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パラドックス  作者: ノイズ
アケディア
3/3

アケディア 誤算

「閉会式を始めます」


アナウンスのコールがあると、毎年のように上位10名のものが王の前に立つ。

マオにとっては恒例行事であったし、今更王の前に立つことに対して畏怖も敬意も抱かない。(最初からなかったが)

ただ、頭の中は早く終われとだけ思っていた。


「マオ、優勝おめでとう。

お前と離れるのは悲しいが、他国の勇者と協力して立派な勇者になってくれ」


「はい・・・・・・・・・・え?」


イマ、ナンテイッタ?


「お前になら、俺の野望を任せられる。頑張って魔王を倒してくれ。マオ」


となりにいたクラインも暑い眼差しで意味のわからないことをいう。


は?


ほかの国の勇者と協力して立派な勇者になれ?

魔王を倒してくれ?


え?なにこれ?どーゆーことだよ?

まてまてまてまて。

え?

俺って魔王だよね?


急いで胸元にある王の印を見る。

うん、ちゃんとある。


うん?

こいつら、何言っちゃってるの?


マオの混乱を鎮めたのは意外でもない人物、ロバートだった。

ロバートは混乱するマオに今回の魔導師最強決定戦のチラシを見せた。


そこにはいつもどおり幼稚園児が書いたのではないかと思われるイラストが書かれていた。

が、いつもと違う点がひとつあった。


『今大会は、勇者選抜をかけるものとす』


「は?はあああああああああ!!!!????」




マオが帰ってきたのは次の日の午前8時だった。


あの後、王が俺のことを執拗に心配したり今後の説明だとかなんとかでロバートと王に王室に連れていかれ説明をされていた。

その間、めんどくさいことになったことと、イベントに間に合わないことにショックを受け5徹も重なったのかマオはぶっ倒れた。


ロバートと王にされた説明はこうだった。


百年に一度、七つの大国から一人ずつ勇者を出し魔族と亜人族を仕切っている魔王を捜索、倒してしまおうということだった。

今回の大会は前の勇者選抜からちょうど百年たった時であった。


力の強い魔導師が一番輩出するアケディアでは魔導勇者をとのことだった。


そして、来週あたりには七つの大国の一つ、イラの国から剣士勇者がアケディアに到着するらしい。

そのものと一緒に旅に出よ。とのことだった。


そして、さらにめんどうなことは重なった。


イラとアケディアは治安が落ち着いているため、このような一位を決める大会を行うことができたがほかの国はそうではないらしい。

イラの勇者と共に魔王討伐のメンバーを選ばなくてはいけないということだった。


マオはパソコンを起動させ、現実逃避をはかった。


何が楽しくて自分の事を討伐せよという連中とつるまなくてはいけないんだ?


どうにかして逃げなくては!!


ネトゲをやりながら決意した。

しかし、そんな決意はすぐにおられることとなった。


「なぁ、魔導勇者ってあんた?」


「は?」


何故、ここに人がいる。

てか、なんで気がつかなかった、俺。


ネトゲをやるマオの隣に立ったのは無表情で黒髪で赤い目をした腰に剣をさしているどう見ても他国から来たという格好をした青年だった。


「ロバートという王の側近の方からここに魔導勇者が居ると聞いたんだが」


無表情で淡々と語る青年にマオはすこし威圧感を感じた。

しかし、俺が気配に気づけないとは・・・


「一応」


嘘はつけそうにないと感じたのかマオが正直に肯定すると青年の表情はやわらいで笑みを浮かべ、手を差し出した。


「俺はアカツキ。イラの国から来た剣士勇者だ。よろしくな」


アカツキの先ほどとは全然違う態度に驚きながらも握手に応じた。


「一応、魔導勇者のマオ。」


「一応?」


その言葉に引っかかったのだろう。アカツキがマオに聞き返す。

そしてマオは昨日あった出来事を所々端折りながらもアカツキに話した。

願わくば、やる気のないやつなんて連れていきたくないとクラインを連れていってくれはしないかと。


しかし、マオの期待は早々に裏切られる。


「あはは!マオってドジなんだな!!あはは!はらいてぇ!!そんなもん、手抜けばいいのに!!あれ、知らなかったんだっけ?ちゃんと調べてから参加しろよ!」


盛大に笑われ、その言葉にごもっともですと自分を恥じた。


「あはは、まぁ、俺も人の事言えないんだけどね」


「は?」


「いや、俺もね成り行きで勇者になった身だから」


「・・・・・は?」


アカツキの説明によると、こうだった。

アカツキは戦闘狂・・・・・とはいかなくとも、人と戦うのがすきだった。

しかし、強くなりすぎてしまいイラでは誰も手合わせをしてくれなくなった。

そんな時だった。勇者選抜がおこなわれたのは。

イラ以外の国のものも参加するということもあり、久しぶり戦うことができると浮かれていた。

なんの大会だか確認せずに。


そして、圧倒的な実力で優勝してしまったアカツキは強制的に勇者となりここまできたらしい。


「お前も人のこといえねーじゃん」


ジト目でみると、アカツキは笑いながらも肯定していた。


「あのさ、一緒に旅しよーぜ。

魔王討伐だー!って燃えてる奴よりもマオみたいな奴と世界一周したほうが楽しそうじゃね?

魔王は視認されてねーんだし、形だけやろーぜ」


アカツキはマオの思ってた以上の頭お花畑野郎だった。

先程こんなやつに威圧感を感じてしまった自分が恥ずかしいほどだった。


しかし、


「俺もお前のようなやつで安心した。行ってもいいぜ」


アケディアではみつからなかったあいつらを探すには絶好の機会かもしれないな。

パソコンはノート型を持っていけば問題ないし。


「よろしくな、マオ」


「あぁ。よろしく。アカツキ」


こうして、魔王討伐(笑)の旅は始まった。

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