サラヒール(ブラッドワット)CP 4
丘へ向かう途中で:
木々の間から音が聞こえた瞬間、カリラはオーカイスの背後に隠れた。
あたりは風のささやきと、カリラの早まる鼓動の音だけが響く静けさに包まれていた。
オーカイスは木々の間を注意深く見渡したが、何も見えなかった。
オーカイス:(皮肉っぽく)
「案内役が怖がってどうする。」
カリラ:(恥ずかしそうに、でもプライドを保って)
「ふん、誰が怖がったって?あなたの背中を守ろうと思っただけよ。」
オーカイス:(笑いながら)
「まあ、いいさ。進もう。」
彼らは木々の間を抜けて、鳥がいるという丘の頂上へと向かって歩き続けた。
だが、その道中で再び静寂が訪れた――今度は何者かの足音が森の中から聞こえてきた。
そして突然、木々の間から小さな体に長い脚を持つ奇妙な獣たちが現れた。
彼らは「樹の獣」と呼ばれ、別名「サラヒール(Sarakhiiru)」とも呼ばれていた。
非常に素早く動き、小さな短剣で戦うのが特徴だ。
オーカイスはこれまでに見たことのないその姿に、緊張と恐怖で足が震えた。
サラヒールの数は非常に多く、カリラは膝をつき、「これで終わりだ」と思った。
それでも、オーカイスは恐れながらも勇敢に立ち上がり、自らの血から剣を作り出して彼らの前に立ちはだかった。
戦いが始まった。サラヒールたちは極めて素早く、オーカイスは一つのミスで傷を負ってしまう。
彼は全力で戦い、多くの敵を倒したが、次第に体力が尽き、倒れそうになった。
まだ敵は残っている。彼の中で「諦め」の言葉がよぎる。
そのとき、頭の中に声が響いた:
「今、諦めるのか?
これが終わりだと思うのか?
これが、お前のすべてだと思っているのか?
あれだけの修練のあとでも、まだ弱いままなのか?
力が欲しいか?
勝ちたいか?
――そう思うなら、私の名を叫べ!」
「ブラッドワット(Bludowatto)!」
オーカイスにはもう選択肢がなかった。
彼はその名を叫んだ――「ブラッドワット!」
すると突然、彼が倒したサラヒールたちの血が空中に集まり、巨大な球体となった。
その中から鋭い糸のようなものが現れ、動くたびに無数のサラヒールを切り裂いた。
糸は止まることなく敵を切り裂き、森の緑は真紅の谷へと変わった。
ついにすべてのサラヒールは倒れ、オーカイスは驚きながらも立っていた――
だが、直後に倒れ、数時間意識を失った。血を大量に使い、体は限界だった。
カリラは木の下で、そっと彼の看病をしていた。
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日没の一時間前:
オーカイスは目を覚ました。頭は激しく痛み、腕には力が入らなかった。
それでも、最初に出た言葉は――
オーカイス:(苦しそうに)
「カリラ……大丈夫か?」
カリラ:(少しかすれた声で)
「自分の心配をしなさいよ。私は大丈夫。あなたがいなければ、私はもう……。
あなたに命を救われたわ、オーカイス。」
オーカイス:(痛みながらも笑みを浮かべて)
「自分を守るための戦いが必要だった。
でも、本当に……君が無事でよかった。
さあ、鳥のいる丘に行こう。」
カリラ:(怒り気味に)
「今のあなた、足もまともに動かせないのに丘に行くって?
今日はここで休みましょう。もうすぐ暗くなるし、夜に動くのは危険よ。」
オーカイス:(うなずいて)
「……そうだね。君の言うとおりだ。今夜はここで休もう。」
二人は静かに火を焚き、大きな葉をかぶって体を温め、その夜を森の中で過ごした。
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翌朝、日の出とともに――
オーカイスは目を覚ました。
昨日よりはるかに元気で、鳥の巣があるという丘の頂上へ向かう気持ちでいっぱいだった。
つづく...