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一話  「決別・旅立ち」

完結して居ない物語を投稿しました。

皆さんの反応次第で長くなったり短くなったりします。

登場人物も色々出てくるかもしれません。

楽しんで貰えたら嬉しいです。

健一・ベルロット12歳 母秋穂と父アーノルドとの間に生まれた一粒種である。

今時珍しくないWの血筋だが、彼は少しばかり事情が異なっていた。父アーノルドが外人なのだが、

外国人では無く異世界人だった。


特に外見上の違いも無く両親から聞かされても信じなかった。何故なら父は普通のお父さん達と何も

変らない様にしか見えないからだ。普通に会社勤めをし毎日通勤している。

家は都心の分譲マンション。確かに親戚が誰も居ないってのは寂しいと思った事も在るが、

珍しい話では無い。どちらかと言えば、父より母秋穂の方が人離れしているとさえ思える。


物心付いてから今まで、古いアルバムの写真を見ても思う。母秋穂は一行に歳を取らない。

近所のオバサン達は『秋穂さんって本当に変らなく羨ましいわ』等と嫉妬の声が聞こえてくる。

変らぬ美貌の持ち主の母、ちょっと抜けてる所と少しばかりトロイ動きがオバサン達の怒りを

買わないのだろう。何気に人付き合いは上手く行ってる。オヤジも外人の割には日本人の知人が多く、

誰かしらが我が家に遊びに来る事が多かった。

だから、両親が告白した父の異世界人の話は信じていなかったのだ。


我が家の唯一の問題は母の健康状態だ。何かしらいつも体調が悪い。本人曰く気候が合わないから

だと言う。それなら田舎に引っ越せばと言った事もある。日本ではどこも一緒よ。と母は引越しを

拒んでいた。何か理由があるらしい。それこそ息子にも話せない訳が。父の異世界人のネタより

そっちの方が気になる健一だった。


…それは突然起こった。いつもの様に学校へ通う健一。二時限目の授業を受けていた。教頭先生が

教室に現れ、健一は急遽病院へ向う。ソワソワとする父の姿がある。苦しそうな姿でベットに

横たわる母の姿がある。駆け寄る健一。母の手を握り締めるとか弱い力で握り返す母秋穂。

『ごめんね。立派に育つのよ…愛してる』ソレが母秋穂の最期の言葉だ。


病弱な母秋穂が死んで父と息子だけになって日が浅い頃、突然故郷に帰ると言い出す父アーノルド

「お前はどうする?」


この一言で健一は父親と共に父の郷里に帰る事になる。だって日本じゃ12歳の小僧が一人暮らし等

出来る訳が無いじゃん。

マンションの裏にある小さな空き地。深夜遅く親子2人で其処に立つ。

意味不明な呪文を読み上げる父。すると地面に赤く光る文字と不思議な図形が浮かび上がった

「な・何これ?」


健一が目覚めるとマンションの裏手の空き地では無く見た子も無い風景が広がっていた。

横に立っている父の姿もパジャマ姿ではなく、ゲームに出てくる様な冒険者っぽい格好だ。

「ここどこ?」

「言っただろ!?俺の故郷に帰るって。此処は『クレメンテ』俺が生まれ育った大地、お前の母秋穂

と知り合った場所だ。


「えぇぇ~!!あの話本当だったの!ってか、いきなり帰るって何だよ!引越し荷物どうするのさ?」

「あぁ~すまん。…それに荷物制限で運べない」

「いやいや!それでも金目の物とか色々あるじゃん」

「此処では使えない。それにコレさえあれば、他は要らない」


そう言って胸元から取り出したのは、母秋穂の写真が飾ってある小さな写真建てだ。

生前『私この写真が一番好き』と母のお気に入りの奴だ。ソレを見て健一は黙った。


「まぁ~良いよ。って俺も洋服変ってるけど、コレも魔法なの?」

「そうだ。秋穂が移動した時に自動で着替えるように仕込んでいた魔法だ。服は勝手にサイズが合う」

「そうですか…って母さん魔法使えたの?」

「そうだ。だからあの場所を離れなかった」

それ以上の事は言わない父アルベルト。母が拘った理由の一つが理解できただけで今は良しとしよう。


日本と異世界『クレメント』を繋ぐ不思議な空間は「転移魔法」で移動出来るが、その魔法を

習得するのは希。異空間の移動となれば、その消費する魔力も莫大で一生の内に何度も

行き来出来る物では無い。そんな話を聞かされたのは目的地に向って旅を始めた後の話だ。


「えぇ~俺って軽く海外旅行の気分で付居ていくって思ってたのにな~」

「異世界って言ったじゃん」

「簡単に帰れないって聞いてない」

「…そうだっけ?」


そう父アーノルドは短絡で陽気な性格のオヤジである。母秋穂はよく耐えたなと感心する程だ。

オマケに今年30過ぎになるお年の筈だが、見た目が若く息子と兄弟と間違われた事も多々あった。


「お兄さん格好良いね。それに強いし!私好きになっちゃいそう」

「そっか~嬉しいね~でもオレっち嫁さんと息子居るから恋は出来ないぜぇ」


等と腕っ節が強く正義感もたっぷり在るので、町で下手なナンパや暴漢が居ると警察沙汰になる前に

解決してしまい、オマケに助けるのが女性ばかりなんでモテモテなのだ。

一度何故男性は助けないのかと尋ねたら「男は惚れた女を守らなきゃならねぇ!自分も守れない奴を

助けるほどオレっちは酔狂じゃねぇよ」だって言われた。


クレメントに辿り着いたけど、オヤジの故郷にはまだまだ距離がある。悲しいかな此処にはバスや

電車といった文明の利器は存在しない。移動にはもっぱら馬を利用している。

乗馬なんてした事もない健一が悪態を付くと


「よっしゃ!この国じゃ15で一人前だ。お前も12歳この三年でしっかり仕込んでやる」


ソレからの旅路は健一にとって驚きと厳しい日々の連続である。

慣れない乗馬で股擦れになり、訓練と称して出来た痣は、地黒デスカ?と思える程全身に広がる。

オマケに路銀節約だ。と街道では無く危険な山道への経路を取ったので、食材は自前の狩りでする。


狩をして肉を喰うって事は自分で獲物を捌かなきゃならない。日本の都会で育った健一には

その行いがショッキングで三日は飯が喉を通らなかったが、四日目の朝ついに生暖かい肉を自分で

捌いて喰った。それからと云うもの健一はメキメキと狩りに精を出す。


お蔭で弓とケンの腕が上がり捌き方も巧くなって行く。こうして約三ヶ月のオヤジと2人旅を終え

無事目的地の「エラズモ」の町へ到着した。


「アーノルド!」

大声で呼び止めたのは、壁かよ!と思える程の大男「セザール」さんだ。オヤジの古い友人らしい


「いつ帰って来た!?ってかお前は帰って来ないと思っていたぞ」

「まぁ~色々訳が在ってな」

「ん?その小僧はお前の奴隷か?」


(おいおいシレ~っと凄い事言ってるジャンおっちゃん。ってかこの世界奴隷って居るの?)と少し

ビビッた健一を笑いながら父アーノルドは健一の髪をグシャグシャにしながら

「馬~鹿!オレっちの大事な息子でぇ!おい挨拶しな」

「はじめまして、健一・ベルロットと言います」

「へぇ~アルベルトに息子ねぇ~。ガサツなお前にしちゃ出来た息子の様だな!ガハハッ」

声も笑いも態度も豪快だなと思う健一である。


「親父様には帰って来た事報告したのか」

「いや!勝手に飛び出した家出息子だ。今更挨拶も無いだろう」

「う~ん。それはどうだろう?お前が去って、えらく気を落とされていた聞いていたぞ。…それに」

繊細と云う言葉が不似合いなセザールさんが、思いもしない尻蕾で歯切れの悪い態度を示す

「どうした?家の事でゴタゴタでも在ったか?」

「まぁ~オレみたいな輩が知る由も無いが良い噂話は聞こえてこないな」

どうやらセザールではオヤジの実家の話はこれ以上聞けないらしい。そこで話を一旦終えると

寝泊りはどうすると尋ねてきた。

「あぁ~一応こっちに車での間に色々と狩りをして来たんで換金すれば、『シャルル・ホテル』に

三ヶ月は泊まれると思うぞ。ホレ!」

そう言って親父が袋から牙や角に皮等を見せる。ただし、その大半は訓練だ!と尻を叩かれ健一が

倒したモノが殆どである。ソレを自慢するのかい?と思うより、健一は父アーノルドが持っている

袋に興味が在った。どれだけ詰め込んでも形も重さも変らない。底なしな上に新鮮さも維持する

不思議な袋だ。


「おぉ~角兎の角がこれ程、傷も無いとは相変わらずの腕だな。オマケに赤熊の毛皮だと!?

 お前一体どんな道を通って来たんだ?今時山奥じゃないと出会えない奴なんだぜぇ」


道中どんだけ険しい道を進むんだと思っていた健一だったが、セザールの言葉で父親の確信犯に

気付く。息子の痛い視線に対して「エヘェ」と片目で親指を立てる茶目っ気な父親アルベール


「其れ等はコイツが仕留めたんだぜ」

一瞬、大した事ないぜと自慢しかかった父親アルベールだったが、息子の厳しい視線に臆したのか

功績は小さな息子健一だとサラッと告げる。


「はぁ~こんな小さいのになぁ…流石蛙の子は蛙って事か」

何を納得したのか健一は理解できないでいたが、換金するなら今はコッチの店が良いとセザールが

換金率の高い店に2人を案内。ついでに飯が美味い宿ならコッチだと「クレマン亭」を紹介した。


一話  「決別・旅立ち」  完

どうでしたか?

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