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兎になった男のよくある話  作者: 羽海 シュウ
12/31

兎の殲滅

今回は割と早く投稿できてよかったですよ。

良ければどうぞ読んでいってください。

ゴブリンのコロニーの近くまでやって来たが、予想以上に量が多い。だが、逃げるほどでもないだろう。


『さて、殲滅するとしよう。』


「あの、ちょっと良いですか?」


『なんだ?』


「リュートさんって魔物ですよね?今更ですけど倒しちゃってもいいんですか?」


『別に大丈夫だ。ゴブリンなんぞ低能な生き物に同族的な感情を抱くことは無い。そもそも魔物だからと言って何か思う所が有る訳でも無い。俺は完全な同族であろうと敵になるのならば躊躇なく殺す。』


ま、もともと人間だったからって言うのもあるんだけどな。


「そ、そうですか。」


あ、これは引かれたかな?ま、大丈夫か。


『さて、改めて行こうか。よく見ておけ。姿や大きさが違えど、サポートするときなどに動きを覚えているのは良い事だ。まぁ、今回は俺一人で行くがな。』






----------------------------------------------------------------------------------------




俺はヘレスを連れて洞窟の様なコロニーの中に入っていく。ゴブリンにも既に相当な数接触しているが、見つけ次第自慢の角で貫いている。

ヘレスには後ろを警戒させている。まぁ、そちらには何もいない事は分かって居るんだが、何かしたいと言い出したので、形だけでも仕事を与えた。


暫く倒し続けているが、奥に行けば行くほど、ゴブリンの練度が上がっていく気がする。が、しかし所詮ゴブリン。何も考えずに突進しているだけでゴブリンの数は減っていく。

それと同時に、洞窟に建物らしさが増してくる。まるで城に様になっている、然し手応えがないのでそろそろ飽きてきた。

ヘレスももう十分見ただろう。


俺は洞窟の自分より前方地面に薄ーく魔力を広げていく。

出来るだけ魔力の消費を減らすために敵の気配を頼りに最小限の数の棘を生やす。視認できるだけでも自重により、ゴブリンが刺さっていく。


『ヘレス、恐らくもう全て全滅した。俺はもう疲れたから寝る。もし生き残りが居たら逃げろ。じゃ。』


俺はヘレスの頭に乗り、気絶するように眠る。


「え、はい、あの、何したんですか?あ、え、もう寝ました?その、えぇ。」





----------------------------------------------------------------------------------------





「リュートさん、町に戻りましたよ。」


『ん、ああ、ありがとう。ちゃんと回収したのか?』


「はい、ちゃんとできましたよ!ほら。」


俺に貸し出しの袋を見せてくる。袋はぎちぎちにゴブリンたちの耳が詰まっている。


『それじゃぁギルドに報告だな。俺はまだしばらく動けないから頼む。』


「あ、はい。」



ヘレスに歩かせて、ギルドまで向かい、報告すると案の定騒ぎになる。


「おいおい小僧、こんな数のゴブリンどうしたんだ?半日で集まる数じゃねぇぞ?もしかしてコロニーを壊滅させたんじゃねぇだろうな?だっはっはっは、そんな訳ねぇか!」


「いえ、その、そう、なん、です。」


「え?なんつった?」


「いえ、ですから、壊滅しました。コロニー。」


「「「「ええぇぇ!!!」」」」


壊滅の一言でギルド内の人たちが騒めく。



「ほ、ほんとなんですか?!ちょっと、それ貸してください!」



受付嬢のサイレスがバンから、袋をぶんどる。


「た、確かにこの量ならコロニーを壊滅させていても不思議でもありません。ちょっと鑑定したいので報酬は明日でも良いですか?!」


「あ、はい、大丈夫です。」


『お、おい!先に宿代だけでも貰っておけ!お前は今無一文なんだぞ!』


「あ、そ、そうですね。あの、宿代だけでも、もらえませんか?」


「え、ええ、大丈夫よ、元々の調査の報酬の額を先に払うわ、それで良い?」


サイレスが、カウンターの下からお金の入った袋を取り出し、へレスに渡す。


「これで一週間は生活できると思います。」


「おう小蔵!宿探してんならおすすめがあるぜ!ついてきな!」


「え?あ、ちょっと、まって。」


金の入った袋をヘレスが手に取るとバンがヘレスを引っ張って連れて行く。


俺はどうせ街中じゃ何もできないのでまたひと眠りする。魔力が足りないと異様に眠たくなるんだ。




「リュートさんリュートさん、ご飯ですよ!おいしそうな!」


『なんだうるさいな、そんなに興奮しなくてもいいだろ?』


「だって、こんなにおいしそうなご飯いつ振りか分からないですよ!」


目が覚めると宿の込み合った食堂に居た。

目の前には味の濃そうな料理が並んでいる。これは冒険者に気に入られるだろうな。


『分かったから大きな声を出すな。そして少しは分けろ。』


ヘレスに分けてもらいながら二人で飯を進める。

と、扉が勢いよく開く。


「おう小僧!食ってるか?!」


「あ、バンさん!はい!すごくおいしいです!」


「そうかそうか、そりゃぁ良かった。あ、おばちゃん!酒くれ酒!」


「あいよ!」


厨房に居る人にバンが声を掛ける。


「それにしてもよくあんな数のゴブリンを討伐したな!何かやってたのか?」


「いえ、今回はリュートさんがやってくれたんですよ。」


「リュートさん?誰だそれは?もしかしてこいつか?」


バンが俺の頭を触れようとしたので角で弾く。


『気安く触れるな人間が。』


「あはは、ちょっと人見知りなんですよ。」


「はっはっは!なら仕方ねぇな!一般人に手を出さないようにしとけよ?」


しまった、ついやってしまった。

あぁもう眠たいんだよもう変な気を張らせないでくれよ。


「あ、あの、僕もう部屋に戻りますね。」


「お、確かに今日は疲れただろ!ゆっくり休みな!」


「はい、ありがとうございます。」


俺が疲れたようにため息をつくとヘレスがどうやら気を使ってくれたようだ。

ほんともう眠い。意識は保てるけれど眠気が凄い。

今日は数年ぶりにベットでゆっくり寝れるよ。


最期までお読みいただきありがとうございます。

次回も早めに書きたいとは思っているので応援してくれると嬉しいです。

良ければ次回もよろしくお願いします。

では|・∇・)ノシ

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