No.8 ご飯交渉と商品
帝国暦 1757年3月13日 ブラテン帝国 アレリア州 州都:アレリア
昨日は結局安心しきってしまい、夜ご飯すら食べずに寝てしまった。
そして今日、商会に入ってからの初めての朝。
1階にいる人に声をかけてみた。
「おはようございます。昨日からここにいるハクといいます。ご飯はどうすればいいですか?」
「おはよう。ヒンデンブルだ。ご飯は...まぁ今回は作ってやるよ。明日からは...作ってやるよ。そのかわり材料とかのお使い行けばいいぞ。」
「了解です。ヒンデンブルさん。」
と謎のご飯交渉を済ませた。
その後、アレッポさんが来た。
「おい、ハク。商会に行くぞ。今度は地理感覚を養うために歩いて行くぞ。」
と言われたので、ゆっくりいろんなお店を紹介してもらいながら、商会へ歩いた。
商会についたあと、アレッポさんがこの商会の商品を説明してくれた。
この商会は綿花から綿織物にして、それを直接販売する工場と小売の両方の事業をしているそうだ。
とりあえず、
「学がないから、学べ」
と言われたので、商会の商品を覚える片手間に家でアレッポさんやヒンデンブルさんから借りた数学や会計、地理、歴史、化学、物理、ブラテン語を学んだ。
農作業をしていた頃に感じた勉強への退屈さも消え、この環境に感謝していた。
ハクの借りた本のいくつかのページは丸い点々がしみになって汚れていたという。