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小さな体に大きな心!


〜四方を海に囲まれた島"パンタイ島"〜


温暖な気候で心地よい風が吹いている。

天気は快晴、海の魚も森の動物もここではゆったりとした性格だ。


1人の少年が森の中を大きな足音をたてて走っている。


[ドタドタドタッ!!]

少年「はぁ…はぁ…あと100周!」


少年は日課のランニングで島の外周を走り回っていた!


〜陽が沈み夕方〜


島の真ん中にある池のほとりに小さな古屋がある

そこに少年は住んでいるのだ。


少年「婆ちゃん!ただいまっ!!」


・・・返事はない。


少年「また、地下室かな?」


少年が地下室の扉を開ける。


少年「婆ちゃん…?」


婆「おぉ、何じゃ"エイタ"か今日も島中を走り回っておったのかい…?」


エイタ「そうだよ!やる事が無くて暇だからね…体動かさなきゃ!」


少年の名前はエイタ、パッチリとした目に明るい表情が魅力の11歳だ。


婆「お前は本当に元気じゃな、私はそんなお前が好きじゃよ…」


エイタ「ありがとう、僕も婆ちゃんが好きだよ!」


婆は優しい言葉をかけながらも、目線は机に向いていた。


エイタ「ねぇ、婆ちゃんはいつも地下室で何やってるの?…」


婆「お前も、そろそろいい歳じゃ…教えよう。」

婆は眼鏡を外し、エイタの顔を見た。


婆「この島の外にはな、想像もできないような世界が広がっているのじゃ…その世界を渡り歩く為には"漢字"という不思議な文字を使わなければならん」


エイタ「漢字…?」


婆「そうじゃ、だから私はその漢字を日夜研究しとる…まぁわからないことだらけじゃがな」


エイタ「僕、文字なんて書いたことないよ?それにこの島から出ることもないでしょ?」

少し悲しげな顔で尋ねる…


婆「いいかいエイタ、いつかこの島に来訪者が現れた時、お前はその人と一緒にこの島を出るのじゃ、

この島の外の広い世界を思うがままに生きるが良い、その時の為にこれを持っておきなさい….」


婆は引き出しから一本の筆を取り出した。


エイタ「何これ?動物の尻尾…?」


婆「今はわからなくても良い、いつか役に立つから持っておきなさい…、そうじゃ!お腹が空いたじゃろご飯を食べようか。」


エイタ「うん!!」


その日の夜、エイタは古屋の窓から星空を見ていた。


エイタ(いつかこの島を出るのか…外の世界はどんなところなのかなぁ…お友達できるかなぁ…


エイタは興奮と期待でいつもより遅い時間に寝た。


〜一週間後〜


今日もエイタは島中を走っていた。


エイタ「はぁ…はぁ…」


すると砂浜に何かが打ち上げられているのを発見した!


エイタ「なんだ?!」


素早く駆け寄るエイタ、近づくとその正体がわかった。


エイタ「人だっ!!??」


打ち上げられていたのは人で、緑のローブを纏った体の大きい男だった。


エイタはその男を背負って、婆のいる古屋まで急いで走った!!


[ドォーン]勢いよく小屋のドアを開ける!


エイタ「婆ちゃん!大変だ人が漂流してきた!!」


婆「なんじゃと?!見せてみなさい!」


男を床に寝かせる、ぐったりとして顔色は悪い…


婆「脱水じゃな…エイタ水と温かいスープを!」


エイタ「うん!」


婆は濡れた服を脱がし、体を拭いた。


すると男が掠れた声で話した…。


男「ありが…とう…優しい人よ…」


婆「意識はあるな…安心せい、ここには十分な食料と水がある」


男はその言葉を聞いて安心したのか、ゆっくりと目を閉じた…


〜3時間後〜


男「うっ…っ…」

男がゆっくりと目を開け、体を捩った。


エイタ「あっ!起きた?!良かったぁ…」

エイタは安堵した。


男「す、すまない…苦労をかけた…」

男は起きあがろうとした…


婆「こら!まだ起きるんじゃない!万全ではないじゃろ!」


男「あぁ…」


婆「話せるなら、何処から来たのか名乗ってもらわなきゃね…」


男「…私の名前は"タツミ"、ココト大陸に向かう船の中で、トラブルに巻き込まれ、海に投げ落とされた…運良くこの島に漂着したみたいだ。」


エイタ「何それ?!ひどい!」


婆「そうか…ところであんた、旅人ではなさそうじゃね、体中の傷に発達した筋肉…さては"字操師"かね?」

鋭い目つきで婆は質問した。


タツミ「えぇ…そうです。よく分かりましたね。」


エイタ「じそうしー??」

エイタは話についていけない。


婆「回復したらまた話そう、エイタもう寝なさい」


エイタ「はーい、おやすみタツミさん!」


タツミ「おやすみ…」


〜次の日〜


エイタ「おはよう!」


婆「おはよう、エイタ」


タツミ「おはよう!」


婆とタツミは朝食をとっていた。


エイタ「もう治ったの?!」


タツミ「あぁ…おかげさまでね。本当にありがとうエイタ君…」


エイタ「エイタで良いよ!」


婆「エイタ、話がある。この男と島を出なさい」


エイタ「えぇ!いいの?!」


婆「いいのじゃ、お前ももう立派な1人の人間じゃからな…外の世界に羽ばたきなさい。」


エイタ「でも、婆ちゃん1人になっちゃうよ…」


婆「いいのじゃ、老い先短いものは置いていけ。」


エイタ「タツミさんはいいの俺が付いていっても…」


タツミ「もちろん!命を救ってくれたんだ、構わないよ!」


婆「ほらエイタ!私との最後の食事を楽しむのじゃ!ハッハッハ」

婆は豪快に笑った!


〜朝食後、島の砂浜〜


婆「じゃあな…エイタ、元気でな…」


エイタ「婆ちゃん…」


2人は涙を浮かばせ抱き合った…。


婆「さぁ…行きなさい…」


エイタ「うん…」


木造の船な乗るエイタ


タツミ「じゃあ行くよエイタ…」


エイタ「うん…!」


ゆっくりと船が動き出す、エイタの視界は涙で溢れていた!


エイタ「じゃあね!婆ちゃーん!!元気でねっっー!!」


大きく手を振るエイタ、婆ちゃんが見えなくなるまでその手を振り続けた……。


――――――――――


そうして、パンタイ島の全景が見えなくなった頃エイタはタツミニ話しかけた。


エイタ「ねぇ…これからどこへ向かうの?」


タツミ「俺が元々行きたかった、ココト大陸に行くよ、ここから一番近い港まで後一日くらいかな」


エイタ「わかった…」

エイタは元気が無い…婆との別れが悲しかったのだろう。


それを察したタツミが話しかける。

タツミ「暇になったな…そうだ"しりとり"でもするか?じゃあ…"りんご"」


エイタ「ゴリラ」


タツミ「ライチ」


エイタ「チンパンジー」


タツミ「"ジー"か、難しいなぁ…」


タツミが少し考え込む間に、船の下に黒い影が現れた…


エイタ「何かが、船の下にいるよ?!!」


       ―次の瞬間!!―


[ボオオォォーッ!]巨大な魚の化け物が姿を現したッ!!!


エイタ「うわぁ!!」おびえるエイタ


それとは対照的に瞬時に真剣な顔になるタツミ


タツミ「"激動生物"か、かなりデカいな」


タツミは戦いの構えをとり、言葉を発したッ!


「火偏・14画・烈火」


次の瞬間、タツミの拳は大きな火をまとい、強烈な一撃が化け物にヒットしたッ!!


[グオォォ]その一撃で体を焼かれた化け物はプカーと水面に浮いて気絶した。


エイタ「なっ!!…なんだ…」

驚きと興奮で目を光らせるエイタ


タツミ「こんなもんだな…」


エイタ「ねぇ!今のどうやってやるの?!教えて!教えて!」はしゃぐエイタ。


タツミ「落ち着け、港に着いたら教えるよ。」


エイタ「えぇ〜っ、ケチ…」


―――――――――――


島を出て新しい人生が始まったエイタ、彼のこれからの運命と、タツミの使った不思議な力の正体とは?これから始まる物語をお見逃しなく!!


〜つづく〜

〜人物解説〜

"エイタ"

この物語の主人公。パンタイ島で育ち島の外を知らない。毎日走り回っているため、体力と元気に溢れている!パッチリとした目に明るい表情が魅力の11歳。


"タツミ"

トラブルによりパンタイ島に漂着した男。不思議な力を使うことができる。がっしりとした体格。


〜用語解説〜

"パンタイ島"

周囲を海に囲まれ、温暖な気候と豊かな自然を持つ美しい島。魚も動物ものんびりと暮らす平和な島である。エイタはこの島で生まれ育った。


"ココト大陸"

パンタイ島から一番近い大陸、何があるかはまだ不明。


"激動生物"

生物の中でも特殊な力や能力を持った生物の事。大きさから姿形まで多種多様に存在する。

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