟がいるとしたら…。
(岸本ぐらいしか思いつかないのだが…。)
賢は一日前の岸本のことを思い出す。
「もしかして岸本の兄貴か?」
そいつに答えてやると、ヤツはピースをした。
「そう、俺様は岸本佑二。岸本の兄貴だぜ!」
賢は驚いてしまった。
(まさか本当にあいつに兄貴がいるとは…)
賢の予想は的中していたのであった。そして今日は主に佑二と話して一日が終わった。
疲れていたのか。家に帰ると夕食を食べてからベッドに入って10分で眠りについた。
起きた頃には小鳥のさえずりがしていた。
「朝になったのか!」
あまりにも早く寝てしまった自分に賢はビックリした。
賢は今朝の少女のことが気になった。部屋を探し回るがいない。
(家にでも帰ったのか…)
そう思い学校に行くことにした。学校につくと何やら騒がしい。ことの発端はあの少女だった。
「神北、席に座りなさい!」
先生が少女の名前を呼ぶ。それを聞いた少女は諦めて席についたようだ。
気になったので賢は神北に声をかけようとしたが…。
「そういやあなた写真部作らない?」
向こうから声をかけてきた。
唐突だったので何を言っているのかわからなかったが。一応返事をすることにした。
「彩、どうして写真部なんだ?」
思わず口走ってしまっていた。
(彩と言えば、昔の幼馴染の名前だ。)
ちょうどそのことを考えていた時に神北のことを呼んだから混ざってしまったのだ。
神北はその名前を聞いた途端に喜んで僕のほうをみた。
「神北彩か…うん、いい名前!」
どうやら彩はその名前を気に入ったようだった。そのあとに彩は感涙の涙を流した。
「わたし名前がないんですよ…。」
その言葉に賢は同情してしまった。
「写真部作りませんか?部員募集ちゅうですよ!」
彩は自身満々な顔で言った。そこで賢は考えた。
(それでも、まだ転校して二日たっただけだし、クラブ作るのは早くないか?)
そう思い、彩に部活のことを諦めさせることにした。
「ちょっと待て!まだそれは早くないか?」
彩に向かって言うと。彩は悲しそうな顔をして走り去ってしまった。
(やっぱり傷つけてしまったのか…どうすればいいんだろ?)
賢の心は罪悪感で満ちていた。佑二でも探すか…。
とりあえず賢は教室から出ることにした。廊下を歩いているとギターを持って暴れている変なヤツに会う。
「瀬嶋か!ちょうどいいところに来た!手伝ってくれよ!」
誰かの声がした気もするが賢は素通りすることにした。教室に戻ろうとした時
また変なヤツに賢は声をかけられる。
「ひどいじゃないかよ!無視するなよ!」
顔を見てみるとやっぱり岸本佑二だった。
「俺様が軽音部に入ろうとしたら断られたんだよ!なんでだ?」
佑二は賢に訴えかけてきた。とりあえず賢は佑二を慰めることにした。
「そいつは岸本LOVEだったからじゃないのか?」
その言葉を聞いた瞬間、佑二の表情はコロっと変わる。
「そうか!なるほど。反逆者だったんだな!」
佑二は嬉しそうに話す。
(それにしても、わかりやすいヤツだな、オチョクリがいがあるな)
賢は心の中でそう思った。そろそろ教室に戻らないと。
「それじゃーな佑二!」
佑二に別れを告げ、賢は教室に戻る。賢が席につくと彩はどうやら教室に戻ってきていたようだった。
次の授業の予定を見る。その授業は英語のグラマーだった。その授業になるとすごく眠くなってしまう。
ダルそうに授業を聞いていると、彩が紙を回してきた。
「えっと…写真部のことだけど。」
その紙にはそう書かれてあった。眠たいけど無視することも出来ないので賢も紙を回すことにした。
「それがどうした」
そう書いて賢は彩に紙を回す。
「今日の放課後、空き教室に集合ですよ!」
彩に紙を回すとそう書かれてあった。そこで賢も紙を回す。
「なんで集合しないといけないんだ?」
賢が紙を回すと、彩はどこに隠し持っていたのか分からないがメガホンを取り出した。
「今日の放課後、空き教室で写真部活動がありますよ!」
教室にメガホンの音が鳴り響く。それを聞いた英語の教師は僕と彩を教室から追い出した。
「お前のせいで追い出されてしまっただろ!」
「どうしてくれるんだよ!」
僕は彩に怒鳴る。彩はというと泣きながら僕に訴えかけた。
「それはわたしの夢だからです!」
その言葉を聞いて僕は不思議に思う。
「夢とは…」
僕が言葉の意味を訊こうとした時だ。誰かの足音が聞こえる。その足音は次第に大きくなっていく。
ふと後ろを向くと『学生会執行部』と書かれた札をつけている生徒に出会う。
「葛坂だ!問題があるため、生徒指導室に連行する。」
そいつが言うと、僕と彩は生徒指導質に連行された。オマケに反省文まで書かされる。
(ついてないな。こんなだるい時に…)
賢は心の中でそう思った。ふと横を見ると佑二がいた。
「こんな時に限ってついてないな」
佑二はダルそうに呟いていた。その葛坂とか言う輩は一服をしていた。
そいつを殴りたい気持ちだったが、そんなことをすると謹慎になってしまう。
その思いを賢はぐっと堪える。
その反省文が書き終わったのは放課後だった。
(賢と彩と未確認生命物体はようやく生徒指導室から解放される。)
「ちょっと待て!賢!未確認生命物体って誰のことだよ!」
佑二はまるで賢の心をよんだかのように訊ねてきた。めんどうなので無視をすることにした
「わたしは先に空き教室に行ってきますね!」
彩はそのことを賢に告げてから生徒指導室をあとにする。
とりあえず賢は生命物体と軽音楽部に行くことにした
中に入ってみると練習が始まっていた、その光景を佑二は目に焼き付けるように見ていた
その練習を賢が見ていると一人変なヤツがいた。そいつはギターなのだが…。
全然合わしている気配もなく、ただ自分で曲を演奏しているように見える。
「瀬名実希!」
ついには顧問に呼び出されていた。賢は気になってその様子を見続けようとしたが…
近くを巡回していた生徒だろうかそいつが賢に注意をしてきた。
「キミ!入部希望者じゃないのに!こんなところにいるのはおかしくないか?」
「速やかにここから立ち去れ!」
例の葛坂氏だった。
(それにしても、ただ見ているだけなのに注意する必要ないだろ!)
賢は苛立った気分になる。ここをあとにして佑二と空き教室に行くことにした。
行ってみると彩は空き教室の前にいた。
「これでは部活が出来ません!」
彩は嘆いていた、賢が空き教室を見てみると『模型部』と札が貼られていた。
そこで空いている教室はないか三人で話し合うことにした。
「他に空いている教室はないのか?彩」
「ないみたいですね…。」
悲しそうな顔していた。その様子を見ていた佑二は何かを思いついたのか。
「旧館の補修室はどうだ?あそこなら誰も使っていないし!」
佑二が言ったあと賢は補足をつける。
「でもあの旧館は奇妙な場所じゃなかったか?」
それを聞いた彩は表情をコロっと変えた。
「その旧館に行きましょう!」
彩は元気よく歩き出す。それに賢と佑二はついていく
旧館に行ってみるとその教室もろとも無くなっていた。
(これは誰かの思惑だろうか…)
変な気持ちになってしまった。それからどこの教室を探しても空き教室はなかった
この日は諦めて家に帰ることにした。賢と彩は家に帰る途中で別れる。
そして家についた。いつものように賢は部屋に行く。
「賢君、リビングにおいで。」
じっちゃんに呼ばれたからリビングに行く。
「ニュース特報です!あの精密機器が何ものかに盗まれました」
「警察も最善を尽くしているのですが。犯人はいまだわかりません。」
賢がリビングに行くとニュースがやっていた。
(それにしても何でこんなことごときで僕を呼んだんだ?)
賢は不思議に思い。じっちゃんに訊ねることにした。
「じっちゃん!このニュースがどうかしたの?」
そのことを賢が訊くとじっちゃんは真剣な顔をして口をひらく。
「これは儂が開発した精密機器なんじゃ。それが盗まれたのは悲しい」
「このことを賢君は、どう思うかのう?」
どうやらじっちゃんは同情をしてほしかったようだった。
じっちゃんの話しが終わると、賢は部屋に戻ることにした。部屋に戻ると様子がおかしかった。
まるで誰かに荒らされていたようだった。
辺りを探し回ると『彩』がいた、賢に気づいた彩は何やら宣言をする。
「今から、この部屋を会議場所にしますよ!」
その言葉を聞いた賢は驚嘆してしまう。
「それはどういう意味だ?」
気になって彩に訊ねた。ふと横を見ると『佑二』がいた。
「文字通りに決まっていますよ!」
彩が説明をする。それに佑二が補足をつける。
「だからな!この部屋はあやぽんの物になったってことだ」
「それはどういうことだ?」
不思議に思い賢は二人に訊ねる。
「ここで写真部の会議をしますよ!」
「まぁ、そう言うことだ。」
彩が言ったあとに佑二が答えた。それを聞いた賢は哀れな気持ちになってしまう。
(何が悲しくて、僕の部屋を貸せないといけないんだよ!)
そして賢は二人のことを見る。
「僕は認めない!勝手に部屋を自分の物にするな!」
「出て行け!」
賢は二人を追い出そうとしたが、佑二にがっしりと肩を組まれた。
「お前が認めるまで、手を離さないからな!」
佑二そう言って手を離さなかった。賢がそうしている間に彩は何かを準備しているようだった。
(めんどうなことになったな…)
賢はそう思った。
「はやく認めろよ!あやぽんが、可哀想じゃないか!」
佑二は手を握っている力を徐々に強めてくる。それでも賢は認めないことにした。
「認めないと!あれをまたお見舞いしますよ!」
彩は虫を殺すかのような顔で賢のことをみた。それを聞いた賢はしかたなく了承することにした。
「まぁいいけど、部屋を荒らすなよ!」
賢の言葉が聞こえないかのように彩は物を運んでいた。佑二はまだ解放してくれない。
「はい、わかりましたよ♪」
しばらく立ってから、彩は嬉しそうな笑みを浮かべる。そしてようやく佑二から解放された。
それで賢は一番気になっていた理由を二人に訊くことにした。
「なんでここでするんだ?」
「ここ以外ないからですよ!」
「他の部室はないからだよ!」
二人が同時に答える。そのあとに彩は賢に日誌帳らしきものを渡した。
「これはなんだ?」
賢は不思議に思い彩に訊くことにした。
「日誌帳ですよ!これに写真部の一年間の活動を書いたものを学生会に提出します。」
彩がそう言った。それを聞いた賢は天を煽る気分になる。
(どうせ、やることがないし…まぁいいか)
賢はそう思いその日誌帳を受け取ることにした。
「それ僕がすることにした。」
「はい!」
賢が言うと、彩は嬉しそうに笑った。そのあと彩が宣言をした。
「ここは今から学生会撲滅の作戦部にもなります!」
いきなりの宣言に賢は驚いてしまった。執行部のヤツは憎らしいので三人で雑談をすることにした。
「たしかに執行部のヤツはウザいな、見返してやりたい。」
「岸本LOVEを否定した奴はゆるさねぇーよ!」
「頑張って学生会を見返してやりましょうよ!」
三人の意見がぴったりとそろう。そしてここを拠点とすることにして寝ることにした。
「それでも木ノ宮学園写真部(仮)ですけど」
彩が言った、その言葉を聞いた賢はうなずいた。
―そして写真部の一年が始まったのであった。
2話 創作する日
「よく考えてみたら…」
「学生会がこのクラブを認めてくれないから。ここにいるんだよな…」
賢は会議中に呟いていた。それを見た彩は何かを思いついたのか口をひらく。
「写真部専用のユニフォームそれを作って学生会に対抗しましょう!」
それを聞いた賢は彩にそのことを訊ねることにした。
「対抗って…。この日誌を提出する意味なくないか?」
「もちろん。実績をあげるためですよ!」
賢が訊くと彩は答えた。
「そんなんで、実績があがるのか?」
佑二が呟いた。それを聞いた賢は同じ気持ちになってしまった。
(そんなものであがったら苦労しないだろ…)
それでも彩のことを思うとほっておけない、賢は複雑な気持ちだった。
「そう言えば、誘いたい人がいるけどいいか?」
賢はふと夏帆のことを思い出した。それを聞いた彩は嬉しそうな顔をした。
「その人もいれて明日ここで集まりましょう!」
彩は宣言して去っていこうとしたが…。戻ってきて賢にこう言った。
「めんどうだから。ここに住むことにしますよ!」
それを聞いた賢は嬉しそうな顔をした。そして今日は寝ることにした。
翌朝のことだ。賢と彩は学校に行く。
教室につくと佑二がいなかった…。
しかもしょっぱなの授業は英語のグラマーだった。またしても鬱陶しいのがきた…。
賢はそう思い寝ることにした。ずっと眠っていると佑二に話しからけれた。
「部室が見つかった。」
それを近くで聞いていた彩は嬉しそうな顔をする。そのあと彩が何やら佑二に紙を回していた。
その光景を見ていた賢にも紙が回ってきた。
「今日の放課後、練習室に集合!」
回ってきた紙にはそう書かれてあった。
「了解」
賢は紙を回す。その時だ―紙を落とした佑二は拾おうとしていたところ自分の鞄に入っていた
ギターのアンプを間違って押してしまった。
「ズ―ン!」
教室に爆音が響きわたる。それを聞いた英語の教師はギロリとした目つきで佑二のことを見た。
(これは謹慎ものだな…)
そう思っても仕方がなかった状況だった。慌てて佑二はその音を消す。
一時間目から災難だった。とりあえず賢は放課後まで寝ることにした。
「起きてください!」
いつの間にか彩に声をかけられていた。賢は寝ぼけながら彩のほうを向いた。
「…どうしたんだ?彩」
「放課後になったので練習室に来てください!」
賢がきくと彩はそのことを告げた。
…まさか、もう放課後になっていたのかよ!
賢はビックリしてしまった。自分の頭を一発殴って練習室に行くことにした。
練習室に行くと彩と佑二ともう一人女の子がいた。
「彼女は瀬名実希さんと言って。部室を提供してくれたんです!」
「瀬名です。よろしくお願いします!」
彩が説明すると実希さんは元気よく挨拶をした。
「ここを写真部活動拠点にしますよ!」
「ここで会議もします!」
「よかったな!瀬嶋!」
「あぁ」
彩が宣言をした。そのあとに佑二が訊いてきたから賢はうなずいた。
「そうと決まれば、賢の家に置いていた備品をこっちに移動させないと!」
「くれぐれも見つからないようにね!」
彩は一度家に戻るみたいだった。実希は忠告をした。
…とりあえず、一回帰るか…。
賢はそう思い家に帰ることにした。
「賢はこの部の中心的人物だから、抜け駆けは許しませんよ!」
彩に止められる。
「一旦帰るだけだよ!」
「それに備品を移動させるって言ったのは彩じゃないのか?」
「そうでしたね!」
彩は納得した。そして賢についていった。部屋につくと備品が数点あった。
「これを運ぶのは骨が折れますね…」
「彩。僕も手伝うから。一緒に運ぼう。」
さすがに一人では無理なので賢は手伝うことにした。何往復もして備品を運ぶ。
ようやく運び終わったのは六時だった。賢はすごく汗をかいていた。
「あやぽん!みちがえったな!」
「そうですねー」
「賢、これで会議が出来ますね!」
「あぁ」
すっかり変わってしまった部屋で3人は会話を交えた。その会話の途中に実希が何かを言いたそうだった。
「あたしも入部していいですか?」