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一話 きらめく水

連載頑張ります!


机の上には昨夜散らかした本が積み重なり、カーテンは閉ざされ、窓はあっても光が部屋に届くことはない。


こんな部屋の(あるじ)は今、突っ伏して夢の世界にいる。


「お嬢様っ、この時間だと朝食に間に合いませんよ。起きてください。」


ドアを勢いよく開け放ち入ってきた使用人に肩を揺らされ、部屋の主人ーーーレンは目を薄っすらと開ける。しかし、その瞼は重力に逆らえないとも言わんばかりにすぐに降ろされる。


「もうっ、目を閉じないでください。奥様からこの間の様にスプーンを投げられてもよろしいのですか?」


使用人の言葉にレンはその日のことを思い出したのかバっと効果音が付きそうなほどの速さで使用人の前に立つ。


「、、、っ、いきなり立ったからクラクラする〜。」


おぼつかない足元のまま着替えを済ませ、食堂へ向かう。


騒がしいようではあるが、これがここ『ヴァレンティア家』の日常だ。


***


「それで、、今日も朝食に遅れた理由は?、、レン?」


笑っている様に見えて冷ややかな声でレンの母であるスノウは問う。


「それは、、、うーんと、、。」


目をスノウから逸らしながら言い訳を探すレンに横からやじが飛ぶ。


「どうせまた術で遊んで夜更かししてただけでしょ。」


ヴァレンティア家の長女のノアールは呆れ顔でステーキを口に運びながらレンを捲し立てることをやめない。


「こらこら、そこまでにしなさい。レンが朝ごはんを食べ損ねてしまうだろう?」


ひと足先に朝食を食べ終えた父レインがノアールをたしなめつつ、席を立つ。


「もー、いつもレンばっかり庇うのやめて。ほんと!」


恨めしいといった表情でレインを睨む。


「くどいわよノア。レインは仕事があるんだからもう行って。」


初めに言い出したスノウもしつこいノアールをたしなめて、レインを送り出そうとする。


レインが部屋をさった後、騒がしい様子を高みの見物の様に静観していた次女のカノンが、そういえばといった顔で


「最近、商会忙しそうだね。あそこまでお父さんが忙しそうにしてるの初めてかも。」


と、近頃忙殺ぼうさつされている商会の様子について言及する。


「そうね。取引が重なっているのよ。大したことではないわ。」


カノンの言葉で心配そうな表情になった子供達を安心させるように言う。


「そうだといいけどね〜。」


安心する姉二人とは対照的にレンは何か起きそうな予感がすると告げる。


「変なこと言わない。本当に起きるかもしれないから。」


次期商会長であるノアールは問題ごとが起きるのを嫌う。


子供たちが言い合っているのをよそに食事を終えたスノウが扉の前でレンに明日の朝、商会の執務室に来るように伝える。


「了解〜。」


絶対、なんかあるでしょ。イヤな予感。


言葉では了承したもののレンは胸騒ぎがすると思っていた。


***


朝食後の庭でレンは一人芝生に寝転んでいた。その体の上には拳ひとつ分の丸い水が浮いている。


「いや〜上手くいかないもんだな〜。意外と、、簡単だと思ったのに。」


レンは水の中にきらめくオーロラを作ろうとしている。これは一週間ほど前からレンの思いつきで行っている術を使ったお遊びだ。


「お嬢様、そんな役に立たなさそうな術を習得してどうするんですか?」


朝、部屋に起こしに来た使用人リラが全く理解できないという表情をする。


「どうするって、、面白いじゃん。」


レンの回答でますますわからないといった表情になるのであった。





次は一応人物紹介です。ヴァレンティア家と関係者だけですが、、、読まなくても大丈夫ですが、外見の特徴なども書いてあるので想像しやすくなると思います。

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