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ギクシャクしていますが生活が始まりました。

(2012・05.08 AM0:45)



「主役到着ですね。」

「チッ!そのまま消えちまえばよかったのに(怒)」



リビングの机には、貴族風の男と山賊みたいな身なりの男が晩酌中。

明らかに違和感100%の空間・・・



「ふぅあ~。あれ?戻ってきたの?正嗣娘。」



後ろを向くと、水色の浴衣を着流した男がいた・・・。

風呂でも入ってきたのか、髪の毛がかなり濡れている。

その男も席に着いた。



「みんなそろってるな。」



鬼はそういうと、私を机に座らせる。


「正嗣がここを出ていく時に言っていた事覚えてるよな?」

「あぁ。胸糞悪いからはっきりとな!」

「覚えてますよ。」

「覚えてるべ!」

「モチ。」


鬼はみんなに確認すると、私のほうを向きにっこり笑いながら


「ちょっとまだギクシャクしとるけど、こいつらもお前さんの家族だから。」


そういって私の背中をパンと叩く。


「じゃ、自己紹介。う~ん・・・じゃ、火燐かりん


すると、さっきの狐がかなりのハイテンションで自己紹介をし始めた。


「はい、は~い!俺、火燐かりん!妖狐で~す♪結婚してください(←?)」



返す言葉がなかった・・・。



「じゃ、次。蓮流はる


すると、さっきの風呂上りの男が手を上げる。


「へ~い。蓮流で~す。見た目が人間ぽいけど半魚人ってことで。よろしくっす。」



よろしく・・・。

っていうかそんな感じに見えない・・・。



「ほ~い。じゃ、禮漸らいぜん


今度は、山賊風の男がお猪口を手に持ちながら手を上げる。


「俺の番か・・・俺の名前は禮漸らいぜんらいでいいから。よろしくな。」


「こいつ(←禮漸)もおらと一緒で鬼だべや。よろしくな。」



鬼に見えない・・・



「じゃ、最後。風燕かえん


すると、やる気なさそうに小さく手を上げる。



風燕かえんだ。先に言っておく、俺は人間に興味はない。以上!」



出て行っちゃった・・・。



「ご、ごめんな。あいついろいろあってあんな感じなんだ。ちなみにあいつは“かまいたち”だから。」


鬼は申し訳なさそうに私に頭を下げ謝っていた。


「そ、そうですか・・・あ、私も自己紹介しなきゃ!春河椿はるかわ・つばきです。父が生前お世話になりました。これからもよろしくお願いします。」



「ということで、お帰り、椿。」



鬼は、私に右手を出してきた。私もそれに応じて握手をする。



「おら、緑涼みすず。おらも、ここにいる奴らもみんな人ではないけど、みんな椿の家族だから。よろしくな!」



私と彼らの同居生活がここから始まった。


新しい家族の思い出作りの時間が・・・。



(5.8 AM9:00)



「う・・・うぁ~ん・・・」



昨日の深夜の宴会の後ということもあり体がだるい。

ふと窓に眼をやると、見慣れない光景が眼に入ってきた・・・。


「あれ?あんなところに畑あったっけ・・・って緑涼さん!」


そこには、畑仕事に精を出す緑涼さんの姿が。


「ジャージとか持ってるんだ。どうやって手に入れたんだろ・・・。」



ドンドン!

ドンドン!



バンっ!!!



「椿ちゃ~ん!!」


「おはようござい・・・うにゃ!」


火燐さんにいきなり抱きつかれた!


苦しい・・・


「やっぱりどんな姿でもかわいい~べ!」

「離れてください・・・苦しい!」



ガバッ・・・


やっと開放された・・・。

あれ、禮漸さん・・・



ぎゅ・・・・



「そんなに抱きしめてほしかったら、俺に言えばいくらでもやってあげたのに・・・(怒)」



あ、あの・・・


それは、抱きしめているんじゃなくって


首を絞めるっていう感じですけど・・・。



「苦しい!苦しいから!ごめんなさい!」

「もうこんなことしねぇな!」

「しません!絶対・・・しま・・・せ・・・」



気絶しちゃった(焦)



「ほっといていいよ。」



そういいながら、禮漸さんはキセルを咥えた。


「朝食出来てるから、みんなで食べようぜ。」


「は、はい・・・。」



(5・8 リビング)



「おはようございます。」



私は、机の上の朝食に度肝を奪われた。

大きなサラダが机の上で幅を利かせ、それぞれの机には卵焼きとご飯とお味噌汁、そしてきゅうりの浅漬け。



「こんなにたくさんの野菜が盛られているの初めて見た・・・」

「緑涼さんが丹精こめて育てているからな・・・庭で。」



そういいながら、蓮流さんがきゅうりをかじる。


「ね~禮漸!油揚げは?」

「今日は無いよ。また明日な。」

「えぇ~・・・・」


横で、火燐さんが若干しょげている。


「お前、味噌汁に豆腐は入ってるだろ。それで我慢したらどうだ?」


風燕さんもう食べてる・・・


「やだ。(泣)油揚げ食べたい・・・」

「ガキかお前は!」


駄々っ子をひたすら宥める大人みたい(笑)


「うわぁ~~~椿ちゃん!」



ガバッ!



「きゃ!」



ぎゅ~・・・



「何でそうなるのかな~・・・」



ぐわっ・・・



「うぅ・・・」



あ・・・緑涼さん・・・


「わがまま言うんでねぇ!」

「分かったから!だから離して!」

「もうしねぇか?」

「うん・・・」

「じゃ!飯にするか!」


お風呂に入ってきたのか、さっぱりした感じで緑涼さんが席に着くと、私の朝食時間が始まろうとしていたその時だった。



「ご馳走様でした!」



そういうと、風燕さんは席を立って出て行っちゃった・・・



「風燕!」

「俺は、人間と同じく空気吸って生きるなんてごめんだね!」



そういいながら・・・。



「あ・・・あの・・・」



私は、緑涼さんに恐る恐るある質問をしてみた。


「みなさんのお部屋って・・・」

「あっ、言ってなかったね~。この家の空き部屋使ってるべ。」



空き部屋あったっけ・・・この家・・・



「椿ちゃんの部屋の隣り俺で、この広間の横の部屋が風燕。でその隣りに火燐。屋根裏に禮漸で風呂の横に蓮流だ。」



ん・・・?


ちょっと待て・・・


そこって・・・



「もしかして・・・」


「物置だった場所を正嗣が改装してくれたんだべ。」



お・・・親父・・・


あんた勝手に何やってんだ・・・


一人で・・・



「そ・・・そうだったんですか。」

「じゃ、僕の部屋見せてあげる!椿ちゃん行こう!」



ガシッ!



か・・・火燐さん・・・ちょっと!


「ちょっと待て!火燐!」

「やだねー!行こっ!」



火燐さん!待ってよ!手が痛いよ(笑)




(火燐の部屋)


バタッ

ガチャ!


「火燐!開けねぇか!」

「やだ!」

「いい加減にしないと怒るよ!火燐!」


「い・や・だ~!椿ちゃんと一緒にいるべ!」


緑涼さんと禮漸さんだ!


助けて~!


「椿ちゃん・・・」

「は・・・はい?」



パチっ!



その瞬間

私の視界が暗くなった・・・



「あ・・・あれ?ここは?」



眼を開けると、そこにはうっそうとした森が広がっていた。

少しきょろきょろ見回してみると、奥に小さな祠の様な場所があった。

私はその方向に向かって足を向けて歩き出すことにした・・・。



「やっと着いた・・・。」



古びて少し壊れかけた祠。

私はその祠の扉の前で休息をとることにした。



その時・・・



「キュ・・・キュ・・・」



少し音が聞こえた。

何かが鳴いているような声にも似た音・・・。


私がその祠の扉を開けると、そこには小さな男の子が泣いていた・・・。


私が声をかけようとしたときに、再び視界が暗くなっていった・・・。



(火燐の部屋)



あれ・・・



なんか動きにくい・・・



「椿ちゃんあったかい。」


う…


か・・・火燐さん?


って火燐さん!



「このままギュッとしていたい・・・」



息苦しいよ。

でも、身体が動かない・・・。


助けて


助けて・・・



(廊下)


「緑涼さん。あいつ結界張ってますよ!」

「あいつ・・・(怒)」


緑涼の怒りは完全に頂点に達していた。



「禮斬・・・お前下がってろ。」

「了解。」



(リビング)

その頃、風燕と蓮流は、リビングで晩酌中。

日本酒に糠漬けをあてにして・・・


「火燐の奴、派手にやってるね。」

「あいつは、好きになったものは必ず自分のものにしないと気がすまない体質だからな。」

「そうそう。」


「あれ(=椿)の何処がいいんだ!信じられん!」


酒のペースも進み、話はリアルタイムな話に・・・



「まあまあ。あっ因みに火燐の部屋の前で、緑涼さんがキレそうになってたよ。刀準備してたし。」

「切る気満々だな。人間なんかに手を出そうとするから・・・」



あきれた顔をしながら、風燕は小さなコップに入った日本酒を一気に飲み干した。



(火燐の部屋)



ドン!!!!!!!!!!!



何?

何?

何が起こったの?



「火燐・・・(怒)」



緑涼さん?



完全に・・・



怒ってる!



「み・・・緑涼・・・?」

「何回言ってもお前は!」



グサッ!



緑涼さん!割れてる!

思いっきり机が割れましたけど!




「椿ちゃん。」




禮・・・漸さん?




「術に罹ってるな。あぶない!」



あぶない?


そう思った次の瞬間だった。



私の視界には、白くかすみ始めた。

視界が元に戻ったとき、そこには、ぐったりした火燐さんとそれを眺める緑涼さんの姿があった。


緑涼さんの手には、あのときの大きな牛刀・・・。

もしかして・・・


「ら・・・禮さん?」

「大丈夫。みねうちだと思うから。」



あ・・・あれで?

お部屋が半分崩壊してるんですけど・・・。


「いや・・・大丈夫とかじゃなくって・・・」



「緑涼さんの教育方針的なやつ。言って分からないんだったら、身体で覚えさせるって感じかな。」

そういいながら、私を覗き込んできた禮漸さん。



「緑涼さん!椿ちゃん大丈夫だよ。」


その言葉を聴いてか、緑涼さんの顔がいつもの明るい笑顔に変わった。




「そ~か~。よかったべ・・・。」




そういうと緑涼さんもその場で倒れこんでしまった。


「で、怒りが収まったりとかすると、こうやって倒れるんだよね。」


禮漸さんは、そういいながらキセルを咥えるとリビングに向かっていった。



「緑涼さん・・・」



手を伸ばしたくても身体が動かない。



「火燐さん・・・」



声もうまく出てくれない。




もどかしい感じしかない・・・。




もどかしい感じしか・・・。



「つ・・。ばき・・・ちゃん・・・。」



火燐さん・・・?



「ごめ・・・んね・・・。大・・・丈夫・・・?」



パチっ・・・


この音が、私の身体に動きをもどしていく。



「でも・・・僕は・・・好きだべ・・・椿ちゃんのこと・・・。」


そういうと、火燐さんは気を失ってしまった・・・。



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