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1.拾っても問題ないよね?

この作品は今夜中に全て投稿し終わる予定です。

この世界はゲームである。

そんなことを言われて皆は信じるだろうか?


僕個人は信じる。というか、実際にこの世界を表したゲームをプレイしたことがある。しかも、複数作品。

最初の出会いは5歳の時。個人作成の低クオリティーなゲームを遊んでたんだけど、そのゲームの状況と全く同じ状況でテロが起きた。皆はテロで驚いてたけど、僕はゲーム通りのことが起こったことに驚いてた。

そんなことがあってからゲームの中で有名な企業と同名の企業にお小遣いを入れてみたり、それで儲かったお金で災害が起こる予定の場所から引っ越してみたり。僕の人生はこの世界を表すゲームに助けられた。そして、そのお陰で僕の人生は輝く物になっていた。

……さて、そろそろこんな説明を長々とした理由を言おうか。それは、


「……ねぇ。君。大丈夫?」


「っ!?あ、あなたは?」


僕の前で体育座りをしている女の子。僕と同じく高校1年生くらいかな。夜道をを歩いてたら、道ばたに座り込んでるのを見つけたの。話しかけるまで気配には気付いてなかったみたいで、驚いたような反応をしている。

この子、実はゲームで見覚えがあるんだよねぇ。ただ、こんなイベントには覚えがない。だから困ってるんだよね。迂闊に触れて良いモノか。……まあ、話しかけてる時点で関わってることになるだろうし、もう完全に足を踏み入れるつもりだけど。


「僕は小川(おがわ)目覚(めざめ)。君は?」


「私は明里(あかり)。名字はもう無い、かな」


そう言って悲しそうに微笑む明里ちゃん。……明里ちゃんって事は、ビンゴだね。僕の知ってるキャラクターでよさそう。

ただ、名字がないって言うのが気になるかな。ゲーム開始前の見た目ではないから、ゲームの最中?でも、ゲームの中で名字がなくなるなんてイベントはなかったはずなんだよね。

……と考えると、残った可能性としてはゲーム終了後かな?明里ちゃんは一応恋愛シュミレーションゲームのヒロインの1人なんだけど、この様子を見るに主人公からは選ばれなかったのかも。


「ねぇ。こんな夜に1人だと危ないよ。家に帰らないの?」


「……家はないよ。追い出されちゃった」


「追い出された?」


僕は眉をひそめる。ゲームのエンディングではそんなこと言ってたっけ?……設定的には古風な家が才能のある孤児の明里ちゃんを拾ったみたいな感じだったから、使えなくなって捨てられるのもあり得るのかな。


「……じゃあ、僕の家に来る?お金は持ってないだろうから、泊まる代金を借金ってことにするなら泊めてあげるよ」


色々と考えて、僕は悪魔のような提案を明里ちゃんにする。身寄りの無い子に借金をさせるんだよ。しかも、更にひどいことを予定してるからね。


「しゃ、借金?」


「そう。……まあ、生活費を借金にする感じかな。利子もつけるけど、そこは現金以外で返してもらえば良いよ」


「現金以外……具体的には?」


具体的な内容を尋ねてくる明里ちゃん。それに僕は人の悪い笑みを浮かべて返す。それから口を明里ちゃんの耳に近づけ、


「体、とか」


「っ!?」


凄い目でこっちを見てくる明里ちゃん。嫌だよねぇ。体を売れと言われてるようなものだし。

しかも、それに加えて僕の見た目も影響してると思うんだよねぇ。僕の見た目、ちょっと同年代からすると背が低めで可愛い顔立ちしてるんだよ。これでも明里ちゃんと同い年の高1なんだけど、よく中1と間違われちゃうんだよね。年の差がある子に体を売るとか嫌じゃない?


「……まあ、泊まる場所がいらないならそこに座っておけば良いよ」


「っ!……」


僕は人の悪い笑みを浮かべたまま立ち上がる。明里ちゃんは悔しそうに唇を噛んで僕を睨んでくるけど、何も言うことは出来ない。

だって、僕が悪いわけじゃ無いからね。どちらかと言えば見返りを求めてるとは言え、救いの手を差し伸べてるわけだから。

しばらく僕と明里ちゃんは見つめ合ってたけど、


「……捨てないで、くれる?」


「うぅん?とりあえず自立できるまでは捨てないであげるよ。……利子の分を毎日僕に捧げてくれるなら、だけど」


質問してきたから安心させるように回答しておく。いや、安心できるような返答内容ではない気がするけどね。

でも、明里ちゃんは決意したみたいで、


「……行こうかな。泊めて」


「了解。じゃあ立って」


「うん」


手を貸して、明里ちゃんを立たせてあげる。こうして僕たちは出会い、ゲームの続きが紡がれていくことになる。ゲームの流れなんて完全に無視した圧倒的な僕という力は、果たしてどれほどの影響を与えるのか。……それは、過去に僕がしてきたことと比べると些細なことかもしれない。


「まずは、帰る前に服だけでも買おうか」


「あっ、うん。そうだね。お願い。……どれくらい買って良い?」


「べつにどれだけ買ってもいいよ。店にあるのを全部買ってもいいし。……ただ、それだけ借金は増えるけどね」


「あははっ。そうだね。じゃあ、必要な物だけにしておこうかな」


僕たちは2人で並んで幾つかのお店をまわる。服を買ったり、その途中でお腹が空いた明里ちゃんのために軽くつまめる物を買ったり。ベットは買わなくて良いけど、明里ちゃんのための簡単な家具は買っておきたいよね。それは明日かなぁ。

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