4話→人を信じることは
理絵は彼の返事に対しすごく動揺をしていた。
今までに味わったことのない感覚だ。
お昼休憩なのにお腹も空かない。
理絵は(私のせいで私のせいで)と自分を思い詰めていた。
そんな心境の中再び仕事場へと戻る理絵。
西田「とりあえず初日から1週間の間は座学研修だからそれまでにしっかりと知識を頭の中に入れとこうか。ん…?神山さん?聞いてる…?」
理絵「あ…はい…聞いてます…すみません…」
明らか理絵は気持ちの切り替えが出来ていない。
それは周りの社員も察していた。
西田「ほんでここの顧客情報を入力したら…って…神山さん大丈夫…?本当に聞いてる…?」
理絵「はい…大丈夫です…。」
西田「あのさ、こっちも頑張って神山さんに分かって欲しいと思って教えてるんだから二日酔いか何かに落ち込んでるのかは知らないけどさ…!こっちのやる気までなくなるからやめてくれないか?」
西田はいつまでも切り替えの出来ない理絵に少し腹が立ち思わず怒った。
理絵も驚き「やばい…!」と思ったが、その場でどうしたらいいかも分からずただ呆然としていた。
浜口「理絵ちゃんちょっと休もうか…?岡内さん私理絵ちゃん体調が良くないと思うからとベッドまで連れて行きます!」
岡内「分かった。ちょっと休んだ方がいいかもね。」
浜口は理絵と一緒に休憩室のベッドへと向かい理絵を横に寝かせた。
理絵「浜口さん…ありがとうございます…。」
浜口「どしたの?絶体なんかあったでしょ…!!私で良かったら全然話聞くよ?」
理絵「実は昨日浜口さんと宮野さんとで、私の歓迎会をしてくれたじゃないですか…?あの時、彼氏から連絡がきてて帰りが遅くなることは最初に伝えてたんですけど、日付変わるまでってことが今までになくて彼もすごい心配してて………」
などと昨日から今日に掛け起こった出来事や今までの過程について全てを理絵は先輩の浜口へ相談をした。
浜口「そういうことかぁ…。ごめんね私達も昨日早く理絵ちゃんのことを家に帰せてあげてたら良かったのに…。」
理絵「いえ…!そんな浜口さんと宮野さんは全然悪くないんです…。私がきちんと連絡を返せてれば良かっただけの話ですから…。」
浜口「そっか…。でもあれだね。そこまで理絵ちゃんのこと心配してくれるなんて良い彼氏じゃん…!」
理絵「そうなんです…私もすごく大好きで私の家族も康ちゃんのことすごく気に入ってて…。」
浜口「へぇ…!康ちゃんって言うんだぁ…!聞いちゃったなぁ…(ニヤ)私も次付き合った彼氏とあだ名で呼び合いたいなぁ…。」
相談をしたお陰もあり2人で話し合っている内に理絵も少しずつ元気を取り戻した。
理絵「浜口さんってそういえば宮野さんのことはどう思ってるんですか…?」
浜口「え?どうって?!」
理絵「ほら過去に助けてくれたりとかこれだけ一緒に居たりすると恋愛感情とか出てこないのかなぁと思って…。」
浜口「あぁ…!あいつは友達…!!よく誤解されるんだけど、本当に何もない腐れ縁って感じなんよね…!でもあいつも攻めが甘いんだよね…っなんつってね…!」
と冗談の話が盛り上がりいつの間にか約30分もの時間が経っていた。
浜口「やば…!もうこんな時間!私そろそろ戻らないと岡内さんに怒られる…。理絵ちゃんどうする?もう少し休んでる?」
理絵「いえ、私も戻ります!浜口さんに話したら気分がすごく良くなりました…!ありがとうございます…!」
浜口「オッケ!んじゃ行こっか!!」
こうして理絵は再び仕事に戻ることとなった。
理絵「西田さん先程はご迷惑掛けてすみませんでした…!今から頑張りますので研修の方お願い致します!!」
西田「お、おぅ…。なんだ人間って30分あるだけでこんなに変わるのか…。なんて力だ…。」
岡内「西田くん驚きすぎ。はい皆じゃあ業務に取り組んで-!!」
理絵は午前中に比べすっかりと元気となり前向きに仕事に集中した。
そして今日の業務も無事に終わりこれから彼との待ち合わせ場所へと向かうこととなる。
浜口「理絵ちゃん!!頑張ってね…!その優男彼氏なら絶対に仲直りできると思うから!!」
理絵「はい!浜口さん今日は本当にありがとうございました…。頑張ります…!お疲れ様です!!」
待ち合わせ場所へ向かう最中、理絵は少し寄り道をしていた。
理絵「そうだ。せっかくだから康ちゃんの大好きなシュークリーム買って行こうっと。」
彼の大好物であるシュークリームを片手に持ち理絵はすっかり仲直りできる気でいた。
こうして待ち合わせ場所の喫茶店へとたどり着いた理絵は中を覗くがまだ彼の姿はない。
先に入っておこうと思ったその時、反対側から彼らしき人物が歩いてきていた。
声を上げようとした理絵だったが、思わず動きが止まってしまった。
そう、彼の横に知らない女性の姿があった。
腕を組んでいて、何かを話している様だった。
理絵「え…どういうこと…?妹とか姉ちゃんは確かいなかったよね…?ってかなんで腕を組んでるの…というよりそもそもあの人は誰なの…」
また頭を抱え込む理絵。
まだ何が起きているか分からない理絵は、相手が誰なのかこの状況は何かどうしても気になり恐る恐る彼らにバレないよう近付き会話を盗み聞きした。
女「ねえ、うち本当に来て大丈夫なの?」
佐藤「大丈夫だって。昨日やっとあいつと別れられる理由が出来たんやから。」
女「本当?それじゃその子より私の方が好き?」
佐藤「じゃなかったらここにお前連れてきてねえよ。あいつ無駄に良い子ぶるから周りの目線もあって中々別れれんかったんよな。」
女「ってかなんで今の子と付き合ってるの?」
佐藤「いや、相当俺のこと好きみたいで結構貢いでくれてたから優しくしてたんだけどここ最近超ウザくて。」
理絵は聞いてはいけないものを聞いてしまった。
人を信じる怖さ、裏切られる辛さを人生で初めて痛感した。
今の理絵に彼らに会う度胸はなくその場を去ってしまった。
雨が降る中、傘もなくひたすらに走りとあるコンビニの駐車場で泣いていた。
理絵「昨日の心配してくれてたのは何だったの…。今日会おうって言ってたのはあの女の為だったの…。私は康ちゃんの財布でしかなかったの…。」
と理絵は雨に濡れながらずっと泣くことしかできなかった。
その時に雨が急に体に当たらなくなった。
上をゆっくり見上げると、そこには傘を差す会社の先輩の西田さんが立っていた。
西田「神山さん?どしたの。風邪引くよ。」
5話へ続く…
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