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恋をする私はいつも正念場  作者: あっきゅるん
5/6

5話→理想と現実


理絵「西田さん………。」


理絵は突然目の前に現れた先輩の西田に、対して驚きはなかった。

「なんで西田さんが。なんでここに。」とも思わなかった。

理絵の今の精神状態だと、恐らくどんな人が自分の前に現れようとも何の感情も浮かばないだろう。


西田「とりあえずそこに居たら濡れるから移動しようよ。」


西田はそう一言を発し理絵の腕を掴み2人でその場から歩き始めた。

理絵も何も言わず捕まれるがままに西田について行く。

歩くこと約5分が経過。

たどり着いたのは先輩の西田が住んでいるマンションだった。

特に意識もなく2人は部屋へと入った。


西田「とりあえずこのタオルで髪とか拭きなよ。」


理絵「ありがとうございます…。」


理絵が部屋を見渡す限り広さは1DK。

部屋に置かれている物を見ると恐らく一人暮らしだ。

付き合っている彼(佐藤)の家は実家暮らしで一人暮らしをしている男性の部屋に入るのは初めてな為少し違和感があった。


西田「あれ?男の家に入るのもしかして初めて?」


理絵「あ…いえ、入ったことはあるんですけど一人暮らししている人の部屋に入ったのが初めてで…。」


西田「あぁ、なるほどね。ってことは今付き合っている彼氏が実家暮らし。それで今日何か見てはいけないものを見てしまってあんなに泣いてたってことか。」


理絵「え…なんで分かるんですか…?!」


西田「俺の直感。まずよっほどのことがない限りあんな人目が目立つコンビニの前で普通は泣かないでしょ。それにその袋に入ってるシュークリーム。まぁそんなもんでしょ。」


理絵「………。」


西田「ほら、図星だろ。」


理絵は本当のことを突かれ何も言えなかった。

すると理絵の携帯の着信が鳴る。

掛かってきたのは彼(佐藤)だった。


西田「出ないの?」


理絵「いや…だって…。」


西田「はぁ。」


ため息をした西田はなんと理絵の携帯を取り彼(佐藤)からの電話に出たのだ。


佐藤「あ!理絵?!俺もう待ち合わせの喫茶店に着いてるんだけど、どう?いつになったら来れそう?」


西田「もしもし?理絵の彼氏の西田ですけど。」


理絵(え…?)

その瞬間理絵は西田を見た。

だが彼(佐藤)の電話に出る勇気もなく何の否定もしなかった。


佐藤「え?西田?どういうこと?」


西田「今日から理絵と付き合ってるからもう連絡はしないでくれる?」


佐藤「は?彼氏は俺やぞ。というよりまず誰やねんお前。何の権利があってそういうことよんや。ちょっと理絵に代わってくれ。」


西田「別にいいだろ。あんたもどうせ他に女とかいるでしょ。例えば今隣にもすでに。」


佐藤「いや…それは…。」


女「ねぇほらやっぱりバレてんじゃん!!」


西田「フッほら図星。ほんじゃあな。」


そう言葉を発した後、西田は電話を切り理恵へ携帯を返した。


西田「はい、これでもう大丈夫でしょ。」


理恵「ありがとうございます。」


今の理恵にとって(この人に感謝をして良いのか。これで良かったのか。)と

理絵の中でまだ気持ちの整理が出来てなかった。


理恵「あのぉ…西田さん。なんで康ちゃんに他に女性がいることが分かったんですか…?」


西田「さっきも言ったけど、俺の直感。別に根拠はなかったけど、どっちみち正しいことしたって俺は思うよ。」


理恵「私、本当に大好きだったんです康ちゃんのこと…。確かに康ちゃんとこれからも一緒にいられるかって言われるとあれですけど、長い時間一緒にいて私が原因で喧嘩になってこんなことになるなんて…。」


西田「こんなことになるなんてって。相手思いっきり浮気してんじゃん。それでも私が原因でって。お人好しにも程があるでしょ。」


理恵「いや、そうですけど…。でも…。」


西田「はぁ(ため息)。じゃあ神山さん1つだけアドバイスするけど、人って言うのは得か損かで動いてるの。」


理絵「どういうことですか…?」


西田「要は自分にとってメリットになるか。デメリットになるか。人間関係も同じ。この人と友達で…この人と結婚して自分に必要か必要じゃないか。仕事もそう。良い上司だったら優しくて仕事もやり易く続けられて得だけど、嫌な上司だと途中で挫折してそこの職場を去ってまた就職活動をしなくちゃいけないって明らか損してる。」


理絵「確かに言われてみればそうですね…。私今まで誰か友達や恋人に裏切られたことも嫌な上司と会ったりとかもなかったので全然そんなこと躊躇(ちゅうちょ)してなかったです。」


理絵は先輩の西田の言葉にすごく共感が持てた。

自分はまだ知らなかっただけで、現実は思ってるほど甘くはない。厳しい現実なんだと。

そして何事も良い方向に進むことはないということに気付いた。


西田「そう、だからあの彼(佐藤)と神山さんがこのまま付き合っていても損するって分かったからあの行動に俺は出ただけ。それ以外に特に意味はないよ。」


理絵「分かってます…。西田さん本当にありがとうございます…。研修でもお世話になってるのに、プライベートのことまで…。」


西田「まぁ神山さんもこれがきっかけで自分にとって得になることかこれから考えるんやで。そうしないと最終的に自分が苦しむことになるし。だから俺はそうしてる。仕事もそうだけど。」


理絵「はい…。ちょっと私も色々とこれから慎重に考えて行動するようにします…。」


西田「おう。てかその袋に入ってる持ってるシュークリーム?多分2人で食べる予定だったんだと思うけど、食べないなら頂戴(ちょうだい)よ。」


理絵「あ、どうぞ!ちょっと買ってから時間経ってますけど…。」


西田「シュークリームに罪も賞味期限もないでしょ。」


理絵「いや…賞味期限はあります…。なんか西田さんって。たまに訳の分からないこと言いますよね。」


西田「どういうことやねん…!それより今日のことはもう切り替えて明日からの研修で俺の話をちゃんと聞くんやで神山さん。これ以上俺の研修した子が辞めてしまったらマジでたまらんから…。」


理絵「はい…!今後ともよろしくお願いします!」


その後2人はシュークリームも食べ理絵は西田の家から自宅へと帰宅した。


そして翌日の朝。


目覚まし音「チリンチリン!!チリンチリン!!」

目覚ましを止めた。


理絵「はぁぁぁあ。今日からまた頑張りますか-!」


昨日の出来事からすっかりと吹っ切れた理絵。

何事もなく、仕事場へ出勤した。


理絵「おはようございま-す!!」


岡内「神山さんおはよう!どしたの今日は元気だね…!」


理絵「はい…!岡内さん今日からまた頑張りますので、よろしくお願いします!!」


宮野「昨日は30分で元気になって、今日は朝から元気って。寝てないのかこの子。」


浜口「おはよ-理絵ちゃん!やる気出してるじゃん!!もしかして昨日の私のお…陰?!」


理絵「浜口さん昨日は本当に助けてもらいました。感謝でいっぱいです。また是非飲みにも誘ってください…!」


浜口「あったり前…!また行こうね!!」


岡内「は-い!じゃあ雑談はその辺にしてそろほろ業務に取り掛かって-!」


宮野・浜口「は-い…。」


理絵は西田さんの隣に立った。


理絵「西田さん。おはようございます…!今日からまたよろしくお願いします…。」


西田「おう。」




こうして仕事に集中力を取り戻した理絵は無事に1ヶ月間の研修を終えたのであった。




6話へ続く…




掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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