不審者?こすぷれいやー?
「おい、あの握り飯を出せ」
食堂で昼休憩をしている時に、突然その人は現れた。
「は………?」
✴
まず驚いたのは、容姿だ。
突然食堂に現れたその男性、髪が透き通るような銀色なのだ。
肌も雪のように白く、
なんだか田舎の風景から異彩を放っている様に思う。
しかも巫女さんみたいな赤白の袴をきている。
(これが噂のこすぷれいやーだろうか…
でもそれにしては貫禄…というかオーラがある気がする)
それに眼の色まで銀色なのだ。
銀色のカラコン?そんなのある???
「あらぁ〜稲荷様じゃない!」
私が完全に不審者に向ける視線を送って黙っていると、
隣の長机に座ってお茶を飲んでいた
佐伯のお婆さんがその人に話しかけた。
「佐伯の婆さんか、
蜜柑甘くてうまかったぞ」
「よかったわ〜
息子夫婦が送ってくれたのよ〜」
しかもそのこすぷれいやーさんと普通に会話しだした。
え?
このこすぷれいやーさんも村人なの?
お裾分けとかしちゃう間柄なの??
おもわず昼食の蕎麦を食べる手が止まる。
すると
外の長椅子でおにぎりを食べて話し込んでいたお爺さん達も、その人に気づき、話しかけてきた。
「お〜〜稲荷様かぁ!姿みせんのは久し振りやなあ!」
といって背中をべしべし叩き出してしまった。
「こら、痛い。」
「なんじゃお供え物たかりにきたんかー」
「…まぁ、そんな感じだ。」
なに、このフレンドリーな空間…
私だけ疎外感が!
というか誰だこの人!
皆古い友人にあったみたいな反応で、混乱する
「あ、あの…その人、誰ですか?」
お婆さんやお爺さんが私に目を向け、
笑いながら答えてくれた。
「この人はねぇ、稲荷様。
この村にある、稲荷神社の神様なの。」
「…………えぇ?」
神様ってこんな身近な存在だっけ?