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兎になった男のよくある話  作者: 羽海 シュウ
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兎の戦い方

『さて、リュート、これから魔術を教えるが、おぬし今自分の魔力が今どうなっているか分かるか?』


ワルスが、初めに俺に聞いてきた。


『いや、俺には魔力が見えないから、ただ体の中にある(・・)ってだけは感じる。』


しかしそれだけだ。操れる訳でも無いし、見れるわけでもない。


『では先ず。見えるようにしてやろう。』


ワルスがそう言うと、自分の角を俺の目に向けた。

今ワルスが一歩でも前に進めば俺の目はひとたまりもないだろう。


少しすると目に何かが流れてくる。

この感じはおそらく魔力だろう。今朝感じたものと同じような感じだ。

すると、ワルスの角の周りに半透明の霧のような物が見える。これが魔力か。

そのまま俺の体を見てみると全身から少しずつ霧が滲み出ていた。


『見えるようになったかい?それが魔力さ。アレナは今自分でそれが出来るようになろうとしているのさ。』


あ、だから何もしゃべらず明後日の方向を見ていたのか。


『見えるのなら操作するのは簡単だと思うよ。』


ワルスにそう言われたので自分の中に感じる魔力を動かしてみる。

すると意識下からなのか滲み出ていた魔力は止まり、角や足、目などに動かすことが出来る。


『おや、凄いねぇ、まさか本当にできるとは。アレナなんてもう1か月もたってるのに見るのでもやっとですよ?』


少し褒めるようにワルスが驚いた。


『ちょっと!私は関係ないでしょ!リュートが凄いだけなの!私でも早いっておばぁちゃん言ってたじゃない!』


『そうなんですか?でもなんで俺はこんなにも出来るんでしょうか?だってまだ生後数日ですよ?』


『なんと!数日でこんなに成長しているとは、やはり血の影響が大きいのかのう?』


『血の影響?』


『そうじゃ。真っ白な毛は血が混ざっていない分前の代の力を継いだ子が生まれやすいじゃよ。』



そうなのか。じゃあ魔法も使えるんだろうか。


『しかし魔法は駄目じゃ。魔法には詠唱が必要になる。念話とは別で声に出さなければならない。声とは力になるのじゃよ。』


『そうですか...。』


『そんなにがっかりしないの!私たちには魔術が有るんだから!』


俺があからさまにがっかりしているとアレナに励まされた。


『ん?魔術と魔法ってどう違うんだ?』


『そうだねぇ、魔力だけを使うのが魔術。魔力に言霊による力を合わせて使うのが魔法かねぇ。』


なんだそれはどう変わるんだ?


『具体的にはどう変わるんだ?』


『えっとね、魔法は言葉で神とか精霊とかに協力してもらって、魔力を火に変えたり出来るんだけど、魔術は魔力以上には変わらない。形を変えたりはできるけれど、火にしたりはできないの。で、合ってるよね?』


『ああ、合ってるよ。』


ワルスとアレナの解説で大体わかった。しかし諦めきれんな。これは心に残りし厨二病心に火がついてしまったな。

どうにかして魔法を覚えよう。そのためにの暫くは魔術のお勉強だな。


『すまないが、暫くここに置いてもらってもいいか?行く当てもないので。』


『勿論よ!ね?おばあちゃん!』


『ええ、良いですよ、仕事はしてもらいますけどね?』


『勿論ですよ。では、暫くお願いします。』





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次の日目が覚めるとまだ薄暗い巣の中だった。歩いて外に出る。どうやら二人はまだ寝ているようだ。


二人が寝ている間に魔力でちょっと試すか。せっかく憧れの魔力を手に入れたんだ。魔法は使えなくてもそれに似たようなものは使えるようになりたい。


先ずは魔力で壁を作る。少しつついてみてもびくともしない。

魔力を操るなんてずっとと憧れていたからたやすいもんだ。


今度は魔力の密度を下げてみる。

叩くと割れてしまった。


その後、箱を作ったり、道具の形にしてそのまま操ってみたり。

色々試していると日が昇ってきた。アレナたちも起きてくるようだ。今日はどうしよか。ずっと魔術やってたいんだよなぁ。


『あ、リュート、おはよ、何してるの?』


『おはようアレナ、魔術をちょっとな。ああ、そうだ、食べられる魔物って知らないか?』


『知ってるよ、私たち。』


『ん?』


『だから私達だって。よく人間が捕りに来るよ?』


え、まじか、でもそうだよな。兎だし、食うか。


『じょ、冗談冗談!ごめんね、そうだよね、リュートの親も...。』


『あ、ああ、いや、大丈夫だ。』


俺が黙って考え込んでいるとアレナが焦って謝ってきた。

笑えない冗談だよほんと。ん?俺の親も?


『で、食べられる魔物なんだけど、この辺ならイノ獅子かなぁ。』


『猪か、分かった。あと、そいつの巣と主食を教えてくれ。』


『巣は一緒に行くとして主食は肉だよ?凶暴だし。』


『そうか、いつからいける?』


『今すぐいけるよ!朝ごはんは行きながら食べたらいいしね。』


まぁそうだな。

俺たちはそのまま出かけた。


アレナの案内で採取しながら進む。

暫く進むと数匹の生き物気配をみつけた。茂みから覗いてみると立派な鬣を持った猪、いや、イノ獅子だな。体はイノシシなのに顔が完全に肉食獣だ。ネコ科だろうな。





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『よし、始めるぞ、頼む。』


『えー、ほんとにやるの?...や、やるよ?』


アレナは恐る恐ると俺の体に傷を付ける。


『よし、ありがとう。行ってくる。』


アレナの心配そうな見送りを受けて準備を終えた俺は巣の方向に向かう。

イノ獅子に気づかれるかどうかのギリギリのところまでゆっくりと近づいていく。

すると一匹が気付いたのかこちらに近づいてくる。それにつられた他の奴も来た。

大体10匹位だろう。囲まれると先ず勝ち目はないので少しずつ足を速める。それに合わせて俺の血の匂いで興奮したイノ獅子もスピードを上げる。しばらく進み準備していたポイントに誘い込む。

ポイントに来た俺は立ち止まり、無防備な姿で倒れる。興奮しているイノ獅子はこちらに突進してくる。

そのイノ獅子の目の前に魔力の壁を作る。

イノ獅子は見事に壁にぶつかり、そのタイミングで埋めていた魔力の板を消す。

まぁ落とし穴みたいなもんだ。

俺についてきたイノ獅子は見事にはまり、すべてが穴に落ちる。


上手くいったな。

アレナに報告しに行くか。

最期まで読んでいただきありがとうございます。

相変わらず不定期でございますがよければ続きも読んで下さいお願いします。

では!|・∇・)ノシ

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