「家での憂鬱」第三話
琉斗「おはよう……なんて……な」
いつもの朝がやってくる。
それは別にいいのだが、今日はやけに動くのが怠いし、憂鬱だ…
ただ、この朝はやはり憂鬱になる。
「おはよう」と言って、学校の支度をするなんて、朝だけは同じような日々。
琉斗「清々しい朝があればいいのにな」
とかそう言葉を零し、繰り返される朝に憂鬱を感じ、ネガティヴになる私である。
琉斗「病み期でも来たのか?
はっ、馬鹿馬鹿しい。」
そう苦笑いして学校の支度をしていたら、お母さんが声をかけてきたのだ。
母「今日は学校…休んだら?」
琉斗「え?なんで?急に……」
母「顔色悪いよ?」
琉斗「え?そう?」
母「えぇ、私はそう見えるけど」
琉斗「え?私は大丈夫だよ?」
母「なら、いいんだけどね…」
琉斗「まぁ、心配は要らないから行ってきます。」
母「行ってらっしゃい。」
ガチャ、とドアを開けて外に出たら、嫌な予感はしていたがやっぱり、黄葉がいた。
黄葉「やっ、おはよ!」
琉斗「またかい」
黄葉「まただよ!」
琉斗「学習しない奴だな……」
黄葉「何を言ってるんだ。
この僕が学習するとでも?」
琉斗「あ、オマエハソウダッタナー」
黄葉「何その棒読み!?」
琉斗「え?ナンノコトカナ?」
黄葉「ぐぬぬ……」
琉斗「ほら、行くぞ」
黄葉「え?もう行くの?」
琉斗「もうって……昨日の件で遅刻しただろうが……」
黄葉「あっ、そっか」
琉斗「おい…忘れてたのかよ…」
黄葉のその天然さに私は呆れを覚える。
黄葉「忘れるのは仕方が無い!」
琉斗「仕方なくねぇよ!?
社会出て「あ、忘れてました。」なんて言えると思うか!?」
黄葉「ふっ、残念だが今は学生の身なんだ…社会にまだ出てないよ?頭大丈夫?」
琉斗「大人になったらの話だよ!?」
黄葉「え?大人?ナニソレオイシイノ?」
琉斗「美味しくないから安心しろ。」
黄葉「美味しいの好きなのに、美味しくなかったらどう安心すればいいの?」
琉斗「大人は食い物じゃないから!?」
黄葉「そうなの?」
琉斗「そうだよ!ってか、ボケるのもいい加減にしろよ!?」
黄葉「なら、僕今から真面目になる。」
琉斗「それはそれで楽しくないのでやめてくんしゃい」
黄葉「最後だけ言語が可笑しかったけど…やっぱり、病院いく?」
琉斗「殺すぞ?」
黄葉「こりゃ、女の子に殺すぞなんて言ってはいけません!」
琉斗「知らんな!」
黄葉「ダメだこいつ早く何とかしないと…!?」
琉斗「それはこちらのセリフでっせ」
黄葉「やっぱり、言語おかしいよ、病いn…」
琉斗「その下り2回目やわ!」
黄葉「え?嫌だって言語が可笑しかったんだもん。」
琉斗「気にしたら負け」
黄葉「気にしてしまうのが僕なのである!」
琉斗「あ、そう」
黄葉「だから、気にするぜ!」
琉斗「あ、そう」
黄葉「いやほかになんかいう言葉あるでしょ?」
琉斗「あ、そう」
黄葉「冷たっ…僕なんかした?」
琉斗「自分の胸に手を当てて聞いてみたらわかると思う。」
黄葉「琉斗って…へ、変態……?」
琉斗「そっち方向に持っていくお前の方が変態だと私は思うけどな!?」
黄葉「さて、もうすぐ、学校に着くよ?ここから、教室まで誰が先に着くか競走しようよ。
勝った人はその人に奢る。
勿論、参加しなかったらその時点で負けね。」
琉斗「は?」
黄葉「じゃ!よ〜いドン!」
そう勝手に言って先に黄葉が走って行く
琉斗「え!?ちょっ!?待てって!おい!?」
琉斗「ったく、自分勝手な奴!」
そう言い、私も走ったが……
結果は黄葉が勝ったのだった。
黄葉「よっしゃぁ!!これで、奢って貰えるぞー!!」
琉斗「あれは、反則だろ、なんで、私の意見も聞かなかったし、なんで、先に行ったし 」
黄葉「意見もクソもないよ。
琉斗は負けたんだ!」
そう言って黒笑を零す黄葉である。
なんて恐ろしいんだ。
琉斗「へいへい、わかったよ、奢ればいいんだろ、奢れば!」
黄葉「うん!パピコね。」
琉斗「りょうかーい」
黄葉「因みにパピコは五個買ってきてね?」
琉斗「は?そんなの聞いてないぞ?」
黄葉「奢ってもらうとは言った。
でも、個数とか制限つけてないよなぁ?」
琉斗「くっ、卑怯……」
黄葉「負けたのは事実だよね。」
琉斗「ってか、5個も食って腹壊さないか?」
黄葉「何言ってるの?僕は春夏秋冬構わずアイス食べてるよ?」
琉斗「え……?マジ?」
黄葉「マジだよ?」
琉斗「へ、へぇ、す、凄い一面だな……なら、冬とか寒くないのか?」
黄葉「え?凄い寒いよ?」
琉斗「寒いんかよ!」
黄葉「でも、美味しいんだ!寒くても食べる!」
琉斗「腹壊すぞ」
黄葉「何度も壊してるよ!」
琉斗「慣れなのか?」
黄葉「慣れだね。」
琉斗「わー、慣れって怖い(棒)」
黄葉「棒読み!?」
そんな下らない会話を交わしてると学校のチャイムが鳴り、先生が入ってきた。
慧音「はい、みんな座れよ。」
黄葉「あ、座らなきゃ」
琉斗「そうだな。」
そう言って私達は自分の席についた。
慧音「少し大事な話があるんだが、よく聞いてくれ、先生の野暮用が出来て、今日と明日、明後日はこのクラスは休みにする。」
琉斗「は…?」
慧音「だから、今日はもう帰れ、それと、最近、近くで不審者が出るって言われてるから多人数で帰るように、以上だ。」
折角学校来たのに…休みとか……ある?
まぁ、学校休めるから嬉しいけどね。
ただ一つ…問題がある。
それは……
休日が暇だという事だ!
何でよりによって休みになるんだよ!
学校休めるのはすっげえ!嬉しいけどさ!?
家にいても暇なんだよ!?しかも急だし!?
はぁ……だめだ……一回深呼吸して落ち着こう……
と私はそう心の中で意味深な事を叫んで、深呼吸をし、心を落ち着かせたのだった。
そして、先生の話が終わり、終礼を終えた。
黄葉「おーい」
琉斗「うん?」
黄葉「あのさ、終礼中さ、琉斗…」
琉斗「なんだよ…」
黄葉「心の中でなんか叫んでたよね?例えば、休日が暇とか」
琉斗「貴方様は何処ぞのさとり妖怪ですか?(棒)」
黄葉「ナニソレコワイ」
琉斗「いやお前の方が怖ぇよ!?なに!?テレパシーなの!?テレパシーなの!?」
黄葉「なんで2回言ったし」
琉斗「大事なことだから!」
黄葉「そうなんだー(棒)」
琉斗「そんなふうに言わないで!?悲しくなるから!虚しくなるからね!?」
黄葉「知らんな!」
琉斗「ダニィ!?」
そんなこんなでいつも通りごく普通に、私達は下校したのだった。