①
書くものないんで、これを出しとく。
読んじゃってる人はオチを待ってね♡
俺は警視庁捜査一課の刑事、轟。
捜査一課は言わずと知れた殺人事件を担当する課である。『日本の治安は俺が守る!』などと嘯いたところで、俺の出番が来てる時点で既に守られていない。
俺に出来ることは『犯人を挙げる』、それだけだ。
白いチョークで描かれた中に、血みどろの男──被害者、田中 健(28)。
「死因は?」
「頭部損傷による、ショック死です」
「ふむ……」
とりあえず手帳に『モブ』と書いておく。
全国の『田中』さん、『健』さんには大変失礼だが名前がモブっぽい。
『何故こんなことをメモるか?』
フッ……よくぞ聞いてくれた。
何故なら先日俺は前世の記憶が甦り、ここが『2時間サスペンス』の世界であり、俺は主人公『轟 周一郎』に転生していると気付いてしまったのだ!
大体『轟 周一郎』の扱う事件のメイン登場人物は、なんか派手な名前の金持ちであり、そこのお家騒動かなんかで揺すられた金持ちが主となり事件が展開するのだ。
『被害者はモブ』──これは重要な情報である。
「ガイシャの詳しい身元が割れました!」
部下の石動が叫ぶようにこちらへ走り寄る。
おま、そんなデカい声で……守秘義務どうした。周りに聞こえるつーの。
「田中 健(28)! 田中コンツェルンの御曹司です!」
「!!」
その時の俺の衝撃と言ったらない。
──田中コンツェルン……だと?!
メイン死にキャラがまさかの『田中』……しかも『コンツェルン』ときた。
だが考えてみれば田中姓は多い。
田中で結束すれば一大企業など容易に作れるに違いない。
「田中無双……か」
「は?」
「いやなんでもない」
田中 健(28)は子会社の取締役社長就任パーティにて婚約破棄を行っており、元婚約者に重要参考人として話を聞くこととなった。
つーか取締役社長就任パーティで婚約破棄ってどういうことだよ?
金持ちの考えることはよくわからん。
重要参考人の美女、佐々木 瑠璃香(20)は黙秘しておりまるで話にならない。
「ガイシャには他にも女の影がチラついている。 石動はそちらの方面をあたってくれ」
「了解ですっ!」
俺は『現場百回』という刑事の定石に従い、再び殺害現場に赴くことにした。
チャンネルはそのまま!