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ヘロシオン  作者: Okays
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主人公 [オカイス] の誕生 CP 2

オカイスは生まれてからずっと、ハーフであるがゆえに世界から嫌われ、モンスターたちから身を隠して生きてきた。しかし、母アルリナはそんな彼に希望を与えた。それは、「モンスターの大陸」から出るという夢だった。


アルリナ:「息子よ、希望を失わないで。この世界にはたくさんの人間やモンスターがいて、その中にはきっと優しい者もいるはずよ、この壁の向こうには。」


オカイス:(壁を見つめながら)「あの巨大な壁の向こうってこと?」


アルリナ:「そうよ、息子よ。あの壁の向こうには、あなたのような人間がいるの。」


オカイス:(悲しそうな声で)「でも、母さん…あの壁は高すぎるよ。前に言ってたよね、あの壁には扉なんてないって。」


アルリナ:(彼の頭に手を置きながら)「心配しないで。時が来れば、どうやって出られるか教えてあげるわ。」


オカイス:(微笑みながら)「その時、一緒に行ってくれる?」


アルリナ:(悲しげな表情で)「息子よ…王の命令でモンスターはこの壁を出ることができないの。」


オカイス:「でも僕もモンスターだよ? じゃあ、どうやって出るの?」


アルリナ:(悲しげに)「教えてあげる。あなたは人間とモンスターのハーフなの。あなたのお父さんは人間だった。だから、あなたはここから出ることができるの。そして、ここでは正体を明かしてはいけない。もしハーフだと知られたら、酷い目に遭うわ。彼らは人間を憎んでいるから。」


オカイス:「じゃあ、僕は母さんを置いて出なきゃいけないの?(悲しい表情)そんなの嫌だよ、母さんなしでは行けない。」


アルリナ:「あなたが20歳になったら出なければならないのよ。あと10年だけ残ってるわ。」


オカイス:「本当に出なきゃいけないの?」


アルリナ:「まだあなたは小さいけれど、大きくなれば、ここで隠れて生きることはできないの。だから、出なければならないのよ。」


オカイス:(興奮した顔で)「母さんも一緒に連れて行くよ。」


アルリナ:(悲しげな顔で)「そうなるといいわね…。」


年月が過ぎ、オカイスは自分の力、「血の操作」を鍛え続けた。彼はまだ、自分の特別な力「ブラッドアウト」(液体の外部制御)の使い方は分かっていない。ただ、肉体的な訓練と内なる血のエネルギーを高め、外の人間の言語を学び続けていた。


年月は流れ、彼は18歳になり、壁の外に出る日まであと2年となった。その頃、アルリナは年齢と千年にわたる妊娠の影響で重い病に倒れ、最後の数年を寝たきりで過ごすこととなった。


アルリナ:「(ゴホゴホ)オカイス、いるの?」


オカイス:(急いで駆け寄る)「ここにいるよ。」


アルリナ:「息子よ、もう私はこの世界に長くは居られない気がするわ…」


オカイス:(悲しげな顔で)「そんなこと言わないで、お願いだよ、母さん。」


アルリナ:「私は長い人生を生きて、あなたのような素敵な子供を産んだわ。でも、何も与えてあげられなかった…。」


オカイス:(涙を流しながら)「そんなことないよ。母さんは僕に命をくれた。そして、この残酷で戦争に満ちた世界を出る希望をくれた。もう少しだけ頑張って、すぐにここから出よう、母さん。」


アルリナ:「息子よ、あなたにはこれから長い人生が待っているわ。ただ、私に約束して。外の世界で幸せに生きてちょうだい(ゴホッ)。」


オカイス:「お願いだ、母さん、もう話さないで…母さんはきっと良くなるから。」


アルリナ:「あなたが成長する姿を見たかった…息子よ…。」


彼女は静かに目を閉じ、この苦しみと悲しみに満ちた世界を去った。彼女がこの世界で唯一与えられた贈り物、それは息子オカイスだった。


その後、オカイスは彼女を森の近くに埋葬した。そして家に戻って掃除をしていると、母の部屋で手紙と大きな箱を見つけた。その手紙は、オカイス宛てだった。


手紙の内容:

この手紙を読んでいる時、私はもう遠くに行ってしまっているかもしれない。

でも、私はあなたの心と魂の中で生きているの。だから諦めないで、人生を精一杯生きて。

20歳になったあなたに伝えたかったことがあるの。それは、ここから出る方法よ。

「タリス」という人物を探しなさい。彼はあなたを助けてくれる。彼に「私の息子」だと言えばいいの。

そしてこの場所を出るとき、この箱に入っているマスクとスカーフを身に着けなさい。それはあなたのハーフの姿を隠してくれるわ。

私にできることはそれだけ…あなたにこんな辛い人生を与えてしまって、本当にごめんなさい。

愛してるわ、息子よ。


オカイスは母の悲しい手紙に泣き崩れ、現実に打ちのめされた。それでも彼は訓練と他の大陸についての学びを続けた。


2年が経ち、ついにオカイスが壁を出る運命の日がやってきた。しかし、その前にタリスを見つけなければならなかった。オカイスは母がくれた重い服、スカーフ、そしてマスクを身に着け、家を出た。


彼はドアの前に立ち、この場所で過ごした美しい記憶や悲しい思い出を思い出した。家の壁には笑い声や涙の痕跡が残っており、すべての角が彼の子供時代の物語を語っていた。彼はその思い出に別れを告げ、未知の世界へと足を踏み出す決意をした。


それは彼の人生で初めて、生まれた森を出る瞬間だった。オカイスは「ダルキス」というモンスターの街に向かった。心には不安と期待が入り混じっていた。


森は高い丘の上にあり、街を一望できた。そこは色とりどりの光で輝き、まるで命の鼓動のようだった。


彼は街へと降りていき、足がダルキスの地を踏んだとたん、四方からモンスターの声が響いてきた。彼がつけているマスクは、奇異と侮蔑の象徴だったため、皆が警戒していた。


彼はモンスターたちに「タリス」という人物を尋ねたが、彼らの目は疑念と恐怖に満ちていた。「何が目的だ?」と問われても、オカイスは敵意がないことを伝えようとした。


モンスターたちは視線を交わしながら沈黙の中で相談しているようだった。街には驚きと興奮が漂っていた。オカイスはその中心に立ち、自分が異質な存在であると強く感じた。まるで、離れた森がまだ彼を包んでいるかのようだった。


長い探索の末、彼は道である男に出会い、「タリス氏」について尋ねた。


オカイス:「こんにちは、少しだけお時間をいただけませんか。」


男:「何の用だ?臭い奴のために俺の時間はねぇ。」


オカイス:(ため息をついて)「もし迷惑だったらすみません。でも、タリス氏をご存知ですか?」


男:「年寄りのタリスなら知ってるよ。(場所を指差しながら)あっちに住んでる。だがあのジジイはもうボケてる。」


オカイス:(心の中で)「なぜそんなに怒っているんだろう…ああ、ありがとう。」


男:(威圧的な顔で)「さっさと失せろ。」


オカイスはその男が示した場所に向かい、古びた廃屋のような家にたどり着いた。そして静かにドアをノックした。


すると、幼い少女がドアから顔を出した――


つづく...

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