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めがさめたら、田舎にいた。  作者: カモミール3世
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第一話・死にかける。








ドンドンドン!ドンドンドン!!!



倉田くらた!いるのはわかってんだよ!!

 はやく金返せクソ家族!」




安アパートのドアの前で、

いかつい借金取りが元気よくドアを叩きまくっている。

私は黙って両手で耳を塞ぐ。




ドンドンドン!!!


「……。」


「ぐお〜むにゃむにゃ…」



借金した当の本人の父は、私の隣で

酒瓶を後生大事に抱えたままいびきをかいて…寝てる。


顔が真っ赤で茹でだこみたい。

いっそたこ焼きの具にしてやりたい。



私は今年で18歳になる女子高校生の倉田 幸(くらた さち)

18といえば青春真っさかり…って思いますよね?


無職で酒乱で、

おまけに借金がある父親をもった女子高校生が

青春できるわけないですよ…!


高校だってアルバイトにいくためにここ2週間はいけてないっていうのに!


どんな女子高校生だよ!!!!

腹が鳴りすぎて胃に蛙が住んでるみたいなんだよ!


今日はもう借金とりが帰りそうにない…

アルバイトにいけない…、晩御飯がかえない…。


近くのパン屋に耳ばかり貰いに行ってたら私が店に入った途端

ため息半端なく聞こえてくるんだよな…




「はぁ……。」

私はヤケになって、父親が抱える瓶を剥ぎ取った。

ぐいっと持ち上げ、全てを胃に流し込む。



「…………おえっ。」

(空腹はおさまったけど…うおおおお吐きそう…!



……もう駄目だ)

私は目の前がチカチカするので目を瞑ると、

そのまま意識がぷつん、と深い暗闇に沈んだ。



最後まで、 

ドアを叩く音と父親の凄まじいイビキが聞こえていた。

 





       暗闇で私は思う。



(ああ……

 なんで私ばっかりこんな不憫な事が起こる訳?




 私も普通の高校生みたいに勉強したいよ。




 私も普通の高校生みたいに友達と笑いたいよ。




     私も…普通の…












        穏やかな日常を…)



           ✴



           ✴


           ✴

           ✴








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