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「転校生と石」第六話

琉斗「今日も来てないな…ったく、どうしたんだよ、風邪でも引いたのかよ。」


あれから、一週間が経ったが黄葉が学校に来ることは無かった。


琉斗「黄葉がいないと私はぼっち生活なんだが……まぁいいか、ぼっちはぼっちで慣れてるし」


「ふーん」


琉斗「あ?誰だお前」


私は暇だったので普通に空を見上げていると私の隣に女の子が私を見て立っていた。


麗奈「あ、私は麗奈よ。」


琉斗「何か用?」


麗奈「いつも一緒の彼女さんは居ないのかしら?」


琉斗「彼女さん……?」


麗奈「ほら、あの柊さんよ。」


琉斗「は……?」


麗奈「その反応だと彼女じゃないの?」


琉斗「当たり前だろ!?なんであんな奴が彼女なんだよ!?」


麗奈「いつも一緒に仲良く話してたからさ、そう思ったし、多分このクラスもそう思ってるんじゃない?」


琉斗「嘘……だろ……と、友達ってだけだし!」


麗奈「ふーん、そうは見えないけどね。」


琉斗「何が言いたいんだよ…」


麗奈「別にー、後さ、今日転校生が来るんだって」


琉斗「転校生?」


麗奈「そうそう、この時期に珍しいもんね。」


琉斗「確かに…まだ私達は入学したばっかりだぞ…」


麗奈「ホントよね、まぁ、入学して2週間は経ったけどね。」


琉斗「いやそれでもまだ早いって…」


麗奈「まぁね。じゃ、そろそろ、席に着かなきゃね。

バイバイ。」


琉斗「お、おう……」


なんだあいつ……何がしたかったんだよ……

そう心中で呟いたのだった。


慧音「皆席に座ってるか?今日は、転校生が来て、このクラスになったから、紹介するぞ。入ってくれ」


そう先生が言うと、転校生が教室の中に入って来た。


裕翔「楮原裕翔です。よろしくお願いします。」


琉斗「裕翔か……」


慧音「席は…琉斗の後ろの席が空いてるそこに座れ」


琉斗「え?」


裕翔「分かりました。」


そう言われ、転校生が私の席に来る。


裕翔「よろしく!」


琉斗「よ、よろしく……?」


そう私は戸惑いながら挨拶を交わしたが、その時に転校生は私の事を睨んだ気がした。


あれ?そう言えば、この転校生…前黄葉と遊んだ時に見た男の人か?なんか似てるんだが……?

そう思いながら朝礼が終わり、私は転校生に声をかけようと後ろを振り返ってみた。


琉斗「うん?」


その転校生はずっと、私の隣の席の黄葉の席を見つめていた。


琉斗「おい、お前…」


裕翔「え?あ……裕翔って呼んでくれてもいいよ。」


琉斗「なら、裕翔、さっきから私の隣の席を見つめているがどうしたんだ?」


裕翔「あそこは黄葉さんの席だよね?」


琉斗「うん?そうだが、なんで知ってるんだ?」


裕翔「黄葉さんから聞いたから」


琉斗「なんで聞くんだ?」


裕翔「好きだから」


琉斗「は?す、好き?」


裕翔「そう……好き……勿論、恋愛としてね?」


琉斗「へ、へぇ……」


裕翔「だから、この前、琉斗君といる時に嫉妬しちゃったんだよねぇ……だから、遊んで欲しくない…」


琉斗「そんなこと言われても私には関係ないし、そもそも、恋愛というものが分かりまへん。」


裕翔「そうだね。

でもいつか、分かる日が来るよ。」


琉斗「分かりたくもないな」


裕翔「どうして?」


琉斗「よく分かんないけど、恋愛って辛いだろ、そんな感じがする、あと面倒臭い。」


裕翔「確かにね。」


麗奈「話は聞かせて貰ったわよ。」


琉斗「またお前か…ってか、話聞いてたのかよ…今度は何しに来たんだ?」


麗奈「裕翔は柊さんの事が好きで、琉斗は友達としか思ってないと」


琉斗「それがなんだ…」


裕翔「誰……かな?」


麗奈「あ、私は波崎麗奈よ、よろしくね。」


裕翔「よろしく」


琉斗「私の時は苗字を言わなかったのに何故こいつにだけは言うんだよ。」


麗奈「何嫉妬?」


琉斗「ちげぇよ。」


麗奈「転校生だから」


琉斗「な、なるほど……」


裕翔「二人はどういう関係?」


琉斗「ただの友達」


麗奈「そうそう」


裕翔「ふーん」


麗奈「ねぇ、裕翔君は柊さんの何処が好きなの?」


裕翔「健気な所とか後綺麗な声に綺麗な顔に困ってる人をついつい助けちゃう所かな」


麗奈「なるほどね。」


琉斗「困ってる人をついつい助けちゃう……?」


裕翔「そうそう。」


琉斗「困ってる人……」


裕翔が言ってた事……遊んで欲しくない…?


琉斗「裕翔は何か困ってたりしてるのか?」


裕翔が黄葉の事を知ってるから黄葉とは知り合い関係。

だから、黄葉が来ない理由とか裕翔が関連してるのか?

何故かそう思ってしまう。


裕翔「うーん……学校には来ないで、俺の傍に置いておきたいかな…でもまぁ、それは、叶わない話だけどね。」


琉斗「そうか……」


麗奈「……琉斗、ちょっと来てくれない?」


琉斗「え?あぁ……ちょっと行ってくる」


裕翔「うん、分かった。」


そして、私は麗奈に屋上まで連れ出された。


琉斗「屋上まで来てどうしたんだ?別に廊下でも良かったんじゃ?」


麗奈「廊下だと人が沢山いるでしょ?ここなら、人が来ることはないし」


琉斗「確かにそうだな。」


麗奈「柊さんのことさっき考えたでしょ?」


琉斗「え?そうだけど?」


麗奈「最近来てないもんね。友達として心配するよね。」


琉斗「ま、まぁな、一応あんなやつでも友達だからな。」


麗奈「私ね、人と喋ると大体その人の心が分かっちゃうんだよね……」


琉斗「そんなこと誰が信じるかよ。」


麗奈「そうね、じゃぁ私は何故、琉斗が柊さんの事を考えてるのか分かったと思う?」


琉斗「え?あ……は?」


麗奈「それは、その人の思ってることが感じ取れるから」


琉斗「そうだとして、それがなんだよ……何が言いたいんだよ」


麗奈「柊さんは裕翔に誘拐されたんだよ。」


琉斗「は?誘拐……?」


麗奈「そう、愛おし過ぎて彼女を傍に置くために……」


琉斗「な、なら何で裕翔は学校に転校生として来たんだよ。」


あまりの急展開に私は頭が混乱していた。


麗奈「それはつまり、貴方という存在を消しに来たんでしょうね。」


琉斗「な、なんでだよ、私と黄葉は友達ってだけでカレカノ関係でもないのに、なんで私を消しに来るんだよ……ってか、存在を消すなんて出来ないだろ…常識的に考えて」


麗奈「黄葉はね?貴方に恋心を抱いてるのかもしれないわね。だから、消し去る。そして、どうやって消し去るのかそれはね?この世には非現実的な事が起きることだってあるの。この世に一つだけ人の存在を消し去る石があるの。自分の消したい人の胸に石を押し付ける、そしたら、あら不思議粒子となって消えるわ。」


琉斗「わ、訳が分からん……」


麗奈「ふふ、そうね。でも、もう分かってるはずだよ。

それから、その石を手に入れるためには鍵が必要。

鍵と言っても人間だけどね。」


琉斗「鍵?なんだよ、人が鍵って……」


麗奈「いつか分かるわ。」


琉斗「わかんないって!急にそんなこと言われてはいそうなんですかと言える訳ない!

なんなんだよ!私は普通の高校生だ!なのに!誘拐とか!私を消すとか!わけわかんない石とか!なんだよ!」


麗奈「……そう、貴方は所詮それだけ……」


琉斗「え……?」


麗奈「貴方は弱かった。それでいいかしら?」


琉斗「……あぁ……私は弱いさ……」


麗奈「じゃぁ、もう戻りましょ…」


麗奈にそう言われ、私達は教室へと戻り、心がモヤモヤしながら今日一日を終わらしたのだった。






琉斗「意味わかんねぇ……」

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