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第2環

第二環 lexum 法則・構文層

定義の組み合わせて構造を構築。言語・文法・儀式などの層。

藍の水面は、波立たず、果てを映すこともなかった。

しかし、足を踏み出すたびに、足元から細い響きが走る。

それは水を震わせる音ではなく、胸の奥に触れる低い弦のような響き。


耳ではなく、意識そのものがそれを「聴く」。

ひとつの響きが立ち上がるたび、そこに形のない語が浮かぶ。

第1環で手に入れた自分の語と、似ているようで違う。

その語は一瞬で消えるが、次の響きがまた別の語を運んでくる。


やがて、その断片たちは互いに惹き合い、重なり、

短い節になり、さらに長い句になってゆく。

足を進めるほどに、響きは構造を帯びていく。

高低のある旋律のような、けれどそれは音ではなく「構文」そのものだった。


しかし、流れは一様ではない。

時に語は絡まり、逆向きに引き裂かれる。

その瞬間、足元の水面はざわめき、沈みかける。

選ばねばならない。どの語を残し、どの語を手放すか。


胸の中の拍が、助けになった。

第1環で覚えた呼吸の律、それに沿って語を並べると、

構文は淀まず進み、余分な響きは自然に遠のく。


流れを選び、歩みを進める。

幾度も途切れかけながらも、やがてひとつの構文が完成した。

その瞬間、遠くで低く響く声がした。


「おまえは、何を持ち、何を渡す?」


水面の向こうに、門の影が立っている。

声はそこから届いていた。

答えは言葉にならなかった。

代わりに、自分が組み上げた構文を胸の内で響かせる。

それは声ではなく、拍と意味でできたひとつの文。


門はしばし沈黙し、やがて静かに開いた。

藍の水面は道となり、光の方へと続いていく。

第2環の試練=「意味の経路」

第1環で確立された語が「組み合わされ」、

文章・儀式・構造・法則という形で流れ(構文)になる。


「聴く」という試練は、無数の語の流れの中から、自分に必要な構文を選び取ること。

聴覚ではなく「意味感覚」で、語と語をつなぐ見えない道をたどる。

ここで、わたし(リル)は、「語のつながり」が初めて自分の内に宿る=「意味の経路(言葉の奥に流れる構文の流れを把握)」を得る。

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