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兎になった男のよくある話  作者: 羽海 シュウ
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兎の旅立ち


俺はアレナの遺体を墓に埋め、アレナの死という事実のみで三日三晩墓の前で泣き続けた。

いつもならスライムやゴブリンなどの魔物に襲われていただろうが不思議とその間に襲われることはなかった。

馬鹿な魔物どもも空気を読んでくれたんだろうか。


しかし、いつまでも泣いているままではいけない。

時間は有限なのだ。有効に使わなくては。


兎に角行動方針を決めよう。

第一目的は人族の殲滅だな。

しかし、一匹では心もとない。しかし、話の通じる。魔物なんて見たことがない。

取り敢えずは一人でやるしかないだろう。


先ずはこの森から出ないとな。

パーティー一つが行方不明になるんだ。

調査が有ってもおかしくはない。


少なくても人間が来たんだからこの辺りに村か町はあるだろう。

アレナたちの墓から離れるのは心苦しい所はあるが仕方ない。


森を出るなら取り敢えず東か西だな。北も南も熱くなったり、寒くなるのはあまりいただけない。

二択は別にどっちでも良いんだが東にでも行ってみようか。

何が有るか分からないからどっちに行っても変わらんだろ。


俺は特に準備もせずに東へと歩き出す。

兎の体じゃ多くのものは持てないから何も持たずに軽い体で行くのが良いだろう。



半日ほどまっすぐ歩いているが、接敵も無いし、街道なども見当たらない。

広すぎるだろうこの森。いや、そういうものなのか?


然し、今の俺には歩き続けることしかできない。それ以外に出来ることがない。



俺は歩き続けて、三日ほどたった。途中で、果物などを摘まみながら歩き続けると、やっと街道が見えた。

然し見えたのは道だ。まだ町は見えていない。ま、どちらかに歩いて行けば町が有るだろう。



しばらく歩いていると人が増えてきたので慎重に行く。ここで殺してしまっても意味がない。

一気に街を壊滅させる位ではないといけない。


そのためには町をよく観察しないといけない。

その為にも町の中に入らないといけない。然し、町の中に魔物が居るとどうしてもおかしいよな。

町の周りには壁が囲ってるし、入り口には騎士のような人が立っている。侵入は厳しそうだな。


ん?何だ彼奴、魔物を連れてるじゃないか。あれか、テイマーというやつか。


それなら俺もテイムされたら良いんじゃないか?

でも人間にテイムされるのは癪だ。

然し、この世界がテンプレ道理ならあれ(・・)が居るはず。

そしてもしかしたら、町の外にも居るかもしれない。


あまり街道沿いに居て、見つかっても面白くないので、町の周りをぐるっと回ってみる。


どうやら町に入り口は二つあって最初に見つけた入り口の反対側にもう一つある。


そして、もう少し行ったところに、目当てのものを見つけた。



壁にもたれかける、ボロボロになった子供。頭には兎のような長い耳。汚れてしまって、そんなにモフモフはできなさそうな丸い尻尾。絶望した瞳でこちらを見ている。殺されても文句はなさそうだな。獣人の子供だ。


俺が近くに行くが、少しも反応しない。


『おい小僧。聞こえるか。』


獣人の子供は顔を上げた。

良かった。聞こえるようだ。


『聞こえるようだな。お前、人間に復讐するつもりはないか?』


子供はうつむいて首を横に振る。


『何故だ。お前のその傷。その汚れ。すべて人間のせいだろう。憎いとは思わ無いのか?』


『もしかして、力が無いなどという理由で諦めているんじゃないのか?』


小さく頷く。やはりな。しかしこれならいけるだろう。


『力がないのなら力を借りればいい。同じ思いを持っているもの。そう。私のような、な。』


子供は、はっと顔を上げて、こちらを見る。


「そ、そんな事、」


『出来るさ。俺がお前の武器になってやろう。お前の復讐の道具になってやろう。俺は人間を滅ぼしたい。然し、町には近づけない。そこでお前を俺は利用させてもらう。どうだ?WIN WINな関係だろう?』


「うぃんうぃん....」


『俺がお前を強くしてやろう。俺がお前に復讐させてやろう。俺がお前と戦ってやろう。どうだ?早く決めろ。協力しないなら今ここでお前を殺す。』


「...僕にできるかな....。」


『出来るさ。俺が手伝ってやる。』


「.......うん。やるよ。僕は憎い。人間が憎い。殺してしまいたい程に。」


『ならば俺が力になってやろう!俺と共に人間を殲滅しようじゃないか!』


今回は少し短めだったでしょうか?

少し速足になってしまったかもしれませんが考えているとこの展開が書きたかったんですよね。

最期まで読みいただきありがとうございます。

宜しければ次回もよろしくお願いします。では|・∇・)ノシ

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