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「約束と駆け落ち」第七話

琉斗「はぁ……今日は……学校に行く気分じゃないな……休もうかな……」


無理して学校行く必要も無いよな……?

だって…あんな事を聞いたら信じたくないのに……信じてしまう…

私の存在を消す…か……

昔は消されたいと願ったことはあるけれど、今は消されたくはなかった。

私という存在を消されたら私はどこへ行くんだろうか……天国か地獄か……それとも、天国でも地獄でも無い場所なのか…


琉斗「って、何考えてんだろ……」


溜息をつきながら、母親に学校を休むことを伝えたのだった。


琉斗「息抜きとして散歩したいな…ってあれ?」


私はおかしなことに気づいた、それはどうしてこんな面倒くさがりが散歩に行きたいのか、でも、無性に散歩がしたくて落ち着かなかった。


琉斗「黄葉とこの前散歩したからその名残かな……ちょっと散歩しに行くか……」


そうして私は外に出て、公園の近くの池に行くのだった。


琉斗「やっぱり、外の空気は新鮮で美味しいよな…これを教えてくれたのは誰だっけな……昔は外の空気が大好きだったのに…何故かちょっと前は外すら出たくなかったんだよな……なんでだっけ?」


何かが足りない、何かが…私の近くにいるべき人が居ない。

それは一体誰だったんだ?昔、私に恋愛というものも外の世界の広さを教えてくれたのは誰だったんだ?

約束を交わした……それはどんな約束?


琉斗「なぁっ…!」


そもそも約束ってなんだ?

どんな約束だ?

私は昔、そいつが好きだった……大好きだった。

凄く元気で明るくて……五月蝿くて……?

五月蝿くて、そいつ居ると心が落ち着いて、いつも…私の気持ちを考えないで私を振り回す…私を外へと引きずり出すのは…こんなに懐かしい気持ちになったのは…


黄葉「今度会ったら結婚しようよ!」


琉斗「そっか……幼い頃の私達はそんな事を約束してたんだよな…少しの間だけ、遠くへと行く私が去る間際に…そんな約束を交わしたんだったな。

思い出したよ……お前だったんだな……柊黄葉……あの夢は夢じゃない。昔の記憶……現実だ…約束したのも現実だ。あの少女は黄葉だ。

昔、あの日あの場所で……私達は…約束を交わした。」


取られたくない。

裕翔と言う奴に取られたりなんかしたくない。

もしも……麗奈という奴の言葉が本当ならば…


私は走った。夢中で走った。

何処にいるのか分からないのに我武者羅に走った。


琉斗「どこだ……?黄葉……」


麗奈「何処に行くの?」


琉斗「あ?な、なんだ、お前……学校は?」


麗奈「休んだわ」


琉斗「な、なんでだよ…」


麗奈「言ったでしょ?心が分かるって……だから、琉斗がどんな行動を移すか分かってたのよ。」


琉斗「そうかよ……」


麗奈「柊さんが居る場所は…裕翔の家だよ。」


琉斗「だろうと思うけど、裕翔の家なんか知らねぇよ。」


麗奈「この道をずっと行けば、突き当たりに裕翔の苗字が書いてるわ。」


琉斗「そうかよ!」


そう言われ、裕翔の家まで走った。


麗奈「前言撤回……貴方は強く勇気ある男よ。」


そう麗奈の声が聞こえた気がする。


そうして、裕翔の家に上がり込んだ。


琉斗「黄葉っ!どこだ!」


黄葉「えっ……?琉斗……?」


琉斗「だ、大丈夫か!?」


黄葉「え?なにが……?」


琉斗「な、なにが?じゃねぇだろ!学校一週間も来ないで!」


黄葉「えっ?あー……」


琉斗「裕翔の家にお前は何でいるんだよ!」


黄葉「え?だって…僕……裕翔と結婚するんだもん……だから、同居してるだけだよ?」


琉斗「…嘘はよせ」


黄葉「え?何言ってるの?嘘じゃないよ?」


琉斗「今の私は……いや、今の俺は…全て思い出した。

お前は…隠すのが上手い、嘘が上手い、だが、昔の事を思い出した俺に隠せると思うなよ?お前の心ぐらい見透かせてるんだ。」


黄葉「…………なんで、こんな時に思い出すのかな……裕翔と結婚する事になったのは…琉斗が消されるからなのに……」


琉斗「どうせ消されるさ」


黄葉「え?」


琉斗「脅されてるのかもしれないがアイツ昨日態々、俺の学校に転校して来たんだ、何故だか分かるか?」


黄葉「え?あ……」


琉斗「そう、俺に近づく為、俺を消す為」


黄葉「嘘!結婚したら琉斗は消さないって……」


琉斗「黄葉と結婚して俺と言う存在を消したら黄葉は俺の事を忘れるから悲しみも消えるし俺の存在が無くなったら消されたら何も元からいない存在だったってことになるから黄葉は寂しがりもしないし、アイツ自身の俺への嫉妬心も消えるまさに一石二鳥の作戦だってな。」


黄葉「そんな……」


琉斗「だから、黄葉……駆け落ちしよう!」


黄葉「え!?」


琉斗「お前が俺を振り回した分、俺に振り回されろ!行くぞ!」


黄葉「え!?え!?ちょっ!?」


そう言って、俺は黄葉の腕を引っ張って街から連れ出し電車に乗るのだった。

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