エピローグ
そんなこんなで私は、すっぽんぽんの状態であの家を飛び出し、ていうか転送され、空き地のブルーシートのなかに飛び込んだらしい。
目隠し用に張られたブルーシート、じゃないやつを予め用意していた彼らは、生まれたままのすがたの私をそれで包み込む。
若干、死体感が出ているところは大目に見よう。
作業着すがたの野村さんと両桐さんは、それこそ機材を運搬するような感覚でブルーシートに包んだ私をクルマに載せた──これが、言えば彼らが果たしたミッションの一部始終である。
「本当に助かりました。ありがとうございます」深々と私は頭を下げる。
素っ裸の私のために彼らはコンビニで女性用下着を買い、トレーナーを着せて、こうして介抱してくださったのだ。感謝しても、しきれない。
「……それで、これからのことなんですが」すこし困り顔の両桐さんだった。
彼の言わんとしていることは分かる。
すでに十分危険な目にも遭っていることだし、ここで降りるのもひとつの手かもしれない。
だが私は首を振る。
「いま、とても気になっていることがあるんです。もうすこしだけ、私に協力してくださいませんか」
「それはかまいませんけど、あなたの探偵事務所のほうは、どうされるお心算です」
「まだ戻りません。戻っても警察にあれこれと事情を聴かれるだけですし、聴かれてもマトモな返答なんて、できませんから」
「芽衣さん、」両桐さんがたずねる。「あなたはこれまで、どこにいたんです。どこからテレポートしてきたんですか」
自分でもよく分からない笑いがこみ上げてくる。
「狂った家です」
私は言った。




