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異世界最弱伝説〜最弱の英雄〜  作者: みりんタイプR調味料
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会見



ガバッ!



「ハッ!!夢か!」



寝床で体を起こす。



どう見てもミツエ村の旅館でアリスは俺の彼女になった記憶がある。



モゾモゾ……



再び布団に入り……



ガバッ!



「ハッ!!夢か!」



『それで5回目だな』



そう…あのアリスが俺の恋人になったなど、未だに現実感が無かった…




アリスの過去は辛く…俺なんかじゃ彼女の痛みを癒やすことは出来ないのかもしれないが、あの時の気持ちは本物だ。




アリスに側に居て欲しい、過去を忘れろなんて言わないが笑って欲しい。



一週間以上食事も摂らず眠っていたアリスを回復させる為にミツエ村に滞在して今日で3日目…



同じ部屋で寝たい欲望が渦巻くが、流石に病み上がりのアリスに手は出せない。



「おはようタカヤ」


「お……おう…おはようアリス」



アリスが部屋に入ってくるなり、俺の頭を抱きしめてくる……


む……胸が……



チュッ… 



額にキスをして離れるアリス



「先に朝食に行くから早くきて」


そう言うと部屋から出ていってしまった……



可愛いなーーーーー!!!!どちくしょーーーーーー!!!!!!




『浮かれるのも結構だが、アリスを救う手は考えているのか?』



『今は浮かれさせてくれよ、世界中に俺の彼女だと紹介したいくらいだ』



浴衣の隙間から見えた胸元の紋章は、確かに薄く消えかかっていた。


まずはフェンリルを倒す事、それで呪いは消えるかもしれない…


手掛かりにしたって世界は広い主要の街や村は巡ったが、まだ探せる所はあるはずだ!



俺が暗い顔をしていたら、アリスまで不安に思ってしまう。



気持ちを切り替えろ神藤 貴也!!俺がアリスを救うのだ!



………………




朝食を終え、アリスと外を歩く事にした。


人通りのない道、確か前に来た時は、変なガキにぶっ飛ばされたっけ……



最初にこの村に来た頃を思い出すな、あの時のアリスに比べたら表情も豊かで……



アリスの顔を見ていると目が合う、少し恥ずかしそうに頬を赤らめ目を逸らされる。



可愛くなったな〜♪



だが彼女居ない歴=年齢に終止符を打ったとはいえ、相変わらず童貞記録更新中の俺には



今後アリスと、どうすればいいのか分からない。




コミュニケーションだ!





①シャレオツなカフェなんかでお喋り

②映画館や遊園地など目的地を楽しむ

③尻を触る



間違いなく③だと思うのだが…やはり少し遠慮してしまうな……



「ア〜リス♪」



アリスの尻尾を根本から掴み、シュルっと流れるように触る。



フサフサしてて本物の尻尾なんだな。



「何すんのよ!!!!!」




スッパーーーーーーーーン!!!




「ぶべら!!」



思いっきりビンタされ地面に打ちつけられてしまう。



「タカヤ様……それは…あまりにも…」


「我輩も人道的にどうかと思うぞ」



マックスとソフィアが俺を見下ろしていた。



「なんだよ!!おまえら!どこから湧いてきた!」



「後をつけ………たまたま、お見かけしまして♪」



プライバシーもヘッタクレも無いな……



「尻尾を触るなんて……酷いですわ…」


「我輩の主として相応しい行動をとってもらいたいな」



駄目なの!!!?尻尾って、そんなデリケートな部分なの!!?




「いや、悪かったよアリス…俺の世界は獣族なんて居ないから知らなくて…」



「タカヤが変態なのは知ってるけど、人前では止めてよね」



人前じゃなかったら、いいんだ……よく分からん感覚だ。



「そういや、今日は村の中心地も街道も人が多いな」



普段より人混みが凄く祭りや縁日のような雰囲気で、ゆっくり散歩できるここまで来たんだった。



「今日は婚約会見がありますの♪」


芸能人か誰かの?



「へ〜…誰の?」



「いやですわ♪タカヤ様とお姉様に決まってるじゃないですか♪」



「へ〜…俺の………」



!!!!!!


「待て待て待て!!!どうして俺達が!」



「我輩、確かにタカヤがウラヌスの貴族となりアリスを婚約者として皇帝に報告していたのを見たぞ」



「この村はシンドー家の領地なわけですし…当然そうなりますわ」



「それにヒューマンの貴族が元敵国の獣族と異種族婚なんて前代未聞ですもの♪」



くっ…確かに言ったが、こんな騒ぎになるなんて……



「異種族で付き合うのは珍しいことなのか?」



「一般的には稀だな、とくにヒューマンは忌み嫌うぞ」



国際結婚みたいなものなのか?



「だが…誰にも理解されなくとも……気にすることは無い…自分の気持ちに正直になることだ…」



憂いを含んだマックスの言葉は何故か胸に響いた。


俺みたいな童貞よりマックスは経験豊富に違いない。





「いや、でも…俺に何の報告もなく会見とか…それに交際宣言とかやりたくない…」




「酷い…タカヤ様!!お姉様とは一夜限りの過ちだったのですか!!」




過ちすらできてねーーんだよ!こっちは!




「会見は私のほうから受けておきましたわ♪これで公認ですわね♪」


不敵な笑みを浮かべるソフィア……



既成事実………



やられた…以前からソフィアが俺達を、くっつけたかったのは見えていたのに……



『世界中にアリスを紹介したかったのだろう?よかったじゃないか』



くそ……なんで俺達が世間の恋話ネタにされなきゃならんのか…



だが、これは世間に発信できるチャンスでもあるんじゃ……




……………………





何やら村の中心地に特設ステージのような物が用意され、アリスと俺は豪華な椅子に座らされている……



隙間なく、ひしめき合う人々をステージの周りにビッシリ配置された兵が押し合う人を止めている。



アイドルのコンサートか!!!




「それでは英雄であり特別にウラヌス帝国、侯爵の地位を与えられたタカヤ・シンドー様」



「元ヴォルフガング王国侯爵令嬢アリシア・ヴォールク様の婚約会見を始めます」



「司会は私、神官のミシェル・ゴードンが務めさせていただきます」



インタビュー形式になるのね…なんか軽いノリの神官だな。



「ヒューマンであるタカヤ様と人狼族であるアリシア様の婚約は世界に衝撃を与えるサプライズでしたが、御本人達はどう思われてますか?」



「俺が居た世界には獣族が居なかった、偏見は無い!アリス……アリシアは俺の大切な人だ」



「私も特にヒューマンに恨みは無いわね、タカヤはタカヤだから」



「なるほど、ではお二人の出逢いは?」



めんどくせーなーー!



立ち上がり神官を押しのけて前に立つ



「聞いてくれ!彼女は魔王の呪いで紋章が消えかけていて、後三年しか持たない!」



シン…と静まり返る会場



「なんでもいい!彼女の治療、紋章を復活させる術を知りたい、知っている者が居たら教えて欲しい」



「獣族とか…貴族とか関係ない!!俺は彼女の為に魔王を倒す!彼女が幸せになるなら何だってやる」



「戦争も帝国もどーでもいい!!彼女の為なら世界だろうが何だろうが救ってみせる!」





「伝説の通りだ………」

「時代の変革者………」




ワァァァーーーーーーーーーーー!!!!!!!!



割れんばかりの大歓声が響き渡る。



「お静かにお願いします!!ここで先行報告になります」



「ブライト・ウラヌス皇帝は英雄の気概に心を打たれ獣族にヒューマン同等の人権を与える決断を致しました!!!後ほど帝国から発表があります!!」



ドォォワァァァァーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!


更に歓声が増す。



「これで…野党に脅えることも無くなる」

「ヒューマンと獣族の垣根を取り払うなんて!!!」



あのジジイ……俺達をダシにして無理やり美談にしやがった!!



…………………………





「疲れた………」


会見が終わり宿で夕食を摂っていた


色々と疲れる……この国は…


貸し切り宿の前には民衆が押し寄せ兵がガッチリと入り口を固めている。


「お疲れ様でした♪私おかげ様で新作の構想ができそうですわ♪ヒューマンの青年ピートと獣族の青年ガルシアの許されない甘く切ない恋♡」



なぜ男✕男にするのか!!

俺には種族より、そっちが理解できない。



そんなことより、これからどうするか……



「やっぱ悪霊から聞き出すしかないよな」



アリス、マックス、ソフィアと、これからの旅路を話してみる。



「私の共感能では悪霊様に潜れませんし…」


悪霊を憑依させて喋らせようとしたり文字に残そうとしたり、試してみるが、やはり無理だった。



「ふむ…妖狸族(ようりぞく)が使うという接触感応はどうなのだ?」



「妖狐族のリン様は心から探したい事を感知しますが、妖狸族の接触感応は物から想いを読み取りますわ」



「何か悪霊様に縁のある物があればいいのですが…」



悪霊と縁のある……



「この剣はどうだ!!」



勝利の剣


確か前に、これは俺の物だと悪霊が言っていた。


明らかに悪霊の記憶と思われる映像も見えた。



『三妖種族の超感応というのも気になるな』



「妖狸族の神官はシヴァ王国の外れにある寺院に居ると聞くわ」


だいぶ前に行った、あのインドのパチモノ国か、たしか中立国で王にも謁見はしてない。




「決まりだな、明日シヴァ王国へ行くぞ!」






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