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おかしなことを言い始める彼氏を前に、ポメはエスパー能力を発動し、彼氏の心の声を聞き始めた・・・
『案外チョロそうだなこの子。見た目はブスじゃないけど中の下だな。レンタル彼氏を使って擬似恋愛しなきゃ彼氏ができないとか、よっぽどのブスだと思ってたけど・・・性格が最悪とか? じゃなきゃ25年間一度も彼氏ができないとか、ありえないよなぁ。
さぁ、金を出すのか出さないのか、どっちなんだ? 待ってる時間がもったいないから早く答えろ』
(こっ、こいつ・・・レンタル彼氏だと!? ってことは本当の彼氏じゃないってことか!!!?)
予想外の事態だった!
戸惑いながらも、オレの心には憤怒の炎が一瞬にして燃え上がった。
(オレの大切なさやちゃんを中の下って思ったなこの野郎!!!! 性格もクズ以下のカス野郎だ!!!!)
さやちゃん親衛隊であるオレは大声で「帰れ」と叫ぶために深い深呼吸をし腹の底から叫ぶところまで準備した時だった。
「払います!!!」
えっ 払う?
「一万円でいいんですよね! 払います!」
「はい。じゃあつづきを始めますね」
「・・・さやか、もう一度、手を握ってもいいかな?」
「はい♡」
「ぎゃわわわぁぁぁーーーん!!!」
(さやちゃあぁぁぁーーーん!!!)
「ポメ!? どうしたの、いきなり!?」
さやちゃんが振り返った先で、オレは情けなくて泣いていた。