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「記憶障害」第九話

裕翔「一週間も何処に行ったのかと思いきやこんな田舎に来てたんだね。黄葉、一週間も帰ってこないから心配したんだよ?さぁ、もう帰ろう?」


黄葉「ヤダ…帰らない。」


裕翔「なんで?もしかして…琉斗に何か言われたのか?」


黄葉「別に何も言われてないし」


裕翔「へぇ、黄葉は俺より琉斗を選んだのかい?」


黄葉「そうだよ。」


琉斗「だとよ。あまり女の子にしつこくすると嫌われるぞ?」


裕翔「はっ、ふざけんなよ?」


琉斗「主様にそんなこと言っていいのか?」


裕翔「それは昔の話、今は違うだろう?」


琉斗「今もそうだぞ」


裕翔「は?」


琉斗「執事と言う契を昔交わした以上、今も昔も変わりやしないさ。」


裕翔「そうだとして、それがなんだ!今更昔の事を思い出したって何もかも遅い。」


琉斗「そうだな、遅いよな。でも、遅くてもいい、俺は黄葉を守る事には変わりはないし好きな事にも変わりやしない。」


黄葉「僕も琉斗が好き。

だから、裕翔の方には行けないよ…何があろうと行けない…」


裕翔「じゃぁ、消すしかないってことだよな?その黄葉の言葉は琉斗を消してもいいってことだよな?」


黄葉「消してもいいとは言ってないけど、消せるもんなら消してみなよ。」


琉斗「俺は消えない。石だがなんだが知らねぇけど、そんなので俺は消えない。」


裕翔「消そうと思えば消せるさ。」


琉斗「そうだとして、俺を捕まえなきゃ意味無いだろ?」


裕翔「昔は暴れ坊さんで鍛えてた琉斗だろうが、数年間何もせずにただ、一日一日をのうのうと過ごしてたら力も衰える、だとすれば、捕まえるのは容易い事」


琉斗「確かに力なんて無いよ。」


黄葉「力が無くても別にいいんじゃないかな?」


裕翔「何が言いたいんだ?」


琉斗「黄葉が言いたいのはな?お前に足りないものがある事だよ。それは、力でも無い。」


裕翔「それ以外に何があるんだ?」


黄葉「力こそが全てなんて思っちゃ行けないよ?

その石を持ってるからって100%勝てるってわけじゃないよ。」


琉斗「お前に足りないものはそう、知恵だ。」


裕翔「知恵?そんなの誰だって持ってるだろ?」


琉斗「あぁ、そうだ、でもな?怒りに身を任せてたら考える事なんて頭に無いよな?つまり、計画も立てれないわけだ。」


黄葉「僕達はもう頭の中で計算しているんだよ。」


裕翔「五月蝿いなー、んなのどうでもいいよ。」


琉斗「一つだけ質問」


裕翔「あ?なに?」


琉斗「どうしてそこまでして、黄葉を手に入れたがる?

普通は諦めるしかないはずだが?何故諦めない?」


裕翔「いってもいいが、長話になるけどいいのか?」


琉斗「別にいいさ」


裕翔「そうか。

俺はさ…昔から黄葉に惚れてたんだよ。

でも、俺は執事で主の言うことは絶対だった。主と居て楽しいし別に執事になったことは嫌だとは思っていない、それは今もそうだ。

何より優しくて元気だったから、寧ろその明るさに尊敬していた…。

でも……ある日突然…主が主では無くなった日があった。」


琉斗「俺が俺じゃなくなった?」


裕翔「俺とか黄葉の記憶が一切無かったんだ。」


琉斗「は?」


裕翔「医者に聞いたら記憶障害だったらしい。

でも、数時間とか数日経ったら元の主に戻っていてそれが段々エスカレートして行った。

だから、主は遠い街へと引っ越すことになったんだ。

街へと行ったら本当は病院生活を送るはずだったんだよ。

でも、街の医者はどれも約立たず、殆どの医者は患者を見ても適当に対応していた。

そして、普通に昔の事を思い出さないままこのまま中学校や高校生活を送らそうとお前の家族は考えた。」


琉斗「そんな事になってたんだなぁ…んで、今のお前の現状と関係あるのか?」


裕翔「俺はな?昔の事を思い出して欲しかったんだよ。

なんで、大切な人も忘れるんだよ!黄葉がどれ程泣いたと思う!?

あんな悲しい顔を見るのは辛かったんだよ。

だから近づいた。

黄葉にも琉斗にも…そして、黄葉を脅して、琉斗に近付いて消そうとした。

でも、やられたよ。そう簡単には消させてくれないんだね。」


琉斗「そうだな、やられたりはしないし、お前は勝手に傷ついてるだけ、昔では無い今の黄葉の気持ちを考えた事はあるか?」


裕翔「んなこと今の俺は知らない。

いや、知らなくてもいいことだ。」


琉斗「今の黄葉は俺といたほうが幸せなんだよ。」


裕翔「黙れ」


琉斗「黙らないよ。もう終わりにしよう。」


裕翔「黙れよ。」


琉斗「こんな事してたらお互い嫌な気持ちにもなるだろ?

だからもうこんなことよせよ、黄葉の為にも」


裕翔「もう遅いんだよ!一生そのまま残酷な夢を見とけ!」


黄葉「あ!琉斗!」


黄葉がそう叫んだ瞬間、鈍い音がして俺の意識は途絶えた。

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