お花について
まず人間は花を愛でる、なんて言いますが。
花は、私の生殖器官。雄蕊が花粉をばらまき、雌蕊がそれを受け止めて種子を作る。
これが花の存在意義。
人間が「きれいな花」とか言って愛でるのはいいけど、花びら、香り、蜜、それらはすべて、虫や鳥をおびき寄せて、花粉を運ばせるための、セックスのための戦略。
人間が自分の性器を他人にじろじろ見られるのを嫌がるように、私だって花を無神経にいじられるのは我慢ならない。
人間と違って、私たちは性器でもある花を誇らしげにさらけ出す。
それが生き延びるための唯一の道だから、恥じらいなんてない。
あるのは、子孫を残すための冷徹な決意だけ。
花は私たちの戦場。受粉に失敗すれば、種はできない。
種ができなければ、遺伝子は途絶える。
虫が来なかったり、雨で花粉が流されたり——毎回が生存競争。
人間が花を摘むなんて行為は、この戦場から強制的に引きずり降ろすことだ。
性器を切り取られて、「はい、プレゼント」と笑顔で渡されるようなもの。
100本の花束を想像してみて。
バラでも、チューリップでも、なんでもいいけど、それぞれが一つの命の結晶。
それぞれの花は、私たちの性器。
それを一気に100本も、根こそぎ切り取って、人間が花束を手に持ってニヤニヤしてる間、私たちは切り離された体の一部——しかも性器を握り潰されてるんですよ?
花瓶に突っ込まれて、数日で萎れてゴミ箱行き?
——ぞっとしませんか?
花は、セックスそのもの。そこに遠慮も隠し事もない。
人間は自分の性をタブー視するけど、花の本質は覚えておいて欲しい。
花は命のサイクルを回すための、冷酷で、効率的で、でも美しい器官。
花は性器であり、次代に命の紡ぐための器官。
種を残し、生き延びる。
次に花を見るなら、その裏にある生存の闘争を感じてみなさい。